未払賞与に係る社会保険料はいつ損金算入できる?
- 安田 亮
- 1月19日
- 読了時間: 4分
更新日:7月29日
おはようございます!代表の安田です。
決算対策として活用されることの多い「決算賞与(未払賞与)」ですが、賞与本体と社会保険料では、損金算入できるタイミングが異なる点に注意が必要です。
実務では「未払賞与を計上したのだから、社会保険料も同じ期で損金になるのでは?」という誤解が少なくありません。本記事では、未払賞与と社会保険料の損金算入時期の違いについて、法人税の基本的な考え方を税理士が分かりやすく解説します。
使用人賞与の原則的な損金算入時期
法人税において、使用人に対する賞与は、原則として実際に支払った日の属する事業年度で損金算入することとされています。そのため、決算日までに賞与を支給していない場合、原則論だけで考えると、翌期の損金となります。
未払賞与でも当期損金にできるケースとは
一定の要件を満たす「未払賞与」については、例外的に、支給額を通知した日の属する事業年度で損金算入することが認められています。
その要件は、主に次の3点です。
支給額を、各人別に、同時期に支給を受けるすべての使用人へ通知していること
通知した賞与を、決算日の翌日から1か月以内に実際に支払っていること
通知日の属する事業年度において、賞与額を損金経理していること
これらをすべて満たすことで、いわゆる「決算賞与」として当期の損金に算入することが可能になります。
社会保険料は未払賞与と同時に損金算入できない
ここで重要なのが、賞与に係る社会保険料の取扱いです。
法人が負担する社会保険料については、社会保険料の計算対象となった月の末日の属する事業年度に損金算入するのが原則とされています。
これは、社会保険料の納付義務が、「月末時点で在職しているかどうか」によって確定し、その後、翌月末までに納付する仕組みとなっているためです。
なぜ未払賞与の社会保険料は当期損金にならないのか
未払賞与を「支給額の通知日」で当期損金にできたとしても、社会保険料の支払義務が確定するのは、賞与支給月の月末です。
そのため、
未払賞与:通知日の属する事業年度で損金算入可能
社会保険料:実際に賞与を支給した月の末日の属する事業年度で損金算入
というズレが生じます。
具体例で確認してみましょう
例えば、3月決算法人が、
3月中に決算賞与の支給額を通知し、未払計上
4月に実際に賞与を支給
した場合の取扱いは以下のとおりです。
未払計上した賞与本体:3月期の損金
その賞与に係る社会保険料:翌事業年度(翌年3月期)の損金
となります。
実務で注意すべきポイント
決算賞与を活用する際には、
賞与と社会保険料の損金算入時期は一致しない
社会保険料まで含めた「節税効果」を過大に見積もらない
決算書・法人税申告書で期ズレが正しく処理されているか確認する
といった点に注意が必要です。
特に、税務調査では未払賞与に係る社会保険料を誤って当期損金にしていないかが確認されるケースもあります。
まとめ|決算賞与は「社会保険料」まで含めた検討を
決算賞与は有効な決算対策の一つですが、賞与本体と社会保険料の税務上の取扱いは別物です。
制度を正しく理解せずに処理すると、思わぬ否認リスクにつながる可能性もあります。
決算賞与の導入や、未払賞与の会計・税務処理についてお悩みの方は、税理士へ早めにご相談されることをおすすめします。
神戸での起業や開業に関するご相談、確定申告にお困りの方、顧問税理士をお探しの方は安田亮公認会計士・税理士事務所までお問い合わせください!
【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。






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