2026年分の年調ソフトに不具合|扶養親族の所得入力とAndroidのPDF出力を確認
こんにちは!代表の安田です。
国税庁は2026年10月22日、令和8年分の年調ソフトで確認された不具合を公表しました。年調ソフトは、従業員が年末調整に必要な控除申告書を作成するためのソフトウェアです。
23歳未満の親族の所得が一定の条件で0円と扱われる事象と、Android端末でPDFを閲覧できない事象が案内されています。修正版は11月中旬頃の提供予定です。2026年11月7日時点の公表内容を基に、従業員と給与担当者が確認したい点を整理します。
所得入力の不具合は3つの条件が重なる場合に発生する
国税庁の案内によると、次の条件をすべて満たす場合に、扶養親族の合計所得金額を入力できず、年調ソフト上で令和8年分の所得の見積額が0円として設定されます。
項目 | 発生条件 |
|---|---|
親族の年齢 | 23歳未満 |
他の所得者の控除対象 | 「はい」を選択 |
令和8年分の所得の見積額 | 62万円超 |
「他の所得者の控除対象」は、例えば、本人以外の所得者の控除対象として申告する親族に関する入力です。実際の家族関係や所得に合わせて選ぶ項目であり、不具合を避けるために事実と異なる選択肢へ変えることは適切ではありません。
また、ここでいう所得は、給与の支給額そのものとは異なります。給与だけの親族なら給与所得控除後の金額を確認し、ほかの所得もある場合は合わせて判定します。「年収が62万円を超えるか」だけで対象を判断しないようにしてください。
控除額と出力データの両方に影響する可能性がある
親族の所得が0円として扱われると、実際には扶養親族に該当しないのに、23歳未満の扶養親族がいるものとして申告書を作成できる場合があります。国税庁は、主に次の影響を示しています。
所得金額調整控除額が、本来より過大になる場合があること
生命保険料控除額が、本来より過大になる場合があること
所得金額調整控除申告書・保険料控除申告書のXMLで、合計所得金額の見積額が0円になること
所得金額調整控除は、給与収入や扶養親族等に関する一定の要件を満たす方の給与所得を調整する制度です。XMLは申告内容をシステムへ受け渡す電子データの形式で、画面や印刷物だけでなく、取り込んだデータにも影響が及ぶ点に注意が必要です。
ただし、この事象がすべての利用者の控除を誤らせるという意味ではありません。まず3つの発生条件に該当するかを確認し、該当する方について、実際の親族の所得と作成済みの申告内容を照合します。
AndroidでPDFが見られない場合の暫定対応
Android端末では、「書面出力」を選んだ後の画面操作中に画面が黒くなり、作成した控除申告書のPDFを閲覧できない事象も公表されています。この出力の問題については、国税庁が暫定的な確認方法を示しています。
「出力形式の選択」で「電子データで出力する」を選びます
メーラーに連携された控除申告書のPDFを適切な方法で保存し、PDF閲覧ツールで内容を確認します
これはPDFを閲覧するための暫定対応です。親族の所得が0円になる不具合を、この操作で修正できるという案内ではありません。メールソフトに連携された後は、勤務先が指定する提出方法と個人情報の取扱いに従い、送信先や保存先を確認してください。
給与担当者は該当者と提出済みデータを確認する
勤務先では、従業員全員に一律の再提出を求める前に、利用ソフトと発生条件の該当状況を確認しましょう。国税庁の年調ソフトについての案内なので、他社の給与・申告システムにも同じ不具合があると決め付けないことが大切です。
該当する従業員については、親族の所得見積りと、提出済みの控除申告書・取込データを照合します。既に給与システムへ取り込んでいる場合は、再提出だけでなく、取り込んだ情報の更新が必要かも確認します。
修正版の提供前に提出期限が来るときは、勤務先と相談し、公式の案内を確認した上で、書面等を含めた正しい申告方法を決めてください。今回の公表資料には、所得入力の不具合について、事実と異なる入力を用いる回避方法は示されていません。
国税庁は11月中旬頃の修正版の提供を予定しています。利用時には最新のお知らせと更新履歴を確認し、修正内容が自分の作成済みデータへどう反映されるかも確認しましょう。
まとめ
令和8年分年調ソフトでは、特定条件での親族の所得入力と、AndroidのPDF出力について不具合が公表されています。発生条件、影響する申告書、公式の暫定対応を分けて確認してください。給与担当者は該当者の提出済みデータも照合し、修正版の提供状況を確認してから年末調整を進めましょう。
神戸での起業や開業に関するご相談、確定申告にお困りの方、顧問税理士をお探しの方は安田亮公認会計士・税理士事務所までお問い合わせください!
<あわせて読みたい>
【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。




コメント