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令和8年分の年末調整様式案が公表|基礎控除引上げと生命保険料控除の特例を税理士が解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 12 分前
  • 読了時間: 7分

おはようございます!代表の安田です。


年末調整は、毎年の税制改正の影響を受けやすい実務です。特に、控除額や所得要件が変わる年は、申告書の様式変更や従業員への案内にも注意が必要です。


今回、国税庁は令和8年分の年末調整で使用する関係申告書の様式案を公表しました。

今回の様式案は、令和8年度税制改正による基礎控除等の引上げと、令和7年度改正で創設された23歳未満の扶養親族を有する場合における生命保険料控除の特例に対応するものです。確定版の様式は、6月末に公表予定とされています。


今回は、令和8年分の年末調整で変更が予定されている主な申告書と、給与担当者・経理担当者が押さえておきたいポイントを整理します。


大きく見直される予定の申告書は2つ

今回、大幅な見直しが予定されている様式案は、主に次の2つです。

  1. 令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書

  2. 令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書


名称が長いですが、実務では毎年の年末調整で従業員に記入してもらうおなじみの書類です。令和8年分では、基礎控除や生命保険料控除に関する改正を反映するため、これらの様式に変更が入る予定です。


基礎控除等の引上げに対応

まず、1つ目の申告書については、令和8年度改正による基礎控除等の引上げに対応した変更です。


令和8年分の所得税における基礎控除額について、基礎控除額の本則部分の引上げや特例部分の見直しにより、最大104万円になります。この最大104万円の対象は、合計所得金額489万円以下、給与収入だけで見ると年間給与収入665万5,556円以下の方です。


また、同一生計配偶者や扶養親族に係る合計所得金額要件についても、62万円以下へ引き上げられるとされています。これらはいずれも、令和8年12月1日以後に行う年末調整から適用されます。


基礎控除申告書の変更点

基礎控除申告書等の様式案では、主に3か所が変更される予定です。


まず、基礎控除の引上げに伴い、「基礎控除申告書」の「控除額の計算」表が、改正後の控除額に基づいて変更されます。控除額の計算欄に、合計所得金額に応じた新しい控除額が示されています。


また、同一生計配偶者および扶養親族の合計所得金額要件の引上げに伴い、次の欄も改正後の金額に合わせて変更される予定です。

  • 配偶者控除等申告書の「判定」欄

  • 特定親族特別控除申告書の「控除額の計算」表


ただし、これらはいずれも金額変更のみであり、令和7年分の様式から記載方法自体の変更は予定されていません。


令和9年分の扶養控除等申告書は大幅変更なしの予定

年末調整では、翌年分の扶養控除等申告書もあわせて配布・回収する会社が多いでしょう。この点について、令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書については、大幅なレイアウト変更や欄の追加等は行わない予定です。


つまり、令和8年分の年末調整関係書類のうち、特に注意すべきは、基礎控除申告書等と保険料控除申告書です。


生命保険料控除の特例とは?

今回の年末調整様式で最も実務上の影響が大きそうなのが、生命保険料控除の特例です。


この特例は、居住者が23歳未満の扶養親族を有する場合に、令和8年中に支払った新生命保険料の金額に応じて、一般生命保険料控除の控除額を引き上げる制度です。


通常、特例を適用しない場合、一般生命保険料控除の控除額は最大4万円です。

一方、この特例を適用した場合には、一般生命保険料控除の控除額が最大6万円になります。通常は令和8年中の支払保険料が8万円超で最大4万円、特例適用時は支払保険料が12万円超で最大6万円とされています。


子育て世帯にとっては、年末調整での確認事項が増える一方、控除額が増える可能性がある重要な改正です。


保険料控除申告書に「23歳未満の扶養親族の有無」欄を追加

この生命保険料控除の特例に対応するため、令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書の様式案は大きく見直されます。


