top of page

金融庁が有報の記載削減を本格検討へ

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 1 日前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


企業にとって、年々煩雑さを増す有価証券報告書(以下、有報)への記載義務。

これに対し、金融庁が記載項目の見直しや、虚偽記載の責任に関するルール整備に動き出しました。これは単なる事務負担軽減にとどまらず、法制度全体の再設計につながる動きです。


■ 背景:ディスクロージャーWGが始動

2025年6月25日、金融審議会・金融分科会の合同会合において、加藤金融担当大臣が金融商品取引法改正に向けた諮問を行いました。これを受けて、金融庁内に新たにディスクロージャーワーキンググループ(DWG)が設置され、以下の4つのテーマで検討が開始されました。


■ 検討テーマ①:セーフハーバー・ルールの導入

「セーフハーバー・ルール」とは、一定の要件を満たす場合に、開示情報に虚偽記載等があっても法的責任を免除する仕組みです。これまでサステナビリティ情報に限定的に適用されていたものを、将来的にはすべての将来情報に拡大する構想が提示されています。

これにより、企業は責任回避ではなく、積極的な情報開示を安心して行えるようになることが期待されます。


■ 検討テーマ②:有報の記載項目見直し

  • 近年増加傾向にある開示情報の過剰化

  • 一部項目の有用性低下

  • 企業の負担と投資家ニーズのギャップ

を踏まえ、金融庁は相対的に重要性の低い記載項目の削減に着手します。開示の全体最適化に向けて、実務上の整理が求められます。


■ 検討テーマ③:届出書免除基準の緩和

資金調達を促す観点から、現在「1億円以上」とされている有価証券届出書の提出義務の基準金額の引き上げが検討されています。特にスタートアップや成長企業にとって、開示コストの軽減は資金調達を後押しする要素となるでしょう。


■ 検討テーマ④:株式報酬に係る届出の見直し

  • 未上場企業が役員に株式報酬を付与する場合

  • 外資系企業が日本子会社の役職員に株を交付する場合

などの特例措置の明確化・拡充が議題に上っています。


■ 今後の見通しと企業実務への影響

これらの見直しは、今後の金商法改正に向けた準備段階であり、早ければ2026年以降に法制化・制度適用が見込まれます。企業としては以下のような対応が求められます。

  • 有報の開示内容の棚卸・取捨選択

  • サステナ関連情報の将来開示方針の整備

  • セーフハーバー要件に合致した表現への転換

  • IR・経営企画部門との連携強化


■ まとめ:情報開示の質と負担のバランスへ

今回の動きは、「開示の量から質へ」という流れを象徴する制度改正です。金融庁としては、投資家が必要とする情報を効率的に得られる仕組みと、企業側の過度な開示負担の抑制を両立させることを目指しています。



神戸 税理士 確定申告 顧問契約 会社設立 freee

bottom of page