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税制改正)企業グループ間取引の「書類保存義務」が新設

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


令和8年度税制改正では、企業グループ内で行なわれる取引について、新たな書類保存義務(特例)が創設されることとなりました。


この改正は、大企業だけでなく中小企業を含むすべての内国法人が対象となり得る点で、実務への影響が非常に大きい内容です。


■改正の背景ーグループ内取引の「実態把握」を重視

企業グループ内取引、とりわけシェアードコスト取引(研究開発、広告宣伝、ITシステム管理等の共通費用配賦)では、取引金額や配賦基準を恣意的に調整しやすいという課題がありました。実務上、

  • 契約書や請求書は存在するが

  • 「なぜその金額になるのか」が分かる資料がない

というケースも少なくありません。


今回の改正は、取引内容と対価算定の合理性を後から検証できる状態にすることを目的としています。


■制度の概要ー「特定取引」を行なった場合の新たな保存義務

内国法人が関連者との間で一定の 「特定取引」 を行なった場合、既存の帳簿書類に加えて、対価算定の根拠が分かる資料の取得・作成・保存が義務付けられます。

保存が求められる主な内容

  • 資産又は役務の提供内容の明細

  • 支払対価の計算過程・配賦基準

  • 利用実態(時間配分、利用割合など)


■「特定取引」とは何か

対象となる取引は、販売取引そのものではなく、販売費・一般管理費の基因となる取引が中心です。具体的には、


①無形資産に関する取引

  • 工業所有権、ノウハウ

  • 著作権、プログラム

  • 技術的権利の譲渡・貸付


②役務提供取引

  • 研究開発、広告宣伝の集約実施

  • ITシステムの維持管理

  • 経営管理・指導、情報提供


 → 典型例がグループ内シェアードサービス(SSC)取引です。


■重要なポイント

書類がなければ「青色申告取消」の可能性

今回の改正で特に注意すべき点は、必要な書類を保存していない場合、青色申告の承認取消事由に該当するとされていることです。単なる加算税リスクにとどまらず、

  • 欠損金の繰越

  • 各種税制優遇

が使えなくなる可能性もあるため、経営上のリスクは極めて大きいといえます。


■中小企業も対象になる点に注意

この制度は、

  • 大企業だけ

  • 移転価格税制の対象企業だけ

に限定されたものではありません。国内グループであっても、

  • 親子会社

  • 兄弟会社

  • 実質支配関係のある法人

との取引は対象となり得ます。

 → 「うちは中小企業だから関係ない」では済まない改正です。


■実務対応のポイント

①対象取引の洗い出し

  • グループ内で管理費・利用料・ロイヤリティを支払っている取引は要確認


②不足資料の補完

  • 配賦基準

  • 利用実態

  • 計算プロセス

を説明できる資料を後付けではなく、継続的に作成・保存する体制が必要です。


③グループ全体での対応

  • 経理部門だけでなく

  • 事業部門・法務部門との連携

  • 海外関連者がいる場合は言語・文化差への配慮

も重要になります。


■税理士の視点:今後の注意点

今後、法令・通達で

  • 適用開始時期

  • 外国法人との取引の取扱い

  • 「関連者」の最終的な定義

が明確化される見込みです。

一方で、準備そのものは早めに着手すべき改正であり、税務調査対応を見据えた体制整備が不可欠です。


■まとめ

企業グループ間取引に係る書類保存特例の創設は、

  • グループ内取引の透明性向上

  • 課税の適正化

を目的とした改正である一方、実務負担とリスクは確実に増加します。

特に、

  • シェアードコスト取引

  • 無形資産・役務提供取引

を行なっている企業では、早急な取引内容の棚卸しと文書化が重要です。


当事務所では、

  • グループ内取引の整理・文書化支援

  • 税務調査を見据えた保存書類の整備

を行なっています。


グループ内取引の税務対応に不安がある場合は、ぜひ一度ご相談ください。

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