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暗号資産と規制見直しの最新動向

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 5 日前
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


近年、暗号資産は「支払手段」から「投資対象」へと役割を拡大しつつあります。これに伴い、利用者保護と市場の健全な発展のため、法規制の枠組みに大きな見直しが検討されています。今回は、金融審議会のワーキング・グループで進む議論を踏まえ、会計・税務の視点から押さえておきたいポイントをご紹介します。


金融商品取引法への移行議論

従来、暗号資産は資金決済法に基づき規定されてきました(資金決済法第2条第14項)。しかし、資金調達や事業活動に活用されるケースが増えていることから、金融商品取引法(いわゆる「金商法」)の枠組みに移行する案が検討されています。

ワーキング・グループでは以下の分類案が示されています。

  • 類型①:資金調達・事業活動型→ 発行者が資金調達を目的とする場合、情報開示を義務付け。

  • 類型②:非資金調達・非事業活動型→ 投資性が低いものについては、開示義務は限定的。

この方向性が採用されれば、従来のICOや新規トークン発行の際には、証券に近いレベルでの開示義務が課される可能性があります。


会計実務への影響

会計基準の面では、暗号資産に関する取扱いは2022年に企業会計基準委員会(ASBJ)が「論点整理」を公表しています。しかし、最終的な基準化は進んでおらず、「開発中」の状況が続いています。

もし金商法上での新しい規制枠組みが導入されれば、会計上の位置付けも再検討され、評価方法や開示内容の見直しが求められる可能性が高いでしょう。


税務上の留意点

暗号資産は、法人税・所得税いずれの分野においても、評価や取引に応じた課税関係が生じます。特に、資金調達目的での発行や保有が「有価証券に準じた扱い」とされる場合には、従来とは異なる税務リスクや申告上の留意点が出てくると考えられます。


今後の見通し

ワーキング・グループの議論は年内に報告書を取りまとめ、来年の通常国会で法改正案が提出される見込みです。暗号資産を活用した資金調達を検討している企業や投資家は、早めの情報収集と対応準備が重要です。


まとめ

暗号資産は、従来の「資金決済法の枠組み」から「金商法による規制」へと移行する可能性が高まっています。これに伴い、情報開示義務や会計・税務の実務も変化する見通しです。


事業に暗号資産を取り入れている、または今後検討している方は、規制動向を注視しつつ、早めに顧問税理士等にご相談いただくことをおすすめします。



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