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130万円の壁は大学生年代の子どもなら150万円未満に?社会保険の扶養判定を解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 2 日前
  • 読了時間: 10分

おはようございます!代表の安田です。


パートやアルバイトで働く方にとって、いわゆる「年収の壁」はとても身近なテーマです。特に社会保険の扶養に関係する130万円の壁は、働き方やシフト調整に大きな影響を与えてきました。


  • 年収が130万円を超えると、親や配偶者の扶養から外れてしまうのでは?

  • 残業が増えて一時的に収入が増えた場合も、社会保険の扶養から外れるの?

  • 大学生の子どもがアルバイトをしている場合も、130万円で判定するの?


このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

実は、社会保険の扶養判定については、近年見直しが行なわれています。令和7年4月以後の被扶養者認定では、一定の要件を満たす場合、残業代などの臨時的な収入を含めずに年収判定できるようになりました。


さらに、19歳以上23歳未満の大学生年代の親族については、配偶者等と異なり、判定基準が130万円未満ではなく150万円未満となります。


今回は、社会保険の「130万円の壁」と、大学生年代の親族に係る150万円基準について、税理士の視点からわかりやすく整理します。


そもそも「130万円の壁」とは?

「130万円の壁」とは、主に社会保険の被扶養者認定に関する年収基準を指します。

会社員や公務員などの被保険者に扶養されている配偶者や親族は、一定の要件を満たせば、健康保険や年金について自分で保険料を負担せずに済みます。


しかし、扶養される側の年収が一定額以上になると、被扶養者として認定されず、本人が国民年金や国民健康保険に加入し、自分で保険料を負担する必要が出てきます。

この境目としてよく知られているのが、年収130万円未満という基準です。


年収が130万円未満であれば、原則として被扶養者認定の対象となり、自身で社会保険料を負担しないで済む可能性があります。一方、年収が130万円以上になると、扶養から外れ、本人に社会保険料負担が発生する可能性があります。

これが、いわゆる「130万円の壁」です。


130万円以上でも必ず扶養から外れるわけではない?

ここで注意したいのは、「130万円」という金額だけで一律に決まるわけではないという点です。


社会保険の扶養判定では、勤務先の規模や労働時間などにより、本人が勤務先の厚生年金・健康保険に加入するかどうかも関係します。

たとえば、一定規模以上の事業所に勤務し、週の所定労働時間や月額賃金などの要件を満たす場合には、本人が勤務先で社会保険に加入することがあります。

一方、学生である場合や、勤務時間・勤務条件が一定の要件に該当しない場合には、勤務先の社会保険加入対象にはならず、親や配偶者の被扶養者に該当するかどうかを判定することになります。

その際に問題になるのが、年収130万円未満かどうかです。


令和7年4月以後は残業代等を除いて判定できる場合がある

従来、被扶養者認定における年収判定では、給与明細などをもとに、残業代などの所定外賃金も含めて、今後1年間の収入見込額を判定していました。

そのため、普段は130万円未満に収まる働き方をしていても、繁忙期の残業や一時的な勤務増加により、収入見込みが130万円以上と判断されるケースがありました。


この点について、令和7年4月以後の被扶養者認定から、一定の要件を満たす場合には、労働契約上の金額をもとに年収判定できるようになりました。

つまり、給与収入のみを得ているなどの要件を満たす方については、残業代などの臨時的な収入を含めず、契約上の賃金を基準に判定できる場合があります。

これは、たまたま残業が増えたことで扶養から外れてしまう、といった不安を軽減する見直しといえます。


配偶者等の場合は130万円未満が基準

被保険者の配偶者などについては、これまでと同様、被扶養者認定の年収基準は原則として130万円未満です。ただし、令和7年4月以後は、一定の要件を満たせば、残業代等を含めずに判定できる場合があります。


たとえば、パート勤務の配偶者について、労働契約上の年間収入見込みが130万円未満であり、残業代などの臨時収入を除けば基準内に収まるようなケースでは、被扶養者認定の対象となる可能性があります。


ただし、勤務実態や収入の内容、提出書類によって判断されるため、単に「残業代は無視できる」と考えるのは危険です。必要書類や申立ての内容を確認しながら、慎重に対応する必要があります。


19歳以上23歳未満の大学生年代の親族は150万円未満

今回、特に実務上注意したいのが、19歳以上23歳未満の親族です。

大学生年代の子どもがアルバイトをしている場合、社会保険の扶養判定で気になるのは、親の扶養から外れないかどうかです。


令和7年4月以後は、19歳以上23歳未満の親族についても、一定要件を満たす場合には、残業代などの臨時収入を含めずに年収判定できるようになっています。


ただし、配偶者等と異なるのは、年収基準額です。

19歳以上23歳未満の親族については、基準額が130万円未満ではなく150万円未満となります。これは、令和7年度税制改正で、19歳以上23歳未満の特定親族を対象とした特定親族特別控除が創設されたことに伴い、社会保険上の被扶養者認定でも見直しが行われたためです。


150万円基準はいつから適用されるのか

19歳以上23歳未満の親族に係る150万円未満の基準は、令和7年10月1日以後の被扶養者認定分から適用されます。つまり、大学生年代の子どもについては、令和7年10月以後の被扶養者認定では、従来の130万円未満ではなく、150万円未満を基準に判定されることになります。


ただし、対象となるのはあくまで19歳以上23歳未満の親族です。すべての扶養親族について150万円基準になるわけではありません。


また、所得税の扶養控除や特定親族特別控除の取扱いと、社会保険の被扶養者認定は制度が異なります。同じ「扶養」という言葉でも、税金と社会保険では判定基準や影響が違うため、混同しないようにしましょう。


