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小規模事業者持続化補助金とは?対象者・補助上限・申請時の注意点を公認会計士・税理士が解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 9 時間前
  • 読了時間: 12分

こんばんは!代表の安田です。


小規模事業者が新たな販路を開拓したい場合や、売上拡大に向けて広告宣伝、店舗改装、設備導入、展示会出展などを行いたい場合に、活用を検討したい補助金が「小規模事業者持続化補助金」です。


小規模事業者持続化補助金は、商工会・商工会議所の支援を受けながら経営計画を作成し、その計画に基づいて行なう販路開拓等の取組を支援する制度です。


比較的小規模な投資でも活用しやすく、個人事業主や小規模法人にとって使いやすい補助金の一つです。


たとえば、チラシやパンフレットの作成、ホームページやECサイトの改修、店舗改装、展示会への出展、新商品の開発、業務効率化につながる設備導入などに活用できる可能性があります。


本日は、小規模事業者持続化補助金について、対象者、補助上限額、補助率、対象経費、申請時の注意点を、公認会計士・税理士の視点からわかりやすく解説します。


小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が持続的な経営に向けて作成した経営計画に基づき、販路開拓や業務効率化に取り組む場合に、その費用の一部を補助する制度です。


制度の中心にあるのは「販路開拓」です。

単に備品を購入する、古くなった設備を買い替えるというだけではなく、新たな顧客を獲得する、売上を伸ばす、事業を継続・発展させるという目的が必要です。


たとえば、次のような取組が想定されます。

  • 新商品をPRするためのチラシやパンフレットの作成

  • 集客力を高めるための看板設置

  • 新たな販路を開拓するための展示会出展

  • ECサイトやホームページの改修

  • 店舗のレイアウト変更や改装

  • 新商品開発のための試作品製作

  • 顧客対応や販売促進につながる設備導入

  • 販路開拓とあわせて行なう業務効率化の取組


小規模事業者持続化補助金は、比較的身近な投資にも使いやすい制度ですが、申請には経営計画や補助事業計画の作成が必要です。


「何を買うか」だけではなく、「なぜその取組が必要か」「どのように売上拡大や販路開拓につながるか」を説明することが重要です。


対象となる小規模事業者とは

小規模事業者持続化補助金の対象となるのは、一定の従業員数以下の小規模事業者です。

小規模事業者に該当するかどうかは、業種ごとの常時使用する従業員数で判断されます。

主な基準は、次のとおりです。

  • 商業・サービス業:常時使用する従業員数5人以下

  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員数20人以下

  • 製造業その他:常時使用する従業員数20人以下


個人事業主でも法人でも、要件を満たせば対象になり得ます。


一方で、従業員数が基準を超える場合や、補助対象外の事業に該当する場合は申請できません。役員、個人事業主本人、同居親族、パート・アルバイトの取扱いなど、従業員数の判定には細かいルールがあるため、申請前に公募要領を確認する必要があります。


主な類型

小規模事業者持続化補助金には、複数の類型があります。

代表的なものとして、一般型、創業型、共同・協業型、ビジネスコミュニティ型があります。さらに、災害の影響を受けた事業者向けには災害支援枠が設けられることがあります。


それぞれ対象者や目的、補助上限額、申請方法が異なるため、自社の状況に合った類型を選ぶことが重要です。


一般型・通常枠

もっとも一般的に利用されるのが、一般型・通常枠です。

一般型・通常枠は、小規模事業者が商工会・商工会議所の支援を受けながら経営計画を作成し、その計画に基づいて販路開拓等に取り組む場合に利用できる制度です。


補助上限額は原則50万円、補助率は原則3分の2です。

たとえば、75万円の補助対象経費を使う場合、補助率3分の2で計算すると補助額は50万円となります。


対象経費としては、機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費などが想定されます。


一般型・通常枠は、店舗型ビジネス、士業、飲食業、小売業、サービス業、製造業など、幅広い業種で活用を検討できます。たとえば、次のようなケースです。

  • 飲食店が新メニューをPRするためにチラシを作成する

  • 美容室が新規顧客獲得のために看板や予約サイトを整備する

  • 製造業が新商品の販路開拓のために展示会へ出展する

  • 小売店がEC販売を強化するためにホームページを改修する

  • サービス業が集客のためにパンフレットや動画を作成する


ただし、補助金を使って単にホームページを作る、設備を買うというだけでは不十分です。経営計画上の課題と補助事業の内容がつながっていることが重要です。


インボイス特例・賃金引上げ特例

一般型・通常枠では、一定の要件を満たす場合に補助上限額が上乗せされる特例があります。代表的なものが、インボイス特例と賃金引上げ特例です。


インボイス特例は、免税事業者からインボイス発行事業者に転換した事業者など、一定の要件を満たす場合に補助上限額が上乗せされる制度です。


賃金引上げ特例は、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる場合に補助上限額が上乗せされる制度です。


