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後発事象の会計基準案が公表

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 7月31日
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


2025年7月8日、企業会計基準委員会(ASBJ)は「後発事象に関する会計基準(案)」を公表しました。本稿では、この会計基準案のポイントと実務への影響について、会計事務所の立場からわかりやすく解説します。


後発事象とは?

「後発事象」とは、決算日に関する事象のうち、決算日後に発生したが、財務諸表の作成や監査において反映・開示が必要とされる事象のことをいいます。これまでは監査基準報告書560に基づく実務指針により、主に監査の文脈で整理されていました。


【今回の改正ポイント①】対象期間の変更

これまでの実務指針では、後発事象の対象期間は「監査報告書日」までとされていました。しかし、今回の会計基準案では、対象期間を 「財務諸表の公表の承認日」まで に変更するとしています。

また、新たに以下の注記が必要になります。

  • 財務諸表の公表の承認日

  • 承認を行った機関または個人の名称

これは利用者の情報提供ニーズに対応するための措置であり、開示の透明性を高める効果が期待されます。


【改正ポイント②】監査との整合性と特例処理の維持

会計監査人設置会社における取扱いについても重要な見直しがあります。

  • 個別財務諸表と連結財務諸表それぞれについて、計算書類等や連結計算書類の「確認日後~承認日まで」に発生した修正後発事象については、開示後発事象に準じた取扱いとされます。

  • このような特例処理は、国際的な会計基準には存在せず、日本特有のルールとなっています。

なお、現行制度では「計算書類等の確認日後」が基準でしたが、今後は「連結計算書類の確認日後」とされる予定です。ただし、監査報告書日は通常、個別と連結で同日であることから、実務上の影響は軽微とされています。


実務への影響と今後の展望

本基準案の導入により、企業は以下の対応が求められます。

  • 財務諸表の承認プロセスの明確化

  • 承認者情報の記録と開示体制の整備

  • 監査法人との事前調整による対応確認


今後、ASBJが寄せられた意見を踏まえ、最終的な会計基準として策定されることになります。企業の経理・財務ご担当者様は、今のうちから社内の承認プロセスと開示体制について見直しを進めておくとよいでしょう。



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