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上場審査で「内部通報体制」がこれまで以上に重視されます

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 4 日前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


東京証券取引所は2025年12月、AI開発企業における会計不正問題を受け、上場審査における再発防止策を公表しました。

その中でも、IPO準備企業にとって特に影響が大きいのが、「内部通報体制(内部通報制度)の適切な整備・運用状況の審査強化」です。


これまでも内部通報制度は確認項目とされてきましたが、今後は 形式的な整備にとどまらず、「実効性」まで踏み込んで審査される点が大きなポイントとなります。


■内部通報体制は「全ての上場申請会社」が対象

今回示された再発防止策では、内部通報体制の審査について、

  • スタートアップか否か

  • 企業規模

  • 公益通報者保護法の義務対象かどうか

にかかわらず、すべての上場申請会社に適用する方向とされています。

公益通報者保護法では、従業員300人超の企業に体制整備義務がありますが、上場審査では 法令上の義務の有無とは別次元で評価される点に注意が必要です。


■これまでも確認されていた基本項目

現在の上場審査でも、内部通報体制については、主に次の点が確認されています。

  • 社内窓口・社外窓口が設置されているか

  • 通報受付から調査、是正までの対応フローが整備されているか

  • 通報者保護(不利益取扱いの禁止)が明文化されているか

  • 重要な内部通報の有無

  • 通報実績がない場合、制度利用促進のための施策があるか

これらはいわば 「制度が存在しているか」 を確認する視点でした。


■今後は「実効性」が最大の審査ポイントに

再発防止策では、内部通報制度について さらに踏み込んだ確認 が行われるとされています。具体的には、次のような点が重視されます。


● 外部窓口の独立性が確保されているか

例えば、

  • 従業員が外部窓口に通報したにもかかわらず

  • その情報が自動的に経営層や上司に共有されてしまう

といった体制になっていないか。

 → 通報者が安心して利用できる仕組みかどうかが問われます。


● 内部通報者の不利益取扱いを明確に禁止しているか

  • 就業規則・社内規程での明文化

  • 懲戒・評価・配置転換等への影響を排除するルール

が整備されているかが確認されます。


● 制度が「形だけ」になっていないか

  • 通報実績がゼロでも問題はないが

  • 周知・教育・研修など、利用促進の取り組みが行われているか

といった点もチェック対象です。


■不十分と判断されれば「上場不可」の可能性も

記事では、内部通報体制の整備・運用状況が不十分と見なされた場合、上場が承認されない可能性があることが明確に示されています。内部通報制度は、

  • 会計不正

  • 不適切な取引

  • ハラスメント

など、重大なリスクの早期発見につながる仕組みです。

そのため、「上場企業としてのガバナンスが機能するかどうか」を判断する重要な材料と位置づけられています。


■公認会計士の視点:IPO準備企業が今すぐ確認すべきこと

IPO準備の段階では、内部通報制度について次の点を重点的に見直す必要があります。

  • 社内・社外窓口の役割分担と独立性

  • 通報から調査・是正までの具体的なフロー

  • 通報者保護を明記した規程・ルールの整備

  • 従業員への周知・教育・研修の実施

  • 「なぜ通報がなかったのか」を説明できる体制


特に、制度はあるが、実際には誰も使ったことがないという状態は、審査上マイナスに評価される可能性があります。


■まとめ

今回の東証の方針は、内部通報体制を「形式的なチェック項目」→ 「上場可否を左右する重要な審査ポイント」へと位置づけ直すものです。

IPOを目指す企業にとっては、

  • 早い段階から

  • 実効性を意識した内部通報体制を構築し

  • その運用状況を説明できる状態にしておく

ことが不可欠となります。


当事務所でもIPOに向けた経理体制の構築支援などを行なっています。

上場準備に関する体制整備でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。



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