特例を利用できる場合、通常枠の補助上限50万円に上乗せが行われ、最大で250万円まで補助上限が引き上げられることがあります。


ただし、特例には細かい要件があります。インボイス登録の時期、賃上げの対象者、最低賃金の判定方法、申請時・実績報告時の証明資料などを確認する必要があります。


「上限額が増えるから」という理由だけで特例を選ぶのではなく、実際に要件を満たせるかを慎重に判断することが大切です。


創業型

創業型は、創業後間もない小規模事業者を対象とする類型です。


創業後の販路開拓や事業基盤の整備を支援するもので、補助上限額は原則200万円、補助率は原則3分の2です。一定の要件を満たす場合には、インボイス特例による上乗せが認められることがあります。


対象となるのは、創業後一定期間内の小規模事業者です。創業型では、認定市区町村等による特定創業支援等事業の支援を受けていることなどが要件になるため、通常枠よりも確認すべき事項が多くなります。


たとえば、次のような取組が考えられます。

  • 開業後の店舗リニューアル

  • 新規顧客獲得のための広告宣伝

  • 厨房設備や施術設備の導入

  • 創業直後のサービス認知度向上のためのホームページ制作

  • 新商品開発や販促ツールの作成


創業直後は資金に余裕がないケースも多いため、補助金を活用できれば販路開拓の初期投資を抑える効果があります。


ただし、補助金は原則として後払いです。採択されたとしても、支払い時点では自己資金や借入で資金を準備する必要があります。


災害支援枠

災害支援枠は、地震や豪雨などの災害により被害を受けた小規模事業者が、事業再建や販路開拓に取り組む場合に利用できる類型です。


令和6年能登半島地震や奥能登豪雨など、対象となる災害や地域が定められるため、誰でも利用できるものではありません。


補助上限額は、被害の内容に応じて、直接被害の場合は200万円、間接被害の場合は100万円などとされることがあります。補助率は原則3分の2ですが、一定の場合には定額補助が認められることもあります。


災害支援枠では、通常の販路開拓に加えて、被災した設備の修繕、車両購入、事業再建に必要な取組などが対象となる場合があります。


申請時には、罹災証明書、被災証明書、売上減少を証明する書類など、被害状況を示す資料が必要になることがあります。


共同・協業型

共同・協業型は、地域振興等機関が主体となり、複数の小規模事業者の販路開拓を支援する取組を対象とする類型です。


たとえば、地域の小規模事業者を集めた合同展示会、商談会、催事販売、共同プロモーション、マーケティング拠点の活用などが想定されます。


補助上限額は最大5,000万円と大きく、通常枠や創業型とは性質が異なります。

申請者は、個々の小規模事業者ではなく、地域振興等機関です。小規模事業者を10者以上集めて販路開拓を支援する取組が想定されています。


個別の小規模事業者が単独で使う補助金というより、地域全体や複数事業者の連携によって販路拡大を図る制度と考えるとわかりやすいでしょう。


ビジネスコミュニティ型

ビジネスコミュニティ型は、商工会・商工会議所の内部組織などが、地域の持続的発展を目指して行う取組を支援する類型です。


5者以上の小規模事業者で構成されるグループが、調査研究、セミナー、研修、地域課題の解決に向けた取組などを行う場合に活用されます。


補助上限額は50万円、2以上の補助対象者が共同で実施する場合は100万円とされることがあります。


通常枠や創業型のように、個社の広告宣伝や設備投資を支援する制度とは異なり、地域や団体としての取組を支援する性格が強い類型です。


補助対象経費

小規模事業者持続化補助金で対象となる経費は、類型によって異なります。

一般型・通常枠や創業型では、主に次のような経費が対象になります。

  • 機械装置等費

  • 広報費

  • ウェブサイト関連費

  • 展示会等出展費

  • 旅費

  • 新商品開発費

  • 借料

  • 委託・外注費


たとえば、販路開拓のためのチラシ、パンフレット、看板、ホームページ改修、ECサイト構築、展示会出展、試作品開発、店舗改装などが対象になり得ます。


一方で、補助事業と関係のない備品、汎用性の高いパソコンやタブレット、単なる消耗品、通常の事業活動に必要な経費、補助事業期間外に発注・支払した経費などは対象外となる可能性があります。


