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中小経営強化税制「A類型」は新指標に要注意
おはようございます!代表の安田です。 令和7年度税制改正により、中小企業経営強化税制が大きく見直されました。 建物を対象とするE類型の新設が注目されがちですが、実務上特に注意が必要なのが、既存のA類型(生産性向上設備)における「生産性向上指標」の変更です。 従来の感覚で判定すると、要件を満たしていると思っていた設備が、実は対象外となる可能性もあるため、慎重な確認が求められます。 1.中小経営強化税制(A類型)のおさらい 中小経営強化税制とは、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受け、その計画に基づいて新品の対象設備を取得・事業供用した場合に、 即時償却または 税額控除(取得価額の10%/資本金3,000万円超は7%) を選択適用できる制度です(措法42の12の4)。 このうち A類型は、機械装置・ソフトウエア等の生産性向上設備が対象となります。 2.A類型の基本要件は「2つ」 A類型の対象設備となるためには、次の2要件を満たす必要があります。 ①モデル要件:一定期間内に販売開始された最新モデル等であること ②生産性向上要件:旧モ
安田 亮
3月2日


令和7年度税制改正で「中小企業経営強化税制」が拡充
おはようございます!代表の安田です。 令和7年度税制改正では、中小企業経営強化税制が大きく見直され、新たに「E類型(経営規模の拡大を行う投資計画)」が創設されました。 背景には、 円安・物価高、人件費・金利の上昇によるコスト増 慢性的な人手不足 売上規模ごとに存在する「成長の壁」 など、厳しさを増す中小企業の経営環境があります。 政府はそのなかでも、売上高100億円超の「100億企業」クラスの中小企業が、地域経済を牽引し得る存在として注目しており、この層を各地域で増やしていくことを狙いとしています。 今回の改正は、まさにこの「100億企業予備軍」を後押しする設計になっています。 中小企業経営強化税制の基本構造(おさらい) 中小企業経営強化税制は、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けた中小企業者等が、計画に沿って一定の設備投資を行なった場合に、 特別償却(即時償却を含む) 取得価額の一定割合の税額控除 のいずれかを選択適用できる制度です。 主なポイントは以下のとおりです。 対象:中小企業者等が認定経営力向上計画に基づき、令和9
安田 亮
2月27日


令和8年度改正:企業グループ間取引の「書類保存特例」創設
おはようございます!代表の安田です。 令和8年度税制改正では、「企業グループ間の取引に係る書類保存の特例」が創設される予定です。企業グループ内で行なわれる一定の取引について、注文書・契約書・領収書等に対価の額を算定するために必要な事項の記載がない場合、これを補完する書類(電磁的記録を含む)を取得・保存しなければならない、という内容です。 しかも、適用は令和8年4月1日以後の取引からとされており、制度開始まで時間がありません。本日は、税理士の立場から、企業が今すぐ着手すべき実務対応を整理します。 1. 何が変わる?「対価算定の根拠」が書類に無ければ補完書類が必要 青色申告法人は、帳簿に加えて取引に関して作成・受領した書類(契約書、請求書、領収書等)を保存する必要があります(法法126等)。 今回創設される特例は、企業グループ内取引(例:シェアードコスト取引等)では恣意的に支払額が調整されやすく、税務調査で経費支払額の妥当性を十分確認できない場面がある、という問題意識を背景にしています。 そこで、関連者との「特定取引」について、取引関連書類等に「その
安田 亮
2月26日


