給付付き税額控除の導入議論が本格化
- 安田 亮
- 4 時間前
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おはようございます!代表の安田です。
今回は、自民・公明・立憲民主の3党が議論を始めた「給付付き税額控除」について、その仕組みと今後の課題を整理してご紹介します。
1. 給付付き税額控除とは?
「給付付き税額控除」とは、税額控除と現金給付を組み合わせた制度です。欧米では広く導入されており、特に低所得者層に現金給付を行うことで、消費税の逆進性を緩和する効果が期待されています。
たとえば、
アメリカ:就労促進を目的に、税額控除しきれない部分を給付
ドイツ:低所得者には給付、中高所得者には税負担軽減のいずれかを適用
カナダ:子育て支援などで一定所得以下は全額給付、超えると段階的に減額
といったように、各国の制度設計は目的に応じて異なります。
2. 日本での導入経緯
日本でも過去に制度検討の経緯があります。
平成21年度税制改正法で「給付付き税額控除の検討」が明記
平成24年の税制抜本改革法でも導入検討が盛り込まれたものの、制度設計には至らず
令和5年には立憲民主党が「消費税の逆進性緩和のための法案」を提出しましたが、翌年の国会では審査未了となりました
今回の議論は、これまでの流れを踏まえた再挑戦といえます。
3. 制度設計上の課題
実際に導入するには、いくつかの課題があります。
所得情報の正確な把握マイナンバー制度は導入されていますが、預貯金口座への付番は義務化されておらず、対象者を正確に把握できるかが課題です
給付の適正性過去にアメリカなどでは誤給付や不正受給が発生した事例もあり、適正な給付体制の整備が求められます
財源確保直接的な給付を伴うため、財源をどう確保するかが大きな論点となります
4. 実務への影響
この制度が導入されれば、所得税の仕組みに新しいレイヤーが加わることになります。
低所得者層への直接給付により、確定申告や年末調整の実務に追加対応が必要になる可能性があります
システム対応(マイナンバーや給付管理の仕組み)が整備されない限り、事務負担が大きくなる懸念があります
まとめ
給付付き税額控除は、消費税の逆進性を緩和し、中低所得者への支援を強化する有効な仕組みです。しかし、導入には所得把握や不正防止など多くの課題があります。
制度が動き出すことで、個人への影響だけでなく、企業の年末調整や税務実務にも大きな変化が想定されます。当事務所でも最新の議論を注視し、分かりやすくお伝えしてまいります。
