国税庁がリース改正通達の趣旨説明を公表
- 安田 亮
- 2025年12月30日
- 読了時間: 4分
おはようございます!代表の安田です。
2027年4月以後開始事業年度から、新リース会計基準の強制適用が始まります。これに合わせて法人税基本通達等も改正されており、2025年11月28日に国税庁が 「改正リース通達の趣旨説明」 を公表しました。
今回の趣旨説明は、
会計基準と税務の整合
税務上のリース資産の取得価額
会計リース期間と税務の「リース期間」の関係
フルペイアウト要件の税務上の扱い
など、実務で迷いやすい論点を明確にするものです。
1.リース資産の取得価額 ― 会計の「使用権資産」とは別概念
改正法人税基本通達7-6-2-9では、税務上のリース資産の取得価額をリース期間中のリース料の合計額とすることが明確化されました。(※従来の「支払うべきリース料」から文言が変更)
趣旨説明では次の重要ポイントが示されています。
✔ 使用権資産に含める「資産除去債務」は、リース資産の取得価額には含めない
会計基準では、使用権資産の取得原価に資産除去債務に対応する除去費用を加算します。
しかし税務では、
除去費用はリース料ではない
リース資産を事業に供するための直接費用でもない
ため、税務上の取得価額には含まれません。
これは、会計と税務の取得価額が乖離する典型例であり、固定資産台帳・別表十六との整合を意識した管理が必要です。
2.使用権資産の減価償却費は「税務でも償却費として損金算入」
通達7-5-3では、会計上使用権資産として計上した減価償却費は、法人税法上の償却費として損金算入できることが明確化されています。
趣旨説明では、会計の「使用権資産」と税務の「リース資産(原資産)」は概念としては異なるものの、経済実態としては同等の資産であると説明されています。
つまり、会計基準と税務処理は形式上異なりながらも、損金算入額が大きく乖離しないように調整されている点がポイントです。
3.税務の「リース期間」に会計の“会計リース期間”を用いてよい
通達7-6-2-10の2で、税務上の定額法の基礎となる「リース期間」に会計リース期間を用いることが認められました。
会計におけるリース期間は、
解約不能期間
延長オプション(行使が合理的に確実なもの)
解除オプション(行使しないことが合理的に確実なもの)
を含む期間です。
国税庁が容認した理由は:
✔ オプションの判断が恣意的でない(契約で定められている)
✔ 会計と税務で期間が異なると、実務負担が大きい
これにより、償却期間の整合性が取れ、実務が大幅にスムーズになります。
4.フルペイアウト要件 ― 会計基準の判定を税務でも採用
通達12-5-1-3では、
現在価値基準
経済的耐用年数基準
のいずれかを満たす場合、税務でもフルペイアウト要件を満たすと認める旨が示されています。これは、会計基準との整合性を意識した判断であり、リースの「税務判定」に関する実務の混乱を回避するものです。
5.その他の修正 ― 文言の誤記を訂正
11月27日には、
法人税基本通達12-5-1-6(90%判定)
租税特別措置法通達59の3(1)−3(実質支配関係)
について誤記が修正されたことも公表されています。
公認会計士の視点:実務で注意すべきポイント
✔ 取得価額の差異(使用権資産 vs 税務リース資産)を台帳で管理
資産除去債務が会計のみに含まれることから、減価償却資産台帳と別表調整が複雑化します。
✔会計リース期間を税務で使えることは実務効率化に大きなメリット
ただし、オプションの合理的確実性判断は税務調査で確認される可能性が高いです。
✔フルペイアウト要件の会計基準準拠は、会計・税務の説明責任が整合
会計上の判定プロセスを文書化しておくことが重要。
✔新リース基準導入に向け、会計・税務の「二元管理」のリスクが増大
会計と税務で計算構造が異なるため、システム整備・内部統制の見直しは必須といえます。
まとめ
今回の趣旨説明は、新リース会計基準と法人税の橋渡しを行う重要文書です。
特に、
取得価額に含めない項目
会計リース期間の税務利用
フルペイアウト要件の整合化
など、企業実務で迷いやすい論点がクリアになりました。
新リース会計基準は2027年4月から適用されるため、会計・税務の両面で準備を本格化させる必要があります。
当事務所では、リース資産の会計処理・税務処理の整理、会計基準変更プロジェクトのサポート、税務申告調整の方針策定なども支援しております。
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