賃上げ促進税制はいつまで使える?大企業・中堅・中小で「廃止時期」が違う点に注意
おはようございます!代表の安田です。 賃上げ促進税制は、賃上げ等を行った企業に対して法人税額の控除を認める制度ですが、令和8年度税制改正大綱では、大企業向けと中堅企業向けの制度を廃止する案が盛り込まれています。しかも、廃止のタイミングは企業区分ごとに異なるため、決算期によって「最後に使える年度」が変わります。 この記事では、税理士の立場から、廃止時期の考え方と実務での注意点を整理します。 1. 現行制度の適用期限は「開始事業年度」ベース 現行の賃上げ促進税制は、大企業向け・中堅企業向け・中小企業向けのいずれも、令和9年3月31日までに開始する各事業年度に適用できる仕組みです。 ここで重要なのは、制度の適用時期が「事業年度の開始日」で判定される点です。途中の決算日がいつかではなく、事業年度がいつ始まったかで適用可否が決まります。 2. 大企業向けは「令和8年3月31日までに開始する事業年度」まで 大企業向け(全企業向け)の賃上げ促進税制は、適用期限の到来を待たず、令和8年3月31日をもって廃止する案とされています。 ただし、よくある誤解として「令和
安田 亮
2月24日


令和8年度改正:中小企業の「30万円特例」が40万円未満へ引上げ
おはようございます!代表の安田です。 令和8年度税制改正(案)では、いわゆる「30万円未満の少額資産特例」について、中小企業者等に限り取得価額基準が40万円未満へ引き上げられる見込みです。 物価上昇でPCやタブレット等の価格が上がり、従来の基準では実務負担が増えていた点を踏まえた対応です。 ただし、同時引上げが期待されていた 10万円未満(少額減価償却資産) 20万円未満(一括償却資産) の取得価額基準は、現行のまま維持される方向です。 本日は、改正内容と実務のポイントを整理します。 1. 何が変わる?「中小の30万円特例」だけが40万円未満に 対象となるのは、中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例(措法67の5)です。 改正(案)の骨子は次のとおりです。 取得価額基準:30万円未満 → 40万円未満へ引上げ 適用期限:令和11年3月31日まで3年延長 適用開始:令和8年4月1日以後の取得等から この特例は、一定の要件を満たす資産について、事業供用年度に取得価額の全額を損金算入できる仕組みです(年300万円までの上限あり)。 2....
安田 亮
2月21日


未払賞与を当期の損金にするための「落とし穴」
おはようございます!代表の安田です。 決算賞与(未払賞与)は、うまく活用すれば当期の利益調整に役立つ一方、要件を外すと損金算入が全額否認されるリスクがある取扱いです。 特に注意が必要なのが、「支給額を通知したものの、支給日までに退職した社員に支給しなかった場合」や「支給日に在職者だけに払う前提で通知している場合」です。 本記事では、未払賞与を当期損金とするための基本要件と、退職者への通知をめぐる実務上の注意点を、税理士の視点から整理します。 1.原則:賞与は「支払った期」の損金 法人税では、役員・使用人に支給する賞与は、原則として実際に支払った事業年度の損金とされます。 したがって、決算日に未払計上しただけでは、通常はその期の損金になりません。これがいわゆる「決算賞与」の特例との違いです。 2.決算賞与(未払賞与)が当期損金になる3つの要件 例外的に、一定の要件を満たす未払賞与については、支給額を通知した日の属する事業年度で損金算入することが認められています。 その要件は、次の3つです(法人税法施行令72条の3 二)。 ①各人別・かつ同時期に支給
安田 亮
2月16日


税制改正)グループ通算制度における「資産調整勘定」の加算ルールが見直されます
おはようございます!代表の安田です。 令和8年度税制改正では、グループ通算制度における「資産調整勘定対応金額等の加算措置」について、実務上重要な見直しが行なわれます。 今回の改正は、M&Aや完全子会社化の場面で用いられる全部取得条項付種類株式によるスクイーズアウトに関し、これまで不利に扱われていた税務上の取扱いを整理する内容です。 ■資産調整勘定対応金額とは何か グループ通算制度では、通算グループから法人が離脱する際などに、投資簿価修正を行なう仕組みがあります。 この投資簿価修正においては、 過去にグループ内で生じた 資産・負債の評価差額等 を反映するため、一定の 「資産調整勘定対応金額等」 を簿価純資産価額に加算できるとされています。 ただし、通算グループ加入前に、離脱法人株式の譲渡が行まわれていた場合には、その譲渡株式に対応する金額については加算できない(=調整の対象)というルールがありました。 ■改正前の問題点ースクイーズアウトが「株式譲渡」として扱われていた 完全子法人化の過程で、 全部取得条項付種類株式を用いて 取得決議により少数株主を
安田 亮
2月9日


