税務調査でオンラインツールが本格導入へ
- 安田 亮
- 6 日前
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おはようございます!代表の安田です。
2025年11月10日、国税庁は 税務行政におけるオンラインツールの利用に関するQ&A(全18問) を公表しました。これにより、税務調査・行政指導等の場面で、オンラインを活用したコミュニケーションが本格化します。
当記事では、企業の経理担当者・税理士・個人事業主に向けて、押さえておきたいポイントをわかりやすく整理します。
1.対象となるオンラインツールと利用される場面
国税庁が利用するオンラインツールは次の4種類です。
インターネットメール(Outlook)
Web会議システム(Microsoft Teams)
オンラインストレージサービス(PrimeDrive)
アンケート作成ツール(Microsoft Forms)
利用場面は幅広く、税務調査、行政指導、滞納整理、査察調査など多岐にわたります。
特に、2025年10月から金沢国税局・福岡国税局で先行導入されており、2026年3月以降は全国の国税局等で順次運用開始 予定です。
2.税務調査もオンライン化するが「納税者が希望しても対面になる場合あり」
オンラインツールは便利ですが、国税庁は 「対面調査が必要と判断すればオンラインを利用しない」 と明言しています。
つまり:
オンライン希望=必ずしもオンライン調査になるわけではない
現地での質問検査が必要な場合は従来どおり対面調査
業種・取引規模・資料状況などにより判断されるため、オンラインを希望する場合も事前説明が重要です。
3.オンライン利用には事前登録が必須
オンラインツールを使うには、Microsoft Formsを利用した「同意とメールアドレス登録」が必要です。
✔ 納税地が変わった場合 → 調査担当署が変わるため再登録が必要
✔ 税理士が関与する場合 → 納税者と税理士の双方が登録する必要あり
登録しなければオンライン調査や資料やり取りは利用できないため、早めの手続きが推奨されます。
4.資料のやり取り ― メール・PrimeDriveの容量制限に注意
オンラインで資料提出する際の容量・形式のルールも明確化されました。
■ メール(Outlook)
最大20MB/通(本文+添付ファイル合計)
exe形式など一部ファイルは不可
送信履歴に残る
■ PrimeDrive(オンラインストレージ)
1度に最大20ファイル
1ファイル1.9GBまで
形式の制限なし
税務署がダウンロード後に削除 → 提出者側でデータの事後確認は不可
■ e-Tax
PDF(合計14MBまで)
CSV(合計8MBまで)
最大136ファイル
※税務調査でe-Tax提出が認められるのは「調査で求められた書類のみ」です。
5.オンライン調査時の「録画禁止」ルール
Web会議(Teams)を利用する場合の注意点:
録画機能の利用は禁止
画面共有は納税者側は利用可能(資料提示を求められる場合あり)
税務署側が画面共有して資料を提示することはない
オンライン調査を録画しようと考える納税者は多いですが、今回のQ&Aにより「禁止」であることが明確化されました。
6.税務署からメールで連絡される内容とは?
メール連絡される事項の例として、Q&Aでは以下が示されています。
調査日程の調整
準備する資料の案内
資料提出依頼
担当者への連絡依頼
Teams会議URLの連絡
PrimeDriveのURL
キャッシュレス納付の案内
一方、税務調査の事前通知は従来どおり「口頭」が原則 である点は変更ありません。
7.税理士からのコメント ― オンライン対応が標準化する時代へ
税務行政のデジタル化が進む中、今回のQ&Aは「オンライン調査」が例外ではなく、今後の標準的な選択肢になることを示しています。
オンライン化により:
移動時間の削減
書類提出の効率化
遠隔地の企業との調査がスムーズ
といったメリットが期待される一方で、
事前登録の手間
録画禁止などのルール遵守
データ容量の制約
セキュリティ対応
など、実務上の配慮も重要です。
当事務所では、オンライン調査に備えた
必要書類の整理
事前登録のサポート
調査対応の流れのご説明なども承っています。
オンライン調査をご希望の方や不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。


