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総会前開示と「一体開示」

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 6月21日
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


近年、上場企業の間で「有報の総会前開示」が急増しており、企業情報のタイムリーな開示への関心が高まっています。これと同時に注目を集めているのが、事業報告等と有価証券報告書(有報)の“一体開示”と、それを円滑に進めるための「EDINET特例」です。


■ 背景:総会開催日の後倒しとペーパーレス化の流れ

2025年3月期決算企業では、株主総会の開催日を後ろ倒ししてでも有報を総会前に開示しようとする動きが目立っています。これにより、有報と事業報告等を同時に開示する「一体開示」の実務的な必要性が高まっているのです。

その一方で、株主への報告書面の郵送コストや手間が依然として大きな負担となっており、電子提供による効率化が喫緊の課題となっています。


■ EDINET特例とは?通常の電子提供措置との違い

通常、上場企業は以下の条件を満たせば、事業報告等の書面送付を省略できます:

  • 株主総会の3週間前までに事業報告等を自社HPに掲載

  • 株主総会の2週間前までに株主へ通知(HPのURL等)

この制度は「電子提供措置」と呼ばれ、会社法第325条の3第1項に定められています。

一方、EDINET特例はこの手続きと異なり、

「事業報告等を含む一体開示書類をEDINETで公表した場合、別途HPや通知の手続きをせずとも、書面送付が不要になる」

という特例で、同法第325条の3第3項に規定されています。


■ 実務上の注意点:請求があれば書面交付は必要

ただし、株主から書面交付の請求があった場合は、EDINET特例を使っていても必ず紙での送付が必要です。

全国株懇連合会の調査では、

  • 書面請求が「ゼロ」の企業:全体の約2割

  • 請求が株主全体の「1%未満」の企業:約7割

と、実際に請求される件数はごくわずかであることが分かっています。


■ 今後の展望:書面交付制度の“廃止”も視野に

現在、金融庁や経済産業省では法制審議会を通じて「書面交付請求制度そのものの廃止」を要望しており、これが実現すればさらに実務負担は軽減される見込みです。

企業にとっては、

  • 招集通知の簡素化

  • 郵送・印刷コストの削減

  • 総会準備業務の効率化といった多くのメリットが期待されます。


■ まとめ:一体開示とEDINET特例の活用は「次のスタンダード」

「株主との対話」を重視しながら、企業情報の開示を効率的・低コストで行うには、EDINET特例と一体開示の活用が極めて有効です。



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