税制改正)賃上げ税制は「縮小・整理」の段階へ
おはようございます!代表の安田です。 物価上昇や人手不足を背景に、近年強化されてきた賃上げ促進税制について、令和8年度税制改正では、制度全体を見直す方針が示されました。 今回の改正は、 賃上げ水準が一定程度定着してきたこと 租税特別措置は「真に必要なものに限定する」という政策方針 を踏まえたもので、企業規模によって影響が大きく異なる改正となっています。 ■改正の全体像 今回の見直しを一言でまとめると、「大企業・中堅企業向けは廃止、中小企業向けは縮小しつつ継続」です。 適用期限の整理 大企業向け:2026年(令和8年)3月31日までに開始する事業年度で終了 中堅企業向け:2027年(令和9年)3月31日までに開始する事業年度で終了 中小企業向け:2027年(令和9年)3月31日までに開始する事業年度まで適用(継続) 特に大企業・中堅企業にとっては「出口を意識した対応」が必須となります。 ■大企業向け賃上げ税制の見直しポイント 大企業向け制度は、適用期限をもって廃止されます。 これに伴い、 給与等の増加割合に応じた税額控除 教育訓練費の増加に係る上乗
安田 亮
2月2日


税制改正)企業グループ間取引の「書類保存義務」が新設
おはようございます!代表の安田です。 令和8年度税制改正では、企業グループ内で行なわれる取引について、新たな書類保存義務(特例)が創設されることとなりました。 この改正は、大企業だけでなく中小企業を含むすべての内国法人が対象となり得る点で、実務への影響が非常に大きい内容です。 ■改正の背景ーグループ内取引の「実態把握」を重視 企業グループ内取引、とりわけシェアードコスト取引(研究開発、広告宣伝、ITシステム管理等の共通費用配賦)では、取引金額や配賦基準を恣意的に調整しやすいという課題がありました。実務上、 契約書や請求書は存在するが 「なぜその金額になるのか」が分かる資料がない というケースも少なくありません。 今回の改正は、取引内容と対価算定の合理性を後から検証できる状態にすることを目的としています。 ■制度の概要ー「特定取引」を行なった場合の新たな保存義務 内国法人が関連者との間で一定の 「特定取引」 を行なった場合、既存の帳簿書類に加えて、対価算定の根拠が分かる資料の取得・作成・保存が義務付けられます。 保存が求められる主な内容 資産又は役
安田 亮
1月30日


取適法が施行、勧告を受けると賃上げ税制が使えない?
おはようございます!代表の安田です。 令和8年1月1日から、中小受託取引適正化法(いわゆる「取適法」)が施行されました。 これは、従来の下請法を見直し、取引の適正化を一層進めることを目的とした法改正です。 一方で、企業実務において見落とされがちなのが、取適法違反による「勧告」を受けると、賃上げ促進税制を適用できなくなる可能性があるという点です。 本記事では、取適法の概要と、賃上げ促進税制との関係、実際にあった勧告事例を踏まえた注意点について、税理士の立場から解説します。 賃上げ促進税制と「パートナーシップ構築宣言」の関係 賃上げ促進税制には、 全企業向け 中堅企業向け などの区分があり、一定の賃上げ要件を満たす法人が税額控除等を受けられる制度です。 このうち、一定規模以上の企業が税制を適用するためには、「パートナーシップ構築宣言」を公表していることが要件となります。 ところが、この宣言を行っている企業が、取適法(旧下請法)に違反して勧告を受けた場合、宣言の掲載が取りやめられることがあります。 その結果、賃上げ要件を満たしていても、賃上げ促進税制を
安田 亮
1月23日


