源泉所得税の納付書の様式が変わります
- 安田 亮
- 4 日前
- 読了時間: 3分
おはようございます!代表の安田です。
給与や税理士報酬などに係る源泉所得税を納付する際に使用する「所得税徴収高計算書(納付書)」について、国税庁が様式変更を予定していることが公表されました。
日常的な経理・年末調整実務に直結する変更のため、会社の経理担当者・個人事業主の方は、変更内容と現行様式の使用期限を押さえておく必要があります。
1.そもそも「所得税徴収高計算書(納付書)」とは?
所得税徴収高計算書(納付書)は、会社や個人事業者が、
給与・賞与
退職手当
税理士報酬・講師謝金など
を支払う際に源泉徴収した所得税・復興特別所得税を、原則として支払月の翌月10日までに納付するための書類です。
紙での納付・金融機関窓口での納付を行なう場合には、今後も一定期間、この納付書が使用されます。
2.いつから様式が変わるのか?
国税庁によると、令和8年9月下旬以降、税務署窓口で配付される納付書の様式が新様式に切り替えられる予定とされています。
なお、国税庁ホームページ上では、今後 新様式(A4サイズ単票式)のイメージ画像が公表予定とされています。
3.変更点①:記載内容の見直し
今回の様式変更では、納税者情報の識別・管理をより正確に行なうための見直しが行われます。
主な変更点は次のとおりです。
● 整理番号 → お問い合わせ番号へ変更
これまで記載していた「整理番号(8桁)」に代わり、「お問い合わせ番号(13桁)」を記載する形式になります。
この番号は、税務署から送付される各種通知書と納税者情報をシステム上でひも付けるための番号です。
●元号の記載欄を追加
「納期等の区分」などに元号を記載する欄が新設されます。
●徴収義務者欄の記載項目追加
徴収義務者(会社・事業者)欄に、
郵便番号
フリガナ
の記載欄が追加されます。
4.変更点②:様式サイズが「単票式」に
現行の納付書は、複写式(A4三つ折り程度)が主流ですが、新様式では、A4サイズの単票式に変更される予定です。これにより、
手書き・記入ミスの軽減
電子管理との親和性向上
といった効果が期待されます。
5.現行様式はいつまで使える?
重要なポイントとして、現行様式がすぐに使えなくなるわけではありません。
国税庁の説明では、現行の複写式納付書は、令和10年9月頃まで使用可能とされています。そのため、
すでに手元にある納付書
令和8年~令和9年に使用予定の在庫
についても、当面は引き続き使用できます。
6.税理士の視点:実務で注意しておきたい点
① 納付書の「番号欄」の書き間違いに注意
整理番号からお問い合わせ番号へ変わるため、旧様式・新様式が混在する期間は特に注意が必要です。
② 年末調整・法定調書との混同を避ける
源泉所得税の納付書と、法定調書・年末調整関係書類は別物です。様式変更の影響範囲を正しく理解しましょう。
③ e-Tax利用者は影響が限定的
e-Taxによる電子納付を行なっている場合、実務上の影響は比較的小さいと考えられます。これを機に、電子納付への切替を検討するのも一案です。
まとめ
令和8年9月下旬から、所得税徴収高計算書(納付書)の様式が変更されます。
整理番号 → お問い合わせ番号へ
記載項目の追加
複写式 → A4単票式へ
といった変更が予定されていますが、現行様式は令和10年9月頃まで使用可能なため、急な切替対応は不要です。
ただし、実務では旧様式・新様式が併存する期間が生じるため、記載誤りや番号の書き間違いには注意が必要です。
当事務所では、源泉所得税・年末調整・法定調書の実務対応や、e-Tax・電子納付への移行支援も行なっています。ご不明点があれば、お気軽にご相談ください。