特に注意したいのは、補助金では「採択されたら何でも対象になる」わけではない点です。

採択後に交付決定を受け、その後に発注・契約・支払いを行う必要があります。交付決定前に発注してしまうと、原則として補助対象外になる可能性があります。


申請の流れ

一般型・通常枠や創業型では、電子申請が基本となります。

大まかな流れは次のとおりです。

  1. GビズIDプライムアカウント等を取得する

  2. 経営計画・補助事業計画を作成する

  3. 商工会・商工会議所に相談する

  4. 事業支援計画書の発行を依頼する

  5. 電子申請システムで申請する

  6. 採択結果の通知を受ける

  7. 見積書等を提出し、交付決定を受ける

  8. 補助事業を実施する

  9. 実績報告を行なう

  10. 補助金額が確定する

  11. 補助金を請求し、交付を受ける

  12. 事業効果報告を行なう


小規模事業者持続化補助金では、商工会・商工会議所の支援が重要です。申請締切の直前に相談しても、事業支援計画書の発行が間に合わない可能性があります。


申請を検討する場合は、締切の少なくとも数週間前には商工会・商工会議所に相談しておくことをおすすめします。


採択されるために重要なポイント

小規模事業者持続化補助金では、経営計画と補助事業計画の整合性が重要です。


たとえば、単に「ホームページを作りたい」「看板を設置したい」と書くだけでは弱い申請になります。


次のような流れで整理すると、説得力のある計画になります。

まず、自社の現状を分析します。顧客層、売上構成、強み、弱み、競合状況、地域の市場環境などを整理します。


次に、経営課題を明確にします。たとえば、新規顧客の獲得ができていない、既存顧客に依存している、認知度が低い、単価が上がらない、来店客数が減っているなどです。


そのうえで、補助事業によって何を行なうのかを具体的に説明します。チラシを作る、展示会に出る、店舗を改装する、ECサイトを整備するなど、実施内容を明確にします。


最後に、その取組によってどのような効果が見込まれるかを示します。売上増加、来店客数の増加、問い合わせ件数の増加、新規取引先の獲得、客単価向上など、できるだけ数値で説明することが望ましいです。


補助金申請では、事業のストーリーが大切です。

現状分析、課題、取組内容、効果が一本の線でつながっているかを確認しましょう。


会計・税務上の注意点

補助金を受け取った場合、会計・税務処理にも注意が必要です。


法人が補助金を受け取った場合、原則として収益に計上され、法人税の課税対象となります。個人事業主の場合も、原則として事業所得の収入金額に含まれます。


一方で、補助金を使って固定資産を取得した場合には、一定の要件を満たせば圧縮記帳を検討できることがあります。


圧縮記帳を行なうと、補助金を受け取った年度の税負担を一定程度繰り延べることができます。ただし、税金が完全になくなるわけではなく、将来の減価償却費が少なくなるため、課税時期を調整する制度と考える必要があります。


また、消費税については、補助金収入そのものは通常、課税売上には該当しません。ただし、補助対象経費に係る消費税、税込・税抜の申請額、仕入税額控除の取扱いには注意が必要です。


補助金の対象経費は、見積書、請求書、契約書、納品書、支払証憑などの保存が重要です。実績報告時に必要書類が不足していると、補助対象経費として認められない可能性があります。


小規模事業者持続化補助金が向いている事業者

小規模事業者持続化補助金は、次のような事業者に向いています。

  • 新規顧客を獲得したい

  • 店舗やサービスの認知度を高めたい

  • チラシ、パンフレット、看板、ホームページを整備したい

  • 展示会や商談会に出展したい

  • 新商品や新サービスを開発したい

  • 創業後の販路開拓を強化したい

  • 小規模な設備投資で売上拡大につなげたい

  • 商工会・商工会議所と相談しながら経営計画を作りたい


特に、補助対象経費の規模が数十万円から数百万円程度の小規模事業者にとっては、活用しやすい制度です。


一方で、大規模な設備投資を検討している場合は、ものづくり補助金、中小企業省力化投資補助金、中小企業成長加速化補助金など、別の補助金の方が適しているケースもあります。


まとめ

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓や業務効率化に取り組む際に活用しやすい補助金です。


一般型・通常枠では、補助上限額は原則50万円、補助率は原則3分の2です。インボイス特例や賃金引上げ特例を活用できる場合には、補助上限額が上乗せされることがあります。


創業型、災害支援枠、共同・協業型、ビジネスコミュニティ型など、目的に応じた複数の類型も用意されています。


ただし、補助金は申請すれば必ずもらえるものではありません。経営計画と補助事業計画を作成し、商工会・商工会議所の支援を受け、採択後も交付決定、実績報告、補助金請求、事業効果報告などの手続きが必要です。


また、補助金は原則として後払いであり、会計・税務処理にも注意が必要です。

小規模事業者持続化補助金の活用を検討している場合は、販路開拓の目的、投資内容、資金繰り、税務処理まで含めて、早めに準備を進めることをおすすめします。


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