生命保険料控除のうち、「一般の生命保険料」欄に、「23歳未満の扶養親族の有無」を判定する欄が追加されます。また、23歳未満の扶養親族を有するとして特例の適用を受ける場合に使用する「計算式Ⅱ」欄と、23歳未満の扶養親族の情報を記入する欄も追加される予定です。


合計適用限度額は12万円のまま

ここで注意したいのは、生命保険料控除の特例を使って一般生命保険料控除の上限が増えても、生命保険料控除全体の合計適用限度額が増えるわけではない点です。


特例を適用する場合であっても、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の合計適用限度額は、特例未適用の場合と同じ12万円です。

つまり、一般生命保険料控除の枠が最大6万円になる一方で、生命保険料控除全体としては12万円が上限です。従業員から「控除額が最大14万円になるのですか」といった質問が出る可能性もあるため、給与担当者はこの点を押さえておくとよいでしょう。


年末調整実務で想定される影響

令和8年分の年末調整では、従業員への案内文や記入例の見直しが必要になりそうです。

特に保険料控除申告書については、23歳未満の扶養親族がいるかどうかによって、使用する計算欄が変わります。


実務上は、次のような確認が必要になるでしょう。

  • 従業員に23歳未満の扶養親族がいるか

  • その扶養親族が控除対象として申告書に正しく記載されているか

  • 新生命保険料について特例対象となるか

  • 計算式Ⅰと計算式Ⅱを取り違えていないか

  • 生命保険料控除全体の上限12万円を超えていないか


初年度は記載ミスが増えやすいため、会社側でチェックポイントを明確にしておくことが大切です。


給与担当者が準備しておきたいこと

確定版の様式は6月末に公表予定とされていますが、今の段階から準備できることもあります。給与担当者や会計事務所としては、次の点を進めておくと安心です。


まず、令和8年分の年末調整では、基礎控除額や扶養親族等の所得要件が変わることを把握しておくことです。次に、保険料控除申告書について、23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例が新たに入ることを社内で共有します。


さらに、年末調整システムや給与ソフトが新様式・新控除計算に対応する時期を確認しておくことも重要です。紙で申告書を回収している会社では、従業員向けの記入例やチェックリストの更新も必要になるでしょう。


顧問先に伝えたいこと

顧問先に対して、単に「様式が変わります」と伝えるだけでなく、実務上の注意点まで案内しておきたいところです。特に、次のポイントは早めに共有しておきたいところです。

  • 令和8年分の年末調整では、基礎控除等の引上げが反映される

  • 基礎控除は最大104万円となるケースがある

  • 同一生計配偶者・扶養親族の所得要件は62万円以下へ引き上げられる

  • 23歳未満の扶養親族がいる場合、一般生命保険料控除の上限が最大6万円になる特例がある

  • ただし、生命保険料控除全体の合計上限は12万円のまま

  • 確定版様式は6月末公表予定である

年末調整は、従業員からの質問も多い実務です。早めに改正内容を把握しておくことで、年末の混乱をかなり減らせます。


まとめ

国税庁は、令和8年分の年末調整で使用する関係申告書の様式案を公表しました。主な変更点は、令和8年度改正による基礎控除等の引上げと、令和7年度改正で創設された23歳未満の扶養親族を有する場合における生命保険料控除の特例への対応です。基礎控除については、令和8年分の所得税で最大104万円となり、同一生計配偶者および扶養親族の合計所得金額要件は62万円以下へ引き上げられます。


また、保険料控除申告書では、「一般の生命保険料」欄に23歳未満の扶養親族の有無を判定する欄や、特例適用時の計算式Ⅱ、扶養親族情報の記入欄が追加される予定です。特例により一般生命保険料控除は最大6万円になりますが、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除を合わせた生命保険料控除全体の上限は、従来どおり12万円です。


令和8年分の年末調整は、控除額や様式の変更により、従業員・給与担当者ともに確認事項が増えます。確定版様式の公表後は、社内案内、給与ソフト、記入例、チェックリストを早めに更新しておきましょう。

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