未払賞与に係る社会保険料はいつ損金算入できる?
おはようございます!代表の安田です。 決算対策として活用されることの多い「決算賞与(未払賞与)」ですが、賞与本体と社会保険料では、損金算入できるタイミングが異なる点に注意が必要です。 実務では「未払賞与を計上したのだから、社会保険料も同じ期で損金になるのでは?」という誤解が少なくありません。本記事では、未払賞与と社会保険料の損金算入時期の違いについて、法人税の基本的な考え方を税理士が分かりやすく解説します。 使用人賞与の原則的な損金算入時期 法人税において、使用人に対する賞与は、原則として実際に支払った日の属する事業年度で損金算入することとされています。そのため、決算日までに賞与を支給していない場合、原則論だけで考えると、翌期の損金となります。 未払賞与でも当期損金にできるケースとは 一定の要件を満たす「未払賞与」については、例外的に、支給額を通知した日の属する事業年度で損金算入することが認められています。 その要件は、主に次の3点です。 支給額を、各人別に、同時期に支給を受けるすべての使用人へ通知していること 通知した賞与を、決算日の翌日から1
安田 亮
1月19日


IT導入補助金を使った場合、圧縮記帳はできる?
おはようございます!代表の安田です。 業務効率化やDX推進のため、ITツールを導入する中小企業は年々増加しています。 その際に多く活用されているのがIT導入補助金ですが、「補助金を受けた場合、圧縮記帳はできるのか?」というご相談をいただくことが少なくありません。 実は、会計処理の方法によって圧縮記帳の可否が大きく異なります。本記事では、税理士の視点から実務上の注意点を解説します。 IT導入補助金とは? IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が労働生産性の向上を目的としてITツールを導入する際に、その費用の一部を国が補助する制度です。 近年の制度では、 通常枠 複数社連携IT導入枠 インボイス枠(インボイス対応類型/電子取引類型) セキュリティ対策推進枠 など、複数の枠が設けられており、一部の枠では大企業も対象となる点が特徴です。 圧縮記帳とはどのような制度か 法人が国や地方公共団体から補助金を受けて固定資産を取得または改良した場合には、一定の要件を満たすことで圧縮記帳(法人税法42条)を適用することができます。 圧縮記帳とは、 補助金相当額を
安田 亮
1月13日


国税庁がリース改正通達の趣旨説明を公表
おはようございます!代表の安田です。 2027年4月以後開始事業年度から、新リース会計基準の強制適用が始まります。これに合わせて法人税基本通達等も改正されており、2025年11月28日に国税庁が 「改正リース通達の趣旨説明」 を公表しました。 今回の趣旨説明は、 会計基準と税務の整合 税務上のリース資産の取得価額 会計リース期間と税務の「リース期間」の関係 フルペイアウト要件の税務上の扱い など、実務で迷いやすい論点を明確にするものです。 1.リース資産の取得価額 ― 会計の「使用権資産」とは別概念 改正法人税基本通達7-6-2-9では、税務上のリース資産の取得価額をリース期間中のリース料の合計額とすることが明確化されました。(※従来の「支払うべきリース料」から文言が変更) 趣旨説明では次の重要ポイントが示されています。 ✔ 使用権資産に含める「資産除去債務」は、リース資産の取得価額には含めない 会計基準では、使用権資産の取得原価に資産除去債務に対応する除去費用を加算します。 しかし税務では、 除去費用はリース料ではない リース資産を事業に供する
安田 亮
2025年12月30日


