企業会計基準第41号「後発事象」基準が公表|評価期間は「公表の承認日」へ、注記(承認日・承認者)も新設
- 安田 亮
- 3 時間前
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おはようございます!代表の安田です。
ASBJ(企業会計基準委員会)は、企業会計基準第41号「後発事象に関する会計基準」および関連する適用指針等を公表しました。従来は、監査基準報告書の実務指針(監基報560実1)に基づく実務が中心でしたが、今回の公表により、後発事象に関する包括的な会計基準が整備された形です。
今回のポイントは大きく2つあります。
後発事象の評価期間の末日(どこまでの事象を反映・開示するか)が、原則として「財務諸表の公表の承認日」になったこと
重要な開示後発事象の注記に加え、「公表の承認日」と「承認した機関/個人」の注記が新設されたこと
本日は、実務担当者が押さえるべき変更点と準備事項を、公認会計士の立場から整理します。
1. 後発事象とは?新基準の定義と「評価期間」の考え方
新基準では、後発事象を「決算日後に発生した、財政状態・経営成績・キャッシュ・フローに影響を及ぼす事象のうち、評価期間の末日までに発生した事象」と定義しています。
連結の場合は「決算日後」を「連結決算日後」へ読み替え、子会社等は「子会社等の決算日後」とする整理も示されています。
そして、評価期間の末日の原則は、監査報告書日ではなく、「財務諸表の公表の承認日」とされました。この整理は、国際基準(IAS第10号)との整合を意識したものです。
2. 修正後発事象と開示後発事象:基本は従来実務を踏襲
新基準は、監基報560実1の考え方を基本的に踏襲しつつ、会計基準として整備したものです。
修正後発事象:決算日現在に実質的な原因があり、決算日時点の判断・見積りに追加的/客観的証拠を与える事象(重要なものは財務諸表を修正)
開示後発事象:当期の財務諸表には影響しないが、翌期以降に影響し得る事象(重要な場合は注記)
実務感覚としては、「区分の考え方は大きく変わらないが、評価期間と注記が整理された」と捉えると分かりやすいです。
3. 会社法との関係で重要:計算書類等は「確認日」を評価期間末日とする特例
日本の実務で悩ましいのが、会社法(計算書類等)と金商法(有報)の二重構造です。
新基準の原則は「公表の承認日」ですが、会計監査人設置会社の計算書類等/連結計算書類については、評価期間末日を「確認日」とする特例が示されています。
ここでいう確認日とは、会社が「企業会計基準+会社計算規則に準拠して計算書類等を作成する責任を果たした」ことを確認した日、という整理です。
4. 注記が増える:公表の承認(承認日+承認者)を原則として開示
新基準では注記として、次の2つが整理されています。
(1)財務諸表の公表の承認(新設)
公表の承認日
公表を承認した機関または個人の名称
この注記は、連結財務諸表・個別財務諸表の双方で求められる点が重要です(連結と個別はそれぞれの公表承認があるため)。
(2)重要な開示後発事象
事象の内容・影響額等
見積りができない場合は、その旨と理由
なお、重要な開示後発事象については、連結と個別で注記内容が同一なら、個別では「同一である旨」の記載でも可とされています。一方、期中財務諸表では「公表承認」注記は求めない整理です。
5. 適用時期:2027年4月1日以後開始年度から
適用開始は、2027年4月1日以後開始する事業年度(連結会計年度)期首からで、将来にわたって適用(遡及は求めない)とされています。理由として、評価期間の考え方の変更に伴う周知・準備期間の必要性等が挙げられています。
6. 実務チェックリスト:今から準備できること
制度施行は先ですが、準備は早いほど楽になります。
「公表の承認日」を社内で定義(取締役会?代表者?)し、文書化
公表承認プロセス(誰が承認し、いつ決まるか)を決算スケジュールに組み込む
後発事象の収集ルートを整備(法務・IR・経営企画・子会社からの報告)
重要性判断の基準(定量・定性)と証跡(検討メモ)を残す
会社法の計算書類等は「確認日」特例があるため、監査人・総会事務局と手続きをすり合わせる
まとめ:後発事象は「公表承認日」基準へ。注記新設により、承認プロセスの見える化が進む
企業会計基準第41号により、後発事象の評価期間は原則「財務諸表の公表の承認日」までとなり、加えて公表承認(承認日・承認者)の注記が新設されます。会社法の計算書類等には確認日の特例が置かれるなど、日本固有の実務にも配慮されています。企業としては、後発事象の評価そのものだけでなく、公表承認プロセスの整備が実務対応のカギになります。




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