税制改正)グループ通算制度における「資産調整勘定」の加算ルールが見直されます
- 安田 亮
- 6 分前
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おはようございます!代表の安田です。
令和8年度税制改正では、グループ通算制度における「資産調整勘定対応金額等の加算措置」について、実務上重要な見直しが行なわれます。
今回の改正は、M&Aや完全子会社化の場面で用いられる全部取得条項付種類株式によるスクイーズアウトに関し、これまで不利に扱われていた税務上の取扱いを整理する内容です。
■資産調整勘定対応金額とは何か
グループ通算制度では、通算グループから法人が離脱する際などに、投資簿価修正を行なう仕組みがあります。
この投資簿価修正においては、
過去にグループ内で生じた
資産・負債の評価差額等
を反映するため、一定の 「資産調整勘定対応金額等」 を簿価純資産価額に加算できるとされています。
ただし、通算グループ加入前に、離脱法人株式の譲渡が行まわれていた場合には、その譲渡株式に対応する金額については加算できない(=調整の対象)というルールがありました。
■改正前の問題点ースクイーズアウトが「株式譲渡」として扱われていた
完全子法人化の過程で、
全部取得条項付種類株式を用いて
取得決議により少数株主を排除する
いわゆるスクイーズアウトが行なわれることがあります。
この場合、
形式的には「株式の譲渡・取得」が行なわれるため
通算グループ加入前の譲渡として扱われ
資産調整勘定対応金額の加算が制限される
という取扱いがなされていました。
しかし実務上は、”株主の地位の内容が変更されているにすぎず、実質的な株式譲渡とは言い難い”という指摘が強く、M&A手法の選択によって税務上不利になるという問題が生じていました。
■今回の改正ポイントー「譲渡」に該当する範囲を縮小
今回の改正では、資産調整勘定対応金額等の調整対象となる「譲渡」の範囲が見直されます。
具体的には、
通算グループ加入前に行なわれた
離脱法人株式の譲渡
から、
全部取得条項付種類株式に係る取得決議による完全子法人化の際の株式譲渡
が除外されます。
これにより、スクイーズアウトを行なったことのみを理由に資産調整勘定対応金額の加算が否定されるケースが解消されます。
■ただし例外もあり
今回の除外措置には、重要な注意点があります。
取得決議により交付を受けた株式の価額が、
譲渡した株式の価額と
おおむね同額と認められない場合
には、改正前と同様に「調整の対象となる譲渡」に該当します。
→ 形式だけでなく、経済的実質が維持されているかが引き続き重要です。
■実務上の影響ーM&Aスキーム選択の自由度が向上
今回の改正により、
株式交換
株式併合
株式売渡請求
全部取得条項付種類株式
といった完全子法人化手法のうち、全部取得条項付種類株式を用いることによる投資簿価修正上の不利が解消されます。
結果として、税務上の理由だけでスキーム選択を制限されるといった場面が減少することが期待されます。
■適用時期と留意点
大綱では、過去に行なわれた取得決議による株式譲渡についても、改正の適用対象となるかどうかを確認する必要があるとされています。
また、
「完全子法人化の際の」との文言の解釈
スクイーズアウト実施者が株式を100%取得する場合に限られるのか
など、今後の法令・通達での明確化が待たれる点もあります。
■税理士の視点:今後の対応ポイント
グループ通算制度を採用している企業では、
過去のM&A・完全子会社化取引の再確認
投資簿価修正に与える影響の再計算
今後予定している組織再編スキームへの反映
が重要になります。
特に、通算グループからの離脱を伴うM&Aを検討している場合には、今回の改正を前提とした税務シミュレーションが不可欠です。
■まとめ
今回のグループ通算制度における資産調整勘定対応金額等の加算措置の見直しは、
実質に即した課税
M&A実務との整合性確保
を目的とした、実務的に意義の大きい改正です。
完全子法人化の手法選択において、税務上の不合理な不利益が是正される一方、実質的な価額差がある場合は引き続き慎重な判断が必要です。
当事務所では、
グループ通算制度に関する税務検討
M&A・組織再編における事前シミュレーション
を行なっています。
グループ通算制度やM&Aに関する税務でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。




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