年収基準以外の要件も必要

大学生年代の親族について、150万円未満であれば必ず被扶養者に認定されるわけではありません。年収基準額以外にも、配偶者等と同様に、一定の要件を満たす必要があるとされています。


主な要件としては、次のようなものがあります。

  • 給与収入のみを得ていること

  • 労働条件通知書等を提出すること

  • 「給与収入のみである」旨の申立てをすること

  • その他、保険者が求める確認書類を提出すること


つまり、150万円未満という基準だけではなく、収入の内容や勤務条件を示す資料が必要になります。

大学生のアルバイト収入については、複数の勤務先がある場合や、一時的な収入がある場合もあります。そのような場合には、年収判定や提出書類が複雑になることがあります。


残業代を除けるのは「一定要件を満たす場合」

今回の見直しでは、残業代などの臨時収入を含めずに年収判定できる場合があります。

しかし、これは無条件に認められるものではありません。


たとえば、給与収入のみであることや、労働条件通知書等により契約上の収入見込みを確認できることなどが必要です。また、「給与収入のみである」旨の申立てが求められる場合もあります。


したがって、臨時収入を除いて判定したい場合には、勤務先から発行される労働条件通知書や雇用契約書、給与明細などを整理しておくことが重要です。


税金の扶養と社会保険の扶養は別物

このテーマで非常に混乱しやすいのが、税金の扶養と社会保険の扶養の違いです。

所得税では、令和7年度税制改正により、19歳以上23歳未満の特定親族を対象とする特定親族特別控除が創設されています。一方、社会保険では、被扶養者認定の年収基準として、大学生年代の親族について150万円未満という基準が導入されています。


どちらも19歳以上23歳未満の親族に関係するため混同しやすいのですが、制度の目的も判定方法も異なります。

税金では、親の所得税・住民税の控除額に影響します。社会保険では、子ども本人が国民年金・国民健康保険などの保険料を負担するかどうかに影響します。

つまり、税金の扶養に入るかどうかと、社会保険の扶養に入るかどうかは、別々に確認する必要があります。


大学生のアルバイト収入で注意したいケース

大学生年代の子どもがアルバイトをしている家庭では、次のようなケースに注意が必要です。


1. 繁忙期だけ残業が増えた場合

通常の契約上は150万円未満でも、夏休みや年末年始などに一時的に勤務が増え、給与明細上の収入が多くなることがあります。一定要件を満たせば、残業代等の臨時収入を除いて判定できる可能性があります。


2. 掛け持ちアルバイトをしている場合

複数の勤務先から給与を受けている場合、収入見込みの把握が複雑になります。給与収入のみであっても、各勤務先の労働条件や収入見込みを整理する必要があります。


3. 給与以外の収入がある場合

フリマアプリ、配信収入、業務委託、原稿料など、給与以外の収入がある場合には、単純に労働契約上の給与だけで判断できない可能性があります。


4. 23歳になる年齢の確認

150万円基準の対象は、19歳以上23歳未満の親族です。年齢要件を満たすかどうかも確認しておく必要があります。


家庭で準備しておきたい資料

大学生年代の子どもについて、社会保険の被扶養者認定を受ける場合には、次のような資料を準備しておくとよいでしょう。

  • 労働条件通知書

  • 雇用契約書

  • 給与明細

  • 源泉徴収票

  • アルバイト先ごとの収入見込み資料

  • 給与収入のみである旨の申立書

  • 学生であることが分かる資料

  • その他、健康保険組合等から求められる書類


必要書類は加入している健康保険組合や協会けんぽ等により異なる場合があります。実際の手続では、勤務先の総務担当者や保険者に確認することが大切です。


会社の総務・経理担当者が注意したいこと

従業員から、大学生の子どもの扶養について相談を受ける会社も増えると考えられます。

特に、年末調整の時期や扶養異動の手続時期には、税金の扶養と社会保険の扶養が混同されやすくなります。総務・経理担当者としては、次の点を整理して案内するとよいでしょう。

  • 配偶者等の社会保険扶養は原則130万円未満

  • 19歳以上23歳未満の親族は150万円未満となる場合がある

  • 150万円基準は令和7年10月1日以後の被扶養者認定分から

  • 残業代等を除いて判定できるのは一定要件を満たす場合

  • 労働条件通知書等の提出が必要

  • 税金の扶養控除・特定親族特別控除とは別に確認が必要


「税金では扶養に入るから社会保険も大丈夫」とは限りません。制度ごとに確認することが大切です。


まとめ

社会保険の「130万円の壁」とは、配偶者等が一定の要件により厚生年金等の加入対象とならない場合に、年収130万円以上となると国民年金・国民健康保険に加入し、自身で保険料を負担する必要が生じる可能性があることを指します。一方、年収が130万円未満であれば、被扶養者認定の対象となり、自身で社会保険料を負担しないで済む可能性があります。

令和7年4月以後の被扶養者認定では、給与収入のみを得ているなど一定の要件を満たす場合、残業代等の臨時収入を含めず、労働契約上の金額をもとに年収判定できるようになりました。


また、19歳以上23歳未満の大学生年代の親族についても、同様に残業代等を含めずに年収判定できる場合があります。ただし、この場合の年収基準は130万円未満ではなく、150万円未満です。これは、令和7年度税制改正で特定親族特別控除が創設されたことに伴い、令和7年10月1日以後の被扶養者認定分から、大学生年代の親族に係る社会保険の年収基準が見直されたためです。


大学生のアルバイト収入については、税金の扶養と社会保険の扶養を混同しやすいところです。親の扶養に入れるかどうかを判断する際は、年齢、年収見込み、収入の種類、残業代等の扱い、提出書類を確認し、必要に応じて勤務先や保険者へ早めに相談しましょう。


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