top of page

簡易課税制度は「期限管理」がすべて

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 10 時間前
  • 読了時間: 4分

おはようございます!代表の安田です。


消費税の申告実務において、簡易課税制度は記帳負担を軽減でき、場合によっては税負担を抑えられる有効な制度です。

一方で、届出書の提出期限を1日でも過ぎると適用できないという厳格なルールがあり、実務上のトラブルが後を絶ちません。

特に個人事業者については、「気付いたときには期限を過ぎていた」というケースも多く、税額の増加だけでなく、税理士の損害賠償問題に発展することもあります。

本記事では、簡易課税制度の基本と、届出期限・経過措置・2年縛りといった重要ポイントを整理します。


■簡易課税制度の概要(おさらい)

簡易課税制度は、次の要件を満たす場合に適用できます。

  • 基準期間の課税売上高が5,000万円以下

  • 課税期間ごとに「みなし仕入率」を用いて仕入税額を計算

事業区分ごとのみなし仕入率は以下のとおりです。

事業区分

主な内容

みなし仕入率

第1種

卸売業

90%

第2種

小売業

80%

第3種

製造業等

70%

第4種

その他

60%

第5種

サービス業

50%

第6種

不動産業

40%

なお、平成30年度税制改正により、軽減税率対象の飲食料品を譲渡する農業・漁業・林業は第2種事業(80%)に区分変更されています。

■【原則】届出書は「適用する課税期間の初日の前日まで」

簡易課税制度を適用するには、「簡易課税制度選択届出書」 を提出する必要があります。

原則ルールは非常にシンプルで、「適用を受けたい課税期間の初日の前日までに提出」です。例えば、

  • 個人事業者が 令和8年1月から簡易課税を適用 したい場合→ 令和7年12月31日までに届出書の提出が必要

1日でも遅れると、その課税期間は一般課税で確定してしまいます。


■インボイス制度に伴う「経過措置」は例外的な取扱い

インボイス制度導入に伴い、簡易課税制度については 例外的に期限後提出が認められる経過措置 が設けられています。

経過措置が使える主なケース

  • 2割特例を適用した翌課税期間

  • 課税期間の途中で免税事業者がインボイス登録をした場合

これらの場合、その課税期間中に「当該期間から簡易課税を適用する」旨を記載した届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税を適用可能です。

※あくまでインボイス制度対応の特例であり、すべてのケースで使えるわけではありません。


■一度選択すると続く「効力」と「2年縛り」

簡易課税制度は、一度届出書を提出すると、原則として継続適用されます。

簡易課税をやめたい場合は、「簡易課税制度選択不適用届出書」 を提出する必要がありますが、

  • 提出期限:適用をやめたい課税期間の初日の前日まで

  • 経過措置なし

  • 原則として 2年間はやめられない(いわゆる2年縛り)

という制限があります(消費税法37条)。

事業を廃止した場合を除き、短期間で「やっぱり一般課税に戻したい」ということはできません。


■税理士の視点:実務で特に注意すべきポイント

✔ ① 年末の届出期限管理は最重要

12月は決算・年末調整・確定申告準備が重なるため、簡易課税の検討・判断を早めに行うことが不可欠。

✔ ② 「出したつもり」が一番危険

電子申請・書面提出ともに、提出日・受付日を必ず確認・保存。

✔ ③ 税額シミュレーションは事前に必須

簡易課税が有利とは限らないため、一般課税との比較を行ったうえで選択すべき。

✔ ④ 顧問先への説明不足は損害賠償リスクに直結

届出漏れによる税負担増は、税理士の責任問題に発展する可能性があります。


■まとめ

簡易課税制度は便利な制度である一方、届出期限を守れなければ一切使えないという厳しさがあります。

特に、

  • 年末までの届出期限

  • インボイス制度の経過措置の有無

  • 一度選択すると続く効力と2年縛り

を正しく理解することが重要です。

当事務所では、簡易課税・一般課税の有利不利判定、届出書作成・提出サポート、インボイス制度対応まで含めた消費税の総合支援を行なっています。

消費税の制度選択でお悩みの方は、ぜひご相談ください。



神戸の税理士事務所ロゴ

コメント


bottom of page