top of page

売上はあるのに忙しいだけ?中小企業が陥りやすい薄利多忙の改善策

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 10 時間前
  • 読了時間: 12分

こんばんは!代表の安田です。


中小企業の経営者からは、次のような相談を受けることがあります。

  • 売上はそれなりにあるのに、なぜかお金が残らない

  • 毎日忙しいのに、利益が増えている実感がない

  • 仕事はあるのに、社員も社長も疲弊している

  • 売上を伸ばしているはずなのに、資金繰りが楽にならない


このような状態に心当たりがある場合、会社は「薄利多忙」に陥っている可能性があります。


薄利多忙とは、売上や仕事量はあるものの、利益が少なく、忙しさばかりが増えている状態です。一見すると会社は順調に見えますが、実際には社員の負担が大きく、社長も現場対応に追われ、手元資金も思ったほど増えていないというケースがあります。


中小企業にとって大切なのは、単に売上を増やすことではありません。利益が残り、社員が無理なく働けて、会社が継続的に成長できる状態をつくることです。


本日は、中小企業が陥りやすい薄利多忙の原因と、改善するための具体的なポイントについて解説します。


薄利多忙とはどのような状態か

薄利多忙とは、簡単にいえば「忙しいのに儲からない状態」です。


売上がないわけではありません。むしろ、仕事量は多く、現場は常に忙しい状態です。経営者も社員も一生懸命働いています。


しかし、決算書や資金繰りを確認すると、思ったほど利益が出ていなかったり、手元資金が増えていなかったりします。

たとえば、次のような状態です。

  • 売上は増えているのに利益が増えていない

  • 仕事量は多いのに社員の給与を上げる余力がない

  • 社長が現場に入り続けないと仕事が回らない

  • 値引き対応が多く、利益率が低い

  • 手間のかかる顧客対応に時間を取られている

  • 忙しいのに資金繰りが楽にならない

  • 新しい取り組みに使う時間がない


このような状態が続くと、会社の成長は難しくなります。

忙しさによって一時的には売上を維持できるかもしれません。しかし、利益が残らなければ、採用、教育、設備投資、IT化、広告宣伝など、将来のための投資ができません。

また、社員の負担が大きい状態が続くと、離職やモチベーション低下にもつながります。


<なぜ中小企業は薄利多忙に陥りやすいのか>

中小企業が薄利多忙に陥りやすい背景には、いくつかの理由があります。


1. 売上を優先しすぎている

多くの経営者にとって、売上はわかりやすい指標です。

「売上が増えた」「取引先が増えた」「受注件数が増えた」

これらは会社が成長しているように見えます。


しかし、売上が増えても、利益率が低ければ会社にお金は残りません。むしろ、売上が増えるほど仕入、外注費、人件費、管理コストも増え、資金繰りが苦しくなることもあります。

特に中小企業では、「仕事があるだけありがたい」と考えて、利益率の低い仕事や手間のかかる仕事を引き受け続けてしまうことがあります。


もちろん、創業期や取引拡大期には、売上を確保することが必要な場面もあります。しかし、会社が継続的に成長するためには、どこかの段階で「売上重視」から「利益重視」へ考え方を変える必要があります。


2. 値引きが当たり前になっている

薄利多忙の会社では、値引きが習慣化していることがあります。

たとえば、次のようなケースです。

  • 競合より安くしないと受注できないと思っている

  • 長年の取引先だから価格を上げられない

  • 顧客から頼まれると断れずに値引きしてしまう

  • 追加対応を無料で行なっている

  • 原価や人件費が上がっても価格を据え置いている


値引きは、短期的には受注につながるかもしれません。しかし、値引きが続くと利益率が下がり、会社の体力を奪います。


また、一度安い価格で受けた仕事は、後から価格を上げるのが難しくなります。顧客側も「この価格でやってくれる会社」と認識するため、追加対応や短納期対応も当然のように求められることがあります。


