マスクやサーモグラフィの購入費用の仕入税額控除
- 安田 亮
- 4 日前
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おはようございます!代表の安田です。
新型コロナウイルス感染症の流行以降、企業における感染症対策として、マスクやサーモグラフィ等の備品を購入・配布するケースが増加しました。こうした費用について、消費税の仕入税額控除における用途区分を正しく行なうことが、税務上の適切な処理に不可欠です。
今回は、感染症対策備品に関する仕入税額控除の個別対応方式における「用途区分」について解説いたします。
■原則:使用者が限定されない場合は「共通対応」
消費税法における個別対応方式では、仕入れに係る消費税額を以下の3区分に分類して控除額を計算します。
課税売上対応分
非課税売上対応分
共通対応分(課税・非課税両方に関連する支出)
マスクや消毒液などの備品を、営業部門・製造部門に限らず総務・経理部門などでも使用する場合、基本的には「共通対応」として取り扱われます。
■実務上の合理的な区分例
▼ 例:従業員にマスク1,000枚を配布
仮に営業・製造部門の従業員が全体の30%を占める場合:
30%=300枚分を「課税売上対応」
残りの700枚分は「共通対応」
というように、従業員数の割合による按分は、合理的な区分方法とされています。
■来店客に配布するマスクは「課税売上対応」
来店客に配布するマスクや消毒液等は、売上増進を目的とした販売促進費用とみなすことができるため、対象売上が課税売上のみである場合には、原則として「課税売上対応」に該当します。
例えば、マスク10,000枚のうち9,000枚を来店客に配布する場合、その全額(9,000枚分)は課税売上対応として控除が可能です。
■サーモグラフィ等、用途が混在する備品は「共通対応」
例えば、従業員と来店客の両方が使用するサーモグラフィを1台購入した場合、使用者を明確に区分できないため、その購入費用は「共通対応」に該当します。
【まとめ】
感染症対策に関連する備品購入費用についても、消費税の仕入税額控除における適切な「用途区分」が求められます。
使用者を明確に区分できれば「課税売上対応」として処理可能
区分できない場合は「共通対応」として取り扱う
按分方法には合理性と記録の裏付けが必要

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