食料品の消費税ゼロ案とは?「2年間の時限措置」と給付付き税額控除の論点を税理士が整理
- 安田 亮
- 1 日前
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おはようございます!代表の安田です。
物価高が続くなか、家計負担の軽減策として「食料品の消費税率をゼロにする」案が注目されています。報道ベースでは、給付付き税額控除の導入までの“つなぎ”として、2年間に限って食料品の消費税率をゼロにする方向性が示されています。
ただし、消費税は社会保障財源としての側面も大きく、税率を下げる場合は財源の手当てや制度設計が不可欠です。ここでは、税理士の立場から、論点をわかりやすく整理します。
1. 「2年間限定」の食料品消費税ゼロ案のポイント
今回話題となっているのは、恒久的な減税ではなく、給付付き税額控除が導入されるまでの2年間に限る時限措置としての食料品消費税ゼロ案です。
<どこまでが「食料品」になる?>
消費税の軽減税率と同様に「飲食料品」を対象とする場合でも、実務上は次のような線引きが課題になります。
外食は対象外にするのか
酒類は対象外とするのか
テイクアウトやデリバリーの扱い
「食品」と「サービス」のセット取引(例:食事付きプラン)
制度が実現する場合、国税庁等のQ&Aや通達が整備され、事業者側の運用も具体化していく見込みです。
2. 給付付き税額控除とは?“逆進性対策”としての位置づけ
消費税は、所得に対する負担割合が低所得層ほど重くなりやすい(逆進性)と言われます。そこで議論されているのが、低所得者・中所得者を集中的に支援し、手取りを恒常的に増やす観点からの「給付付き税額控除」です。
<給付付き税額控除のイメージ(一般的な理解)>
一定の要件を満たす人に対して税額控除を行なう
控除しきれない分がある場合は“給付”として支給する(設計次第)
所得・家族構成などを踏まえたターゲティングが可能
一方で、導入にはマイナンバー連携、所得把握、申請手続、給付の事務コストなど、設計上のハードルもあります。
3. 財源はどうする?「特例公債に頼らない」方針と現実的な課題
食料品消費税ゼロを2年間実施する場合、当然ながら税収は減ります。報道ベースでは、補助金や租税特別措置の見直し等により財源を確保する考え方が示されています。
ただ、実際には次の点が論点になります。
どの補助金を削るのか(影響を受ける業界・地域)
どの租税特別措置を見直すのか(企業活動への影響)
減収規模と見直し可能額のバランス
地方消費税分を含む場合の地方財政への影響
「ゼロにする」と言っても、財源・制度・運用が揃わなければ実行は難しく、今後の具体案に注目が必要です。
4. 事業者(店舗・中小企業)への影響:レジ・請求書・経理が変わる
仮に食料品の税率が0%となると、事業者側では次のような実務対応が発生します。
<店舗・ECの現場>
POSレジやECカートの税率設定変更
商品マスターの見直し(対象/対象外の区分)
値札・表示・メニュー表記の調整
<経理・請求書(インボイス含む)>
仕入税額控除との関係整理
請求書・領収書の税率表記の整理
税区分ごとの集計ルールの再設計
制度開始・終了が2年で切り替わるなら、「導入時」だけでなく「終了時」の切り戻しも実務負担になります。
5. 消費者側は得?それとも…:効果の出方は家計状況で変わる
食料品の消費税がゼロになれば、対象品目の購入時負担は確かに軽くなります。ただし、支援の厚さは次の要素で変わります。
食料品支出が多い世帯ほどメリットが大きい
価格転嫁の仕方(“税込価格据え置き”になるか等)
給付付き税額控除が同時に導入されるか、どの層が対象になるか
「広く薄く」か「狙って厚く」か――政策の設計次第で、体感効果は変わってきます。
まとめ:今後の論点は「対象範囲・財源・実務」の3点
食料品消費税ゼロ案は、家計支援として分かりやすい一方で、
対象範囲の線引き(外食・酒類・セット取引など)
財源の確保方法
事業者の実務対応(導入と終了の両方)
といった重要論点があります。加えて、給付付き税額控除の制度設計がどうなるかも、支援の本丸として注目点です。
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