グループ法人間の寄附と「完全支配関係」の考え方
おはようございます!代表の安田です。 今回は、グループ法人間で寄附を行なう際に適用される「法人税の取扱い」について解説します。特にポイントとなるのは、「法人による完全支配関係」という要件です。 1. 完全支配関係とは? 法人税法では、グループ法人税制の一環として、完全支配関係にある法人間の寄附については課税関係を調整する仕組みが設けられています。 完全支配関係とは、 一の者(法人や個人)がある法人の株式を100%保有している場合(親子関係) その法人を通じて他法人を100%保有している場合(みなし直接支配) 兄弟関係にある法人同士が同じ親会社に100%支配されている場合 などが典型例です。 2. グループ法人間寄附の税務上の取扱い 完全支配関係にある内国法人同士で寄附が行なわれた場合は、次のように整理されます。 寄附を行なった法人:寄附金は損金に算入されない(損金不算入) 寄附を受けた法人:受け取った寄附金は益金に算入されない(益金不算入) つまり、グループ全体で見たときに課税関係が生じないよう調整されています。 3. 個人が関与する場合の注意点
安田 亮
2025年12月22日


新リース会計基準適用後の「取得価額」のズレに注意
おはようございます!代表の安田です。 本日は信リース基準適用後の会計と税務のズレについてのお話です。 1.新リース会計の導入で「使用権資産」が登場 2025年度から適用が始まった新リース会計基準では、借手側(リース利用者)は、原則として全てのリース取引について「使用権資産」と「リース負債」を貸借対照表に計上することになりました。 つまり、従来はオフバランスだった所有権移転外リース取引も、バランスシートに「資産」と「負債」が並ぶ形になります。 この会計上の「使用権資産」は、税務上も減価償却資産として扱われそうに見えますが、実は法人税法上では別の取扱いが定められています。 2.税務上は「リース資産」で処理 ― 会計との定義が異なる 法人税法上、リース資産は依然として「所有権移転外リース取引における原資産」として扱われます。つまり、税務上の減価償却は、従来どおり「リース期間定額法」によって計算します。 このとき基礎となるのが「リース資産の取得価額」ですが、その内容が会計上の「使用権資産の取得価額」と完全には一致しません。 国税庁の通達改正(法基通7-6
安田 亮
2025年12月12日


ファイナンス・リースの判定
おはようございます!代表の安田です。 新リース会計基準の導入により、リースとサービス部分を区分して会計処理するケースが増えています。しかし、税務上のファイナンス・リース(FL)判定では、従来と異なる注意点が生じています。 今回は、特に実務で判断が難しいフルペイアウト要件の判定方法についてわかりやすく解説します。 1.会計基準では「リース部分」と「サービス部分」に区分が原則 新リース会計基準では、契約にリースとサービスが混在する場合、次のように会計処理します。 リースを構成する部分 リースを構成しない部分(サービス部分) 契約対価は、それぞれの独立価格の比率に応じて配分します。 ただし借手は、あえて区分せず「全体をリース部分」として処理する選択も可能です。 2.税務上のFL判定も「区分後のリース部分」で判定する 税務上、ファイナンス・リース取引は、 解約不能要件 フルペイアウト要件 の両方を満たした場合に該当します(法人税法64の2)。 会計で区分している場合は、税務でも区分後の「リース部分」の金額でFL判定を行なうことになります。 3.フルペイア
安田 亮
2025年12月4日


オペレーティング・リースと短期前払費用
おはようございます!代表の安田です。 令和7年度税制改正により、「法人税法第53条」が新たに整備されました。 この条文は、オペレーティング・リース取引(いわゆる賃貸借取引)に関して、支払うリース料のうち「債務が確定した部分」について、各事業年度に損金算入できることを定めたものです。 これにより、「リース料はいつ損金にできるのか?」という実務上の判断に新しいルールが明示された形です。ただし、この改正によって、これまで多くの企業で活用していた「短期前払費用の特例」との関係に疑問を持つ声が上がっています。 1.そもそも「短期前払費用の特例」とは? 企業会計上、前払費用は「将来の期間に対応する費用」として、支払時点では資産計上するのが原則です(費用収益対応の原則)。 しかし、支払日から1年以内に提供を受ける役務に対して支払う前払費用で、かつ継続的に同様の処理を行なう場合には、支払時点で損金算入してもよいというのが「短期前払費用の特例」(法基通2-2-14)です。 たとえば、3月決算の会社が4月から翌年3月までの1年分のリース料を3月末に支払うケースでは、
安田 亮
2025年11月29日


