特定親族特別控除の見積額誤りと会社の責任
- 安田 亮
- 3 分前
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おはようございます!代表の安田です。
令和7年度税制改正で新設された「特定親族特別控除」は、19歳以上23歳未満の子など一定の所得要件を満たす親族を扶養する給与所得者に適用できる新しい控除です。
最大63万円の控除を受けられる一方で、従業員が申告書に記載する「見積額」に基づいて控除額を判定する仕組みとなっています。このため、金額の見積りに誤りが生じる可能性も否定できません。
見積額の誤りがあった場合の取扱い
従業員が提出する「特定親族特別控除申告書」には、子などの合計所得金額の見積りが記載されます。控除額はこの見積額に応じて63万円から3万円まで段階的に逓減するため、わずかな誤差でも過大控除となることがあります。
例えば、従業員が「所得金額85万円以下」と見積もり63万円の控除を受けたものの、実際には「86万円」であれば本来の控除額は61万円となり、2万円の過大控除となります。この場合、源泉所得税が不足することになります。
しかし、国税通則法の規定により「正当な理由があると認められる場合」は不納付加算税の対象外となります。つまり、従業員が提出した申告書の見積額に基づいて控除した結果の誤りについては、会社側に故意や重大な過失がない限り、ペナルティは課されません。
実務上の留意点
申告書の確認会社は従業員から提出された控除申告書を形式的に確認する義務はありますが、内容を精査して実際の所得を確認する義務まではありません
控除額の仕組みの理解控除額は所得金額に応じて逓減するため、従業員自身に控除額の変動ルールをしっかり説明しておくことが望まれます
従業員への周知特定親族特別控除は新制度であるため、従業員が誤って過大な控除を申告しないよう、事前説明や記入例の提供を行うことが重要です
まとめ
特定親族特別控除は子育て世帯にとってメリットの大きい制度ですが、申告における「見積額」の誤りは避けられないリスクです。
ただし、会社側が従業員からの申告に基づいて正しく手続きを行っていれば、不納付加算税などのペナルティを受けることはありません。事業者としては、従業員に制度の仕組みを十分に周知しつつ、安心して年末調整を進められる体制づくりが求められます。

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