価格は、会社の利益だけでなく、社員の働き方やサービス品質にも影響します。安すぎる価格設定は、結果として会社にも顧客にも良い結果をもたらさない場合があります。


3. 手間のかかる仕事を見える化できていない

売上や利益は数字で把握しやすい一方で、「手間」は見えにくいものです。


同じ売上100万円の仕事でも、短時間で完了する仕事と、多くの打ち合わせ・修正・調整が必要な仕事では、会社に残る利益は大きく異なります。


たとえば、次のような仕事は注意が必要です。

  • 打ち合わせ回数が多い

  • 細かい修正依頼が多い

  • 問い合わせ対応に時間がかかる

  • 社内調整が多い

  • 納期が厳しい

  • クレームやトラブルが発生しやすい

  • 特定の社員しか対応できない


これらの仕事は、売上だけを見ると悪くないように見えることがあります。しかし、実際には多くの時間を使い、社員の負担も大きく、利益を圧迫しているかもしれません。


薄利多忙を改善するためには、売上や粗利だけでなく、どれだけ手間がかかっているかを把握することが重要です。


4. 社長や優秀な社員に仕事が集中している

薄利多忙の会社では、社長や一部の優秀な社員に仕事が集中していることが多くあります。

  • あの人に聞かないとわからない

  • 社長が確認しないと進まない

  • ベテラン社員しか対応できない


このような状態では、会社全体の処理能力に限界が出ます。


社長や優秀な社員が忙しすぎると、重要な改善活動や新しい取り組みに時間を使えません。また、特定の人に負担が集中すると、疲弊や離職のリスクも高まります。


会社が忙しいにもかかわらず利益が残らない場合、仕事量そのものだけでなく、仕事の偏りや属人化にも目を向ける必要があります。


5. 「やめる仕事」を決められていない

薄利多忙の根本的な原因の一つは、やめる仕事を決められていないことです。


中小企業では、取引先との関係や売上への不安から、利益率の低い仕事や負担の大きい仕事を続けてしまうことがあります。


しかし、すべての仕事を引き受け続けると、会社の限られた人材・時間・資金が分散してしまいます。本当に伸ばすべき仕事に集中できず、結果として会社全体の利益率が下がってしまいます。


薄利多忙から抜け出すためには、「どの仕事を増やすか」だけでなく、「どの仕事を減らすか」「どの仕事をやめるか」を考えることが必要です。


<薄利多忙を放置するとどうなるか>

薄利多忙の状態を放置すると、会社にはさまざまな問題が生じます。


利益が残らず投資できない

利益が少ない会社は、将来のための投資が難しくなります。

たとえば、採用、社員教育、設備投資、IT化、広告宣伝、商品開発などには資金が必要です。利益が残らなければ、これらの投資が後回しになります。

その結果、会社の生産性は上がらず、さらに忙しさに頼る経営になってしまいます。


社員が疲弊する

薄利多忙の会社では、現場の負担が大きくなりがちです。

忙しいのに利益が出ていないため、十分な人員補充や待遇改善が難しくなります。結果として、既存社員に負担が集中し、疲弊や離職につながることがあります。

人手不足の時代に社員が辞めてしまうと、さらに業務が回らなくなり、悪循環に陥る可能性があります。


社長が経営に集中できない

社長が日々の現場対応に追われていると、会社の将来を考える時間がなくなります。

本来であれば、利益率の改善、価格戦略、採用計画、業務改善、新規事業などに時間を使うべきです。しかし、目の前の仕事に追われていると、これらの重要な仕事が後回しになります。


薄利多忙は、単に利益の問題ではありません。社長の時間を奪い、会社の成長機会を失わせる問題でもあります。


<薄利多忙を改善するためのポイント>

では、薄利多忙から抜け出すためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。


1. 売上ではなく利益を見る

まず大切なのは、売上だけで判断しないことです。

売上が大きい仕事でも、利益が少なければ会社にお金は残りません。反対に、売上規模は小さくても、利益率が高く、手間が少ない仕事であれば、会社にとって重要な仕事です。

仕事ごと、顧客ごと、商品・サービスごとに、どれだけ利益が出ているかを確認しましょう。

可能であれば、次のような視点で整理すると効果的です。

  • 売上高

  • 原価

  • 外注費

  • 人件費相当

  • 対応時間

  • 修正や追加対応の回数

  • クレーム対応の有無

  • 入金までの期間


このように整理すると、売上は大きいものの実は利益が少ない仕事や、手間が少なく利益率の高い仕事が見えやすくなります。


2. 手間のかかる顧客・仕事を把握する

薄利多忙を改善するには、数字だけでなく、現場の負担も把握する必要があります。

たとえば、社員に次のような質問をしてみると、負担の大きい仕事が見えてきます。

  • 対応に時間がかかっている顧客はどこか

  • 修正や問い合わせが多い仕事は何か

  • 毎回トラブルになりやすい案件はあるか

  • 精神的な負担が大きい仕事は何か

  • 本来の業務を圧迫している作業は何か


経営者から見えている数字と、現場が感じている負担には差があることがあります。

現場の声を確認することで、売上や利益だけでは見えない問題を把握できます。


3. 価格を見直す

原価、人件費、外注費、物流費、システム利用料などが上がっているにもかかわらず、価格を据え置いている会社は少なくありません。


その状態で仕事量だけが増えると、利益率は下がっていきます。

薄利多忙を改善するためには、価格の見直しが必要です。


ただし、単に「値上げします」と伝えるだけでは、顧客の理解を得にくい場合があります。価格改定を行う際には、次のような準備が大切です。

  • 原価や人件費の上昇を整理する

  • これまで無料で対応していた範囲を明確にする

  • サービス内容と価格の関係を見直す

  • 既存顧客には早めに説明する

  • 値上げ後も提供できる価値を伝える


価格を上げることは、単に会社の利益を増やすためだけではありません。社員が無理なく働き、品質を維持し、顧客に安定したサービスを提供するためにも重要です。


4. 対応範囲を明確にする

薄利多忙の会社では、追加対応やイレギュラー対応が利益を圧迫していることがあります。

最初の見積や契約では想定していなかった作業を、顧客から頼まれるまま無料で対応しているケースです。


たとえば、次のような対応です。

  • 追加の打ち合わせ

  • 何度もの修正対応

  • 急な納期変更

  • 契約外の相談対応

  • 本来別料金にすべき作業

  • 休日や夜間の対応


これらをすべて無料で対応していると、表面上の売上は変わらなくても、実際の利益率は下がっていきます。


見積書や契約書、提案書の段階で、対応範囲を明確にすることが重要です。どこまでが基本料金に含まれ、どこからが追加料金になるのかを整理しておくことで、無理な対応を減らすことができます。


