青色申告75万円控除は年末の準備で間に合う?2027年分の要件と記帳時期を解説
こんにちは!代表の安田です。
令和9年(2027年)分から、青色申告特別控除は最大75万円になります。これまでe-Taxで65万円控除を受けていた個人事業主の方も、同じ申告方法を続けるだけで75万円になるわけではありません。
75万円控除には、電子申告に加え、優良な電子帳簿またはデジタルシームレス保存への対応が必要です。特に優良な電子帳簿を選ぶ場合は、申告直前の作業より、年初からの記帳・確認体制が重要になります。
75万円控除の前提は複式簿記と期限内の電子申告
青色申告特別控除は、一定の帳簿を作成・保存する青色申告者が、所得から所定の金額を差し引ける制度です。75万円は税額そのものを差し引く金額ではなく、所得の計算上の控除額の上限です。
75万円控除は、事業所得または事業として行う不動産所得について、正規の簿記の原則、通常は複式簿記により記帳し、貸借対照表と損益計算書を付けて期限内に申告することが前提です。控除対象となる所得の額などにより、実際の控除額は上限に達しない場合があります。
確認する区分 | 75万円控除の主な対応 |
|---|---|
基本となる帳簿・申告 | 複式簿記、貸借対照表・損益計算書、期限内申告 |
申告方法 | e-Taxによる電子申告 |
追加の保存要件 | 優良な電子帳簿またはデジタルシームレス保存 |
手続 | 選択する方式に応じた所定の届出 |
追加要件は2つの方式から自社に合うものを選ぶ
<優良な電子帳簿は、ソフトの機能と運用の両方が必要>
優良な電子帳簿とは、通常の電子帳簿の要件に加え、訂正・削除等の履歴、帳簿間の関連性、検索機能などを備えた帳簿です。単に会計ソフトで入力しているというだけでは、要件を満たしているか判断できません。
ソフトがJIIMA認証を受けているかは、機能を確認する手掛かりになります。
JIIMAは電子文書管理に関する認証を行なう団体です。ただし、認証対象の製品・バージョンや設定を確認し、説明書やディスプレイ等の備付けといった機能以外の要件も満たす必要があります。
<デジタルシームレス保存は電子取引データとの連携が中心>
デジタルシームレス保存は、所定の電子取引データを自動で保存し、電子帳簿に連携する仕組みです。国税庁長官の基準に適合するシステムを使い、改ざん防止、記帳の適正性、データと帳簿との相互の関連性などを確保します。
請求書のPDFをフォルダへ入れ、その金額を手で会計ソフトへ入力するだけの運用とは異なります。新しいサービスの導入が必要か、取引先とのデータのやり取りまで対応できるかを検討しましょう。
記帳を税理士に任せても、期中に帳簿を確認できるようにする
国税庁の一問一答では、会計事務所や記帳代行業者に記帳を委託すること自体は認められています。一方、課税期間中に記帳せず、期間終了後にまとめて記帳することを委託する方法は認められないと説明されています。これは紙と電子のどちらの帳簿にも関わる考え方です。
電子帳簿を外部で作成する場合でも、事業主側は、期中から帳簿を画面と書面に出力できる状態にしておく必要があります。「税理士事務所のパソコンには入っている」という状態だけで済ませず、自社の保存場所で確認できる仕組みを用意します。
例えば、毎月の資料提出日、記帳後の確認日、クラウド会計へのアクセス権限を決めておくと運用しやすくなります。月次という頻度はここでの実務上の提案であり、すべての事業者に法令が一律の月次処理を義務付けているという意味ではありません。
届出期限と帳簿の準備開始を混同しない
優遇措置に必要な届出は、原則として適用を受ける年分の法定申告期限までに行います。しかし、届出が申告期限までだからといって、年初から必要となる帳簿の備付けまで申告直前に遅らせられるわけではありません。
すでに優良な電子帳簿による65万円控除を適用している人は、国税庁の案内上、改めて届出書を提出する必要はありません。過去にe-Taxを使っただけの人とは対応が異なるため、提出済みの届出書の控えと、実際の保存方法を照合してください。
既存の事業で令和9年分から優良な電子帳簿による75万円控除を目指す場合、次の準備を年内に進めることをおすすめします。
現在の控除額と、その根拠となる申告・保存方法を確認します。
会計ソフトの対応機能、履歴保存設定、検索・出力方法を確認します。
令和9年の年初から仕訳帳と総勘定元帳を要件に沿って備え付ける運用を決めます。
記帳を委託する場合は、資料授受と自社での帳簿確認の手順を取り決めます。
既存の届出の有無を確認し、必要な届出と期限内の電子申告を管理します。
開業年や、複数の所得がある場合などは、開始時期・帳簿の範囲を個別に整理します。ソフトの購入だけで対応を終えず、実際に訂正履歴や帳簿の出力を確認しておくと安心です。
まとめ
青色申告75万円控除は令和9年分からの制度です。電子申告のほかに保存要件が必要となり、優良な電子帳簿を使う場合は、年初からの記帳体制を整えることが重要です。今の保存方式・届出・委託先との運用を確認し、申告期限と準備開始の時期を分けて管理しましょう。
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【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。




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