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令和8年分「扶養控除等申告書」の変化点

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 1 時間前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


令和7年度税制改正により、令和8年分(2025年分)から「扶養控除等申告書」の記載内容が一部変更されます。最大のポイントは、新設された「特定親族特別控除」に対応するため、B欄(扶養親族欄)に記載する対象者の範囲が見直されたことです。


これまでB欄には「控除対象扶養親族」(16歳以上で所得58万円以下の親族)を記載していましたが、令和8年分からは、「源泉控除対象親族」を記載することになります。


1.「源泉控除対象親族」とは?新設の定義に注意

新たに記載対象となる「源泉控除対象親族」は、次のいずれかに該当する方をいいます。

① 控除対象扶養親族(所得58万円以下・16歳以上)

② 19歳以上23歳未満で、所得58万円超100万円以下の親族


後者②が、令和7年度改正で創設された「特定親族特別控除」の対象です。つまり、大学生などで一定のアルバイト収入があるお子さんなどが、これに該当するケースが想定されます。


扶養控除等申告書では、B欄の該当者欄に「源泉控除対象親族」として記載し、さらに該当する場合には「特定親族」欄にチェックを入れます。


<所得区分ごとの対象範囲>

  • 年収123万円以下(所得58万円以下)が従来の「控除対象扶養親族」

  • 年収123万円超165万円以下(所得58万円超100万円以下)が新たな「特定親族特別控除」の対象


2.源泉徴収の実務では「扶養親族等の数」に影響

給与計算や年末調整における「月額表」や「日額表」では、A欄(配偶者)・B欄(親族)に記載された人数を基に「扶養親族等の数」を算出します。


令和8年分以降は、

  • A欄 → 源泉控除対象配偶者

  • B欄 → 源泉控除対象親族


の合計を基に、源泉徴収税額を計算します。

したがって、給与支払者(会社)は、従業員への記入案内やチェックの確認をこれまで以上に丁寧に行なう必要があります。


3.配偶者欄(A欄)も収入要件が変更

A欄に記載する「源泉控除対象配偶者」の定義自体は変更されていませんが、給与収入ベースの金額要件が150万円 → 160万円へ引き上げられています。


これは、令和7年度改正で給与所得控除の最低保障額が10万円引き上げられたことに伴うものです。合計所得金額ベースでは95万円以下で変わりませんが、給与収入ベースでは上限が上がっています。

区分

令和7年分

令和8年分

給与収入ベース

150万円以下

160万円以下

合計所得金額

95万円以下

95万円以下(同額)

したがって、年間給与収入160万円以下の配偶者は、引き続き「源泉控除対象配偶者」としてA欄に記載できます。


4.年末調整での留意点

  • 令和7年12月以後の年末調整から、扶養親族・配偶者の所得要件が引き上げ

  • 新たな「特定親族特別控除」に該当する親族がいる場合、月々の源泉徴収でも控除を反映

  • 書式の見直しに伴い、令和8年分の申告書は前年と同じ感覚で記入すると誤りやすい


5.まとめ

  • 令和8年分「扶養控除等申告書」はB欄の記載対象者が変更

  • 新設の「特定親族特別控除」により、所得58万円超100万円以下の大学生などが対象

  • A欄の配偶者収入要件は160万円以下に引き上げ

  • 源泉徴収事務では、A欄+B欄の人数で税額を算定するため確認を徹底


税理士からのひとこと

今回の改正は、扶養控除申告書の「書き方」に直接影響します。

特に、企業の給与担当者や年末調整を行なう経理担当者は、前年様式との違いを正確に理解し、従業員への周知を忘れないようにしましょう。


特定親族の該当可否や、配偶者の所得見積りなどで判断が難しい場合は、税理士に早めにご相談ください。


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