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【令和8年4月開始】新外形標準課税「100%子法人等への対応」と配当加算措置|資本剰余金配当がある会社の実務ポイント

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 14 時間前
  • 読了時間: 4分

おはようございます!代表の安田です。


令和8年4月1日以後開始事業年度から、外形標準課税の新たな課税方式として、いわゆる「100%子法人等への対応」が始まります。これにより、これまで資本金1億円以下で外形標準課税の対象外と考えていた会社でも、一定の条件を満たすと新たに対象となる可能性があります。


特に実務で見落としやすいのが、払込資本の額(資本金+資本剰余金)の判定です。単に決算書上の残高を見るだけでは足りず、親法人への資本剰余金を原資とする配当がある場合には、いわゆる配当加算措置による調整が必要になります。


本記事では、公認会計士の視点から、新外形標準課税の対象判定と、配当加算措置の考え方、実務上の注意点をわかりやすく整理します。


1. 新外形標準課税「100%子法人等への対応」とは?

令和8年4月1日以後、新たな外形標準課税の対象として、次の3要件を満たす100%子法人等が挙げられています。


  • 親法人の払込資本の額が50億円超

  • 子法人の資本金が1億円以下

  • 子法人の払込資本の額が2億円超 


ここでいう100%子法人等とは、親法人との間に完全支配関係がある法人、または100%グループ内の複数親法人に発行済株式等の全部を保有されている法人を指します。


2. 判定のカギは「払込資本の額」=資本金+資本剰余金

新外形の対象判定で重要なのが、払込資本の額です。資料では、これは資本金と資本剰余金の合計額とされています。

つまり、資本金が1億円以下でも、資本剰余金を含めた払込資本の額が2億円を超えていれば、新外形の対象に入る可能性がある、ということです。

ここで実務上厄介なのは、「資本剰余金を減らしたから対象外になる」と単純にはいかない点です。


3. 見落とし注意:資本剰余金を原資にした配当は「配当加算措置」で戻される

資料では、100%子法人等の払込資本の額の判定について、意図的に資本剰余金を減らして外形対象外となることを防ぐ対応が設けられていると説明されています。それが、いわゆる配当加算措置です。

具体的には、資本剰余金を原資に親法人へ配当した場合、その配当に係る減少額分を払込資本の額に加算する必要があるとされています。

つまり、会計上は資本剰余金が減っていても、外形標準課税の判定上は、その減少分を“なかったものとして戻す”イメージです。


4. 分割型分割でも対象:その他資本剰余金からの配当も加算が必要

この配当加算措置は、通常の配当だけでなく、分割型分割により、その他資本剰余金から配当を行った場合も対象になるとされています。外形的に判断するため、その配当額を払込資本の額に加算する必要があると整理されています。


実務では、組織再編の会計処理だけ見ていると税務判定を見落としやすいため、再編案件では特に注意が必要です。


5. 一方で対象外となるもの:無償減資の欠損填補、自己株式の取得・消却

すべての資本減少が配当加算措置の対象になるわけではありません。次のようなケースは“配当”に当たらないため対象外とされています。

  • 無償減資による欠損填補

  • 自己株式の取得・消却による払込資本の額の減少 

この点は、資本政策や再編スキームを検討する際の重要な分岐になります。


6. 実務で気を付けたいポイント(経理・税務・法務の連携)

新外形標準課税の対象判定は、単なる残高確認では終わりません。少なくとも次の点を確認しておくと安全です。


(1)払込資本の額を税務判定ベースで再計算する

決算書の資本金・資本剰余金残高をそのまま使うのではなく、資本剰余金配当の有無を確認し、必要に応じて配当加算措置を反映します。


(2)過去の資本政策・再編を棚卸しする

  • 親法人への資本剰余金配当

  • 分割型分割

  • 無償減資

  • 自己株式の取得・消却

などを時系列で整理しておくと、誤判定を防ぎやすくなります。


(3)対象判定を「資本金1億円以下だから安心」で終わらせない

新制度では、資本金1億円以下でも対象になるのが最大の特徴です。特に親法人の規模が大きいグループ会社は、早めの判定が必要です。


まとめ:新外形は「資本金」だけでなく「払込資本」と「配当加算措置」で見る

令和8年4月1日以後開始事業年度から始まる「100%子法人等への対応」では、資本金1億円以下の子法人でも、親法人の払込資本が50億円超で、かつ子法人の払込資本の額が2億円超なら、新外形標準課税の対象となる可能性があります。


しかも判定では、資本剰余金配当があっても、その減少分を戻す配当加算措置が必要です。資本政策や組織再編を行なっているグループ会社ほど、会計・税務・法務を横断して判定を見直すことが重要です。


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