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臨時計算書類には「期中会計基準」は適用される?

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


2025年に「期中財務諸表に関する会計基準」(期中会計基準)が統合・制定され、中間財務諸表・四半期財務諸表の会計処理体系が一本化されました。

これにより、

  • 上場企業の第1種中間財務諸表(金融商品取引法)

  • 第1・第3四半期財務諸表(取引所規則)等には新しい期中会計基準が適用される

ことになりました。

では、「臨時計算書類(会社法ベースの期中決算書類)」にはこの期中会計基準を適用すべきか?


1.臨時計算書類は「期中財務諸表」に含まれない

臨時計算書類は

  • 分配可能額の確定

  • 会社法上の特定目的

のために作成されるものであり、期中会計基準が対象とする「一般目的の期中財務諸表」には該当しません。

したがって、臨時計算書類は期中会計基準の適用対象外という整理になります。


2.臨時計算書類の作成基準は「研究報告12号」が継続利用

適用対象外となるため、従来どおり日本公認会計士協会 会計制度委員会研究報告第12号「臨時計算書類の作成基準について」を実務の参考として使用します。

研究報告12号の基本方針は:

● 原則:年度決算の会計処理に準拠

● 実務対応:一部の会計処理は中間基準に準じた簡便処理を容認

臨時計算は実務上、年度決算ほど精緻に作成できないため、簡便処理(例:棚卸資産の簡便評価、引当金の簡便計算等)が認められています。


3.期中会計基準は「簡便処理の幅」がより広い

記事では、期中会計基準は中間財務諸表作成基準に比べてより多くの簡便処理を認めている と紹介されています。

例:

  • 一般債権の貸倒見積高の算定方法

  • 原価差異の繰延処理

など、簡便化の対象が拡大。


ただし、これらの簡便処理は臨時計算書類には適用できない

点には注意が必要です。

臨時計算書類はあくまで会社法目的の書類のため、会計基準上の「簡便処理の拡大恩恵」を受けられません。


4.公認会計士の視点:実務への影響は?

臨時計算書類は、配当可能額の計算や組織再編時の資本取引に関わることが多く、企業法務・財務担当者にとって重要な書類です。

今回のポイントを踏まえると:

✔ 期中会計基準が制定されても、

 臨時計算書類の作成方法は原則変わらない

✔ ただし「中間等の簡便処理=期中会計基準の簡便処理」と誤解しないこと

 (臨時計算書類に適用できる簡便処理は従来の範囲のまま)

✔ 配当可能額を算定する場面では、

 「会計上の考え方」ではなく「会社法目的」を優先して判断が必要


まとめ

結論としては、臨時計算書類は会社法目的の書類であり、期中会計基準の対象外であり、従来通り、研究報告12号に基づき作成するということとなります。


期中会計基準の導入で混乱が予想されるため、企業の法務・経理部門には本件の周知をおすすめします。


当事務所では、

  • 臨時計算書類の作成支援

  • 分配可能額の算定

  • 組織再編に関する会計・会社法アドバイス

なども対応しております。お気軽にお問い合わせください。


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