税務CGの対象が拡大
- 安田 亮
- 1 日前
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おはようございます!代表の安田です。
国税庁はこれまで、資本金40億円以上の大企業(いわゆる「特官所掌法人」)に限定して実施していた税務に関するコーポレートガバナンス(税務CG)強化の取組を、今後は資本金1億円以上の「一般調査部門所掌法人」にも広げる方針を示しました。
この動きにより、全国の中堅企業約35,000社も対象となる可能性があり、税務対応の質が今まで以上に問われるようになります。
■税務CGとは?なぜ今注目されているのか
「税務CG(コーポレートガバナンス)」とは、企業が税務コンプライアンスをどのように確保しているかを、国税当局が評価・対話・助言を通じて確認する制度です。
主な実施内容は以下の通りです:
税務ガバナンス確認表の作成・提出
確認表内容の確認
税務CGの評価・判定
結果の説明と意見交換
トップマネジメントとの面談
この評価により、税務リスクの程度に応じて次回調査までの期間や調査体制の判断に活用され、良好な評価を得た企業は税務調査の負担軽減などのメリットを享受できます。
■今後の拡大対象:「資本金1億円以上」の法人へ
これまでの対象:
特官所掌法人(資本金40億円以上など)⇒ 全国約500社、年間調査件数 約200件
今後の拡大対象:
一般調査部門所掌法人(資本金1億円以上)⇒ 全国約35,000社、年間調査件数 約2,000件
現在、これらの中堅企業に対して「試行的な取組」が実施されており、正式導入時期は試行結果を踏まえて決定されます。
なお、試行段階では評価結果の通知は行われないものの、すでに税務当局による確認が進んでいます。
■税務CG評価が悪いと税務調査が増える?
国税庁の説明では、税務調査の要否は「申告内容、過去の調査結果、資料情報などを総合的に判断」しますが、一般論として税務CGが不十分な企業には調査の必要性が高まるとされています。
逆に言えば、日頃からの税務コンプライアンス体制が整っていれば、調査間隔が長くなる、指摘事項が減るなどの好影響が期待できるというわけです。
■対応は義務?「行政指導」の扱いに注意
税務CGへの対応は、税務調査とは異なり「行政指導」に位置付けられています。
つまり、法的義務ではないものの、国税庁の期待に応える形での対応が事実上求められると理解しておくとよいでしょう。
■まとめ:税務CG対応は新たな経営課題に
今回の税務CG対象拡大により、これまで「調査対象に選ばれなければ問題ない」としていた企業にも、継続的な税務管理体制の整備が求められる時代に入りました。
以下のような企業様は特にご注意ください:
資本金1億円以上の中堅企業
定期的に税務調査を受けている
上場企業や内部統制報告書の提出義務がある法人
