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国税庁KSK2対応で申告書等の新様式が順次公表へ|AI-OCR対応とe-Tax利用制限の実務ポイント

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 5月14日
  • 読了時間: 6分

おはようございます!代表の安田です。


税務実務では、税制改正そのものだけでなく、申告書や届出書の様式変更が大きな影響を与えることがあります。とくに、顧問先から紙で資料を預かることが多い会計事務所や、社内で申告書の作成・保管フローが固まっている会社では、様式変更が業務全体に波及しやすいものです。


今回、国税庁の基幹システムKSKの次世代システムであるKSK2が令和8年9月24日から稼働し、これに伴って多くの申告書、申請・届出書、法定調書の様式が改訂されます。


しかも、新様式は単なる見た目の変更ではなく、AI-OCR対応を前提に設計されており、6月頃から順次公表される予定です。


この記事では、KSK2対応による様式変更のポイントと、実務であらかじめ押さえておきたい注意点を整理します。


KSK2とは何か

KSK2は、国税庁の現行基幹システムであるKSKの次世代システムです。このKSK2が令和8年9月24日より稼働するとされています。


税理士や経理担当者からすると、基幹システムの刷新は一見すると税務署側の話に見えるかもしれません。しかし実際には、税務署が申告書等をどう受け取り、どうデータ化し、どう処理するかが変わるため、提出する側の様式や記載方法にも影響が及びます。


なぜ申告書の様式が変わるのか

今回の様式変更の大きな理由は、AI-OCRによる読み取りを前提にした運用へ移るためです。これまで税務署では、紙で提出された申告書等のうち一部の情報をKSKへ入力して蓄積していましたが、KSK2では、紙の提出書類も原則として全情報をスキャナで読み取り、データ化・イメージ化して蓄積する仕組みになります。


そして、その読み取り精度と効率を高めるために、OCRにAI技術を取り入れたAI-OCR対応様式へ刷新されるという流れです。AI技術により、フリーピッチ枠の文字列を単語や文脈として認識できるようになり、データ化作業の効率化に大きく寄与すると説明されています。


新様式では何が変わるのか

KSK2対応のドラフト版では、法人税申告書等に次のような変更が見られます。

  • 様式IDの追加

  • 様式ID等を識別するための2次元コードの追加

  • 各項目に識別コードの追加

  • 数字記入欄のマスの削除


たとえば、申告書の上部に様式IDが入り、その横に2次元コードが追加されるなど、従来様式とはかなり印象が変わる構成になっています。さらに、各記載欄ごとに細かな識別コードが振られ、機械読み取りしやすいレイアウトへ変わっていることが分かります。


影響は法人税申告書だけではない

今回の見直しは、法人税申告書だけにとどまりません。多くの申告書や申請・届出書、法定調書の様式が改訂されるとされており、実務上はかなり広い範囲に影響することが想定されます。


そのため、法人税だけでなく、源泉税や法定調書、各種届出書の定型様式も含めて、利用しているフォームや社内テンプレートの見直しが必要になる可能性があります。


所得税申告書も様式変更へ

所得税申告書についても様式変更が予定されています。この点で実務上注目したいのは、控用(複写式)が廃止される予定であることです。そのため、必要に応じて納税者自身が控えを作成し保管する運用になるようです。さらに、申告書の配色も原則白黒になる予定とされています。


これまで複写式を当然のように使っていた個人事業主や高齢の納税者にとっては、地味ですが影響の大きい変更です。「控えはどう残すか」「紙提出の際にどこまで事前準備するか」を見直しておく必要があるでしょう。


納付書も変わる

資料では、税務署窓口で配布される所得税徴収高計算書(納付書)についても様式変更が予定されているとされています。主な変更点は次のとおりです。

  • 「整理番号(8桁)」が「お問い合わせ番号(13桁)」へ変更

  • 「納期等の区分」欄などに元号の記載欄を追加

  • 「徴収義務者」欄に郵便番号やフリガナの記載欄を追加

  • 税務署窓口配布分は、現行のA4三つ折りサイズ程度の複写式から、A4サイズの単票式へ変更予定


一方で、年末調整時期に税務署から送付される納付書については、引き続き複写式の様式が予定されているとされています。


実務で見落としやすいポイント

今回の変更で見落としやすいのは、単に「新しい様式が出る」という事実だけではありません。実際には、次のような業務フロー全体に影響し得ます。


1. 事務所内のテンプレートや記入見本

これまで使っていた記載例、入力マニュアル、顧問先向け案内がそのまま使えなくなる可能性があります。とくに、様式IDや2次元コード、識別コードが追加されることで、従来の記入位置ベースの説明は見直しが必要です。


2. 控えの残し方

所得税申告書の複写式控えがなくなる予定であるため、紙提出を前提にしている納税者については、提出前にコピーを取る運用がより重要になります。


3. 納付書の案内方法

徴収義務者向けの納付書様式が変わるため、社内の事務担当者や顧問先への案内資料も更新が必要です。


e-Taxの利用制限にも注意

KSK2稼働に伴って、e-Taxの利用制限期間も設けられます。資料によると、次の期間はメンテナンスのためe-Taxが利用できません。

  • 令和8年9月19日(土)0:00~9月24日(木)8:30

  • 令和8年9月26日(土)0:00~24:00


この時期に申告や届出、メッセージボックス確認などを予定している場合は、かなり影響が出る可能性があります。特に9月決算や月次の届出業務が集中する法人では、スケジュール調整が必要です。


IPアドレス指定接続も見直しが必要

もう一つ、資料で重要なのが接続方式の変更です。

令和8年9月24日8時30分以降、e-TaxのIPアドレスが固定IPアドレスから動的IPアドレスへ変更されます。e-Taxに接続する際にIPアドレスを指定して接続している場合は、URL(マイページ)での接続に変更するよう国税庁が案内しているとされています。


一般的な利用者にはあまり意識されない部分かもしれませんが、社内システムやセキュリティ設定でIPアドレス指定を前提にしている事業者にとっては、見逃せない変更です。


まとめ

国税庁の次世代基幹システムKSK2は、令和8年9月24日から稼働し、これに伴って申告書・申請書・届出書・法定調書の様式がAI-OCR対応へ刷新されます。


KSK2対応の新様式は6月頃から順次公表され、ドラフト版では様式ID、2次元コード、識別コードの追加や数字記入欄のマス削除などの変更が見られます。また、所得税申告書の控用(複写式)は廃止予定で、所得税徴収高計算書(納付書)も整理番号からお問い合わせ番号への変更や、単票式への変更などが予定されています。


さらに、令和8年9月19日~24日朝、9月26日はe-Taxが利用できず、9月24日以後はIPアドレス指定接続からURL接続への見直しが必要になります。


KSK2対応は、税務署内部のシステム更新に見えて、実際には納税者・税理士側の実務にもかなり影響します。新様式の公表時期、e-Tax停止期間、納付書の変更を見越して、今のうちから業務フローを整えておくことが大切です。


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