防衛特別法人税の会計処理案を公表
- 安田 亮
- 1 日前
- 読了時間: 3分
おはようございます!代表の安田です。
企業会計基準委員会(ASBJ)は2025年11月20日、実務対応報告公開草案第72号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い(案)」を公表しました。
2026年4月1日以後に開始する事業年度から新しく導入される「防衛特別法人税」 に備えるための暫定的な会計ルールです。意見募集は2026年1月20日までとされています。
本記事では、公認会計士の視点から、改正の背景や実務上の留意点を分かりやすく解説します。
1.実務対応報告が作成された背景
記事によると、ASBJは2025年2月に補足文書を公表し、2025年3月31日以後に終了する決算における税効果会計の取扱いを先行して示していました。
しかし、この補足文書では「当期税金」の扱いまでは示されておらず、本来予定されている「法人税等会計基準」の抜本的見直しは 2027年4月からの適用予定となっておりました。
一方、防衛特別法人税は 2026年4月 から課税開始。
つまり、2026年度に、従うべき正式な基準が存在しない空白期間が生じることとなり、短期的な対応として今回の実務対応報告案が公表されました。
2.防衛特別法人税とは?
報告案では税の概要が次のように整理されています。
法人税額から500万円の基礎控除を差し引いた後、
残額に4%の税率を乗じて計算
法人税に対する付加税(地方法人税と同じ性質)
基礎控除が設けられている点が法人税等と異なりますが、基本的には地方法人税と同様の仕組みといえます。
3.会計処理は「地方法人税」と同じ
公開草案では、会計処理・表示の基本方針として、防衛特別法人税の会計処理・表示は、地方法人税と同様とすると明確に示されています。
● 当期税金の扱い
法人税・住民税・事業税と同様、損益計算書の「税引前当期純利益」の次に税金費用として表示
● 税効果会計
繰延税金資産・負債の算定に用いる税率も、地方法人税と同様の扱いとし、法定実効税率に防衛特別法人税率(4%)を加味して計算。これは、既存の「税効果会計適用指針(項46)」に従う形です。
4.グループ通算制度への対応
連結納税に代わる新制度である「グループ通算制度」についても、地方法人税と同様の扱いを適用することが示されています。
具体的には、
税額の按分
子会社における税額算定
税効果会計の通算調整
などについて、実務対応報告第42号の内容に従います。
5.実務上のポイント
2026年度決算に向けた準備が必要
✔ ① 法定実効税率の再計算
2026年度以降の税効果会計の見積りは、防衛特別法人税を含めて再計算が必要。
✔ ② システム改修・勘定科目追加
地方法人税と同様、税務申告・会計システム双方で項目追加が必要です。
✔ ③ グループ通算制度利用企業は影響大
税額按分および繰延税金の計算過程に新税が組み込まれるため、試算と実装の早期確認が必須。
✔ ④ 開示情報の追加
P/L表示・注記の体系も地方法人税と同様に拡張。早期に開示方針を整理しておくべきです。
■公認会計士の視点まとめ
今回の実務対応報告案は、「付加税としての整合性」を強く意識した内容となっています。
地方法人税の枠組みに合わせることにより、企業側の実務負担を増やさない
一方で、法定実効税率の計算やグループ通算制度での影響は軽視できない
2026年度開始企業にとっては準備期間が短く、早めの対応が重要
特に税効果会計の再計算は、多くの企業の四半期開示に影響する見込みです。
当事務所では、防衛特別法人税の導入に向けた税率影響分析、税効果会計のシミュレーション、開示支援を提供しています。
準備に不安がある企業様は、ぜひご相談ください。



コメント