5. 業務を標準化する

同じような仕事でも、担当者によってやり方が違うと、時間がかかり、ミスも増えます。

薄利多忙を改善するには、業務の標準化が有効です。

たとえば、次のような取り組みです。

  • 作業手順をマニュアル化する

  • チェックリストを作成するテンプレートを用意する

  • よくある質問への回答をまとめる

  • ファイル保存ルールを決める

  • 顧客対応の流れを統一する

  • 新人でも対応しやすい仕組みをつくる


標準化によって、作業時間を短縮できるだけでなく、品質のばらつきも減らせます。

特に中小企業では、ベテラン社員や社長の経験に依存している業務が多くなりがちです。業務を標準化することで、特定の人に頼らなくても仕事が回りやすくなります。


6. 利益率の低い仕事を減らす

薄利多忙から抜け出すためには、利益率の低い仕事を見直す必要があります。

もちろん、すべての低利益案件をすぐにやめる必要はありません。長年の取引先や将来性のある顧客もあるため、慎重な判断が必要です。

しかし、次のような仕事は見直しの対象になります。

  • 価格改定に応じてもらえない仕事

  • 手間が多く、利益がほとんど残らない仕事

  • 社員の負担が大きすぎる仕事

  • クレームやトラブルが多い仕事

  • 会社の強みを活かせない仕事

  • 将来的な成長につながりにくい仕事


まずは、新規受付を停止する、価格改定を提案する、対応範囲を限定するなど、段階的な見直しから始めるとよいでしょう。


「やめる仕事」を決めることは、売上を減らすためではありません。会社の限られた時間と人材を、より利益の出る仕事に集中させるための経営判断です。


7. 社長の時間を利益改善に使う

薄利多忙の会社では、社長自身も現場に追われていることが多いです。


しかし、社長が毎日現場対応に追われていると、利益改善のための取り組みが進みません。

社長が優先して取り組むべきことは、単に目の前の仕事をこなすことではなく、会社全体の利益構造を改善することです。


たとえば、次のような仕事です。

  • 利益率の低い仕事の見直し

  • 価格改定の方針決定

  • 顧客別の採算確認

  • 業務改善の優先順位づけ

  • 社員への権限移譲

  • 外注やIT化の検討

  • 将来伸ばす事業の選定


社長の時間は、会社にとって最も重要な経営資源の一つです。忙しい仕事をこなすだけでなく、忙しさそのものを減らし、利益が残る仕組みをつくることに時間を使う必要があります。


薄利多忙から抜け出すための第一歩

薄利多忙を改善するために、最初から大きな改革をする必要はありません。

まずは、次の3つから始めるとよいでしょう。


1つ目は、売上だけでなく利益を見ることです。どの仕事が利益を生んでいるのか、どの仕事が利益を圧迫しているのかを確認します。


2つ目は、手間のかかる仕事を把握することです。数字には表れにくい現場の負担を確認し、改善すべき業務を洗い出します。


3つ目は、価格や対応範囲を見直すことです。安すぎる価格や無料の追加対応が続いている場合は、利益率が下がる原因になります。

この3つを整理するだけでも、会社の課題はかなり見えやすくなります。


まとめ

売上があるのに忙しいだけで利益が残らない状態は、中小企業が陥りやすい経営課題です。

薄利多忙の状態では、社長や社員が一生懸命働いているにもかかわらず、会社に利益が残りにくくなります。その結果、採用、教育、設備投資、IT化など、将来のための投資も難しくなります。


薄利多忙を改善するためには、売上だけでなく利益を見ることが重要です。また、手間のかかる仕事を把握し、価格や対応範囲を見直し、業務を標準化し、利益率の低い仕事を段階的に減らしていく必要があります。


中小企業にとって大切なのは、忙しく働くことそのものではありません。限られた人材・時間・資金を活かし、利益が残る仕事に集中することです。


売上を増やす前に、まずは今の仕事が本当に会社に利益をもたらしているかを見直してみましょう。


忙しいだけの会社から、利益が残る会社へ。

そのためには、日々の仕事を整理し、会社にとって本当に重要な仕事に集中することが大切です。


神戸での起業や開業に関するご相談、顧問税理士をお探しの方は安田亮公認会計士・税理士事務所までお問い合わせください!

神戸の税理士事務所ロゴ

コメント


bottom of page