税務調査でオンラインツールが本格導入へ
おはようございます!代表の安田です。 2025年11月10日、国税庁は 税務行政におけるオンラインツールの利用に関するQ&A(全18問) を公表しました。これにより、税務調査・行政指導等の場面で、オンラインを活用したコミュニケーションが本格化します。 当記事では、企業の経理担当者・税理士・個人事業主に向けて、押さえておきたいポイントをわかりやすく整理します。 1.対象となるオンラインツールと利用される場面 国税庁が利用するオンラインツールは次の4種類です。 インターネットメール(Outlook) Web会議システム(Microsoft Teams) オンラインストレージサービス(PrimeDrive) アンケート作成ツール(Microsoft Forms) 利用場面は幅広く、税務調査、行政指導、滞納整理、査察調査など多岐にわたります。 特に、2025年10月から金沢国税局・福岡国税局で先行導入されており、2026年3月以降は全国の国税局等で順次運用開始 予定です。 2.税務調査もオンライン化するが「納税者が希望しても対面になる場合あり」 オンライ
安田 亮
2025年11月28日


「経過リース期間定額法」適用には届出が必要
おはようございます!代表の安田です。 2025年度の税制改正(令和7年度改正)により、リース資産の償却に関するルールが大きく見直されました。特に、所有権移転外リースにおける残価保証額の取扱いが変わることで、これまで償却できなかった部分も含めた減価償却が可能になります。 そのための選択肢として新たに登場したのが「経過リース期間定額法」です。 今日はこの新しい償却方法の概要と、適用のために必要な届出について解説します。 ■従来の取扱い:残価保証額は償却できなかった これまで、所有権移転外リースの資産に設定される「残価保証額」は、リース期間定額法での減価償却の対象外とされていました。つまり、契約終了時の残価が保証されている分は償却できず、損金算入の対象から除外されていました。 ■新制度:残価保証額も償却対象に 令和9年4月1日以後に締結される所有権移転外リース契約については、残価保証額を控除せず、リース期間全体で均等償却することが可能になります。これにより、リース資産の「取得価額全体」を償却対象とすることができ、最終的には備忘価額まで償却できるようにな
安田 亮
2025年11月22日


適格合併における「事業関連性要件」
おはようございます!代表の安田です。 今回は、組織再編税制における「適格合併」の要件の一つである 事業関連性要件についてのお話です。中小企業やグループ法人においても重要な論点ですので、ぜひご参考ください。 1. 適格合併とは? 法人税法上、一定の要件を満たす合併は「適格合併」として取り扱われます。 適格合併に該当すれば、資産や負債の移転に伴う含み益を課税繰延べできるため、課税を回避できるメリットがあります。 ただし、適格要件を満たさない場合は「非適格合併」となり、移転資産に時価課税がされるため注意が必要です。 2. 事業関連性要件とは? 特に、支配関係のない法人間の合併では、 金銭等不交付要件 共同事業要件 の2つを満たす必要があります。 このうち共同事業要件の一部が「事業関連性要件」です。これは、 合併法人(存続法人)のいずれかの事業 と 被合併法人の「主要な事業」が、実態を備えたうえで相互に関連していること を求めるものです。 3. 「関連する事業」と認められる例 事業関連性要件では、「同種事業」である必要はなく、業態が異なっていても関連性が
安田 亮
2025年11月19日
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