退職所得の源泉徴収票
- 安田 亮
- 7月2日
- 読了時間: 2分
おはようございます!代表の安田です。
令和7年度税制改正により、退職所得の源泉徴収票・特別徴収票の提出範囲が大きく変わります。従来は「法人役員のみ」が対象だったところ、令和8年1月1日以降に支払う退職金からは「全ての居住者」、つまり従業員を含むすべての退職者が対象になります。
■ これまでの取扱い:役員に限られた一括提出
従来、退職所得の源泉徴収票は「退職後1か月以内」に提出するのが原則ですが、役員分については例外的に年末で取りまとめ、翌年1月末までに提出することが可能とされていました。
■ 改正のポイント:従業員も一括提出の対象に!
今回の改正により、令和8年からはこの例外措置が役員だけでなく、従業員にも適用可能となります。つまり、企業は1年間に退職したすべての従業員の源泉徴収票をまとめて、翌年1月31日までに提出することができるようになるのです。
<適用開始日>
「令和8年1月1日以後」に支払われる退職金に対して適用
<対象者>
居住者である役員および従業員すべて
<提出先>
所轄税務署長および退職者の住所地の市区町村長
■ 実務に役立つポイントと注意点
✓ 提出期限の選択肢が増える
企業の事務負担が軽減され、退職の都度提出する必要がなくなります。年1回のまとめ処理が可能になります。
✓ 対象となるのは「退職金が支払われた日」で判断
例えば、令和7年12月に退職した従業員に対して退職金の支払が翌年1月にずれ込んだ場合は要注意。その退職金が「令和8年分の所得」として扱われるため、提出が必要です。
✓ 年末の未払退職金に注意
令和7年中に退職し、退職金の支払が令和8年に行なわれたとしても、令和7年分の所得とされる未払退職金については提出不要
ただし、退職日自体が令和8年の場合は対象となります(たとえ最終出社が前年でも)。
■ まとめ:年末調整や給与支払報告と併せたスケジューリングを
この改正は実務上の柔軟性をもたらす一方で、「誰が対象で、いつ何を提出すべきか」の線引きが複雑化する一面もあります。

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