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ふるさと納税の控除漏れに気づいたら?住民税決定通知書の確認方法と還付申告を税理士が解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 4 分前
  • 読了時間: 13分

こんにちは!代表の安田です。


ふるさと納税をしたのに、翌年の住民税が思ったほど安くなっていない。

会社から配られた住民税の決定通知書を見たら、ふるさと納税の控除が反映されていない気がする。


このような相談は、毎年5月から6月頃に増えます。

給与所得者の場合、毎年5月から6月頃に、勤務先を通じて「住民税決定通知書」や「特別徴収税額通知書」を受け取ります。


前年にふるさと納税を行ない、適切に寄附金控除が適用されていれば、住民税決定通知書の摘要欄などに、寄附金控除に関する金額が記載されていることがあります。


ところが、

  • ワンストップ特例の申請を忘れていた

  • 確定申告をしたのにふるさと納税の寄附金控除を入れ忘れた

  • 寄附先が6自治体以上になっていた

  • 自治体側の処理に誤りがあった

などの理由で、控除が漏れているケースがあります。


ふるさと納税の控除漏れに気づいた場合でも、すぐに諦める必要はありません。

確定申告や更正の請求を行なうことで、事後的に寄附金控除を受けられる場合があります。

本日は、ふるさと納税の控除漏れが起こる原因、住民税決定通知書で確認すべきポイント、ワンストップ特例を忘れた場合の対応、確定申告で寄附金控除を入れ忘れた場合の手続き、経理担当者が注意すべき特別徴収税額の変更対応を解説します。


ふるさと納税の基本

ふるさと納税は、自分が選んだ地方公共団体に寄附を行なった場合に、一定の限度額の範囲内で、寄附金額から2,000円を差し引いた金額について、所得税と個人住民税から控除を受けられる制度です。


たとえば、年間で50,000円のふるさと納税を行なった場合、控除上限額の範囲内であれば、原則として48,000円が所得税や翌年度の住民税から控除されます。


ただし、ふるさと納税は「寄附をすれば自動的に税金が安くなる」制度ではありません。

控除を受けるには、原則として、所得税の確定申告で寄附金控除を申告する必要があります。


給与所得者など一定の人については、確定申告をしなくても控除を受けられる「ワンストップ特例制度」がありますが、この制度も寄附先自治体への申請が必要です。


ワンストップ特例制度とは

ワンストップ特例制度とは、確定申告が不要な給与所得者などが、一定の要件を満たす場合に、確定申告をしなくてもふるさと納税の控除を受けられる制度です。


国税庁は、ワンストップ特例について、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内で、それぞれの自治体に申請書を提出した場合、原則として確定申告は不要と説明しています。ワンストップ特例の適用を受ける場合、所得税からの控除は発生せず、所得税分も含めて翌年6月以降に納付する住民税から控除されます。


つまり、ワンストップ特例を使った場合は、所得税の還付ではなく、翌年度の住民税が減額される形で控除されます。そのため、会社員の方は、翌年5月から6月頃に勤務先を通じて受け取る住民税決定通知書で、ふるさと納税が反映されているかを確認することが大切です。


住民税決定通知書で確認すべきポイント

ふるさと納税をした翌年に確認したいのが、住民税決定通知書です。

給与所得者の場合、勤務先を通じて「給与所得等に係る市町村民税・道府県民税・森林環境税 特別徴収税額の決定通知書」などの名称で交付されます。

確認すべきポイントは、主に次のとおりです。

・摘要欄に寄附金税額控除に関する記載があるか
・税額控除欄に寄附金控除が反映されているか
・寄附金額から2,000円を差し引いた金額に近い控除があるか
・ワンストップ特例を使った場合、所得税分も含めて住民税から控除されているか
・寄附した自治体数や寄附額と通知書の内容に大きなズレがないか

前年にワンストップ特例でふるさと納税に係る寄附金控除を適用した場合、住民税の決定通知書の摘要欄等に「寄附金額-2,000円」の金額が記載されていると説明されています。


ただし、自治体によって通知書の様式や表示方法は異なります。

摘要欄に明確な金額が出ていない場合でも、税額控除欄に反映されていることがあります。

不明な場合は、住んでいる市区町村の住民税担当課へ確認しましょう。


ふるさと納税の控除漏れが起こる主な原因

ふるさと納税の控除漏れは、次のような理由で起こります。

・ワンストップ特例の申請を忘れた
・ワンストップ特例の申請期限に間に合わなかった
・寄附先自治体が6団体以上になった
・確定申告をしたためワンストップ特例が無効になった
・確定申告でふるさと納税の寄附金控除を入れ忘れた
・寄附金受領証明書を紛失し、申告しなかった
・引っ越し後の住所変更手続きをしていなかった
・自治体側の処理ミスで控除が反映されていない

特に多いのは、ワンストップ特例の申請忘れです。


ふるさと納税サイトで寄附をしただけでは、ワンストップ特例の適用は完了しません。

寄附先の自治体に申請書を提出する、またはオンライン申請を行う必要があります。

添付資料でも、ふるさと納税に係る寄附金控除の適用漏れとして散見されるのは、ワンストップ特例の申請を失念しているケースだとされています。


ワンストップ特例を忘れた場合でも確定申告で取り戻せる

ワンストップ特例の申請を忘れていた場合でも、事後的に確定申告、いわゆる還付申告を行なうことで、ふるさと納税の寄附金控除を受けられる場合があります。


この場合、所得税については還付を受け、個人住民税については後日減額されます。

ワンストップ特例では、所得税分も含めて住民税から控除される仕組みですが、確定申告を行った場合は、所得税分は所得税の還付、住民税分は住民税の減額という形になります。

ただし、住民税への反映には時間がかかります。

税務署から市区町村へ申告情報が送られ、その後、市区町村で住民税の変更手続きが行われるためです。


住民税への反映は数か月遅れることがある

ワンストップ特例の申請漏れに気づき、後から還付申告を行なった場合、所得税の還付は比較的早く処理されることがあります。


一方、住民税の減額は、すぐに毎月の給与天引きに反映されるとは限りません。

還付申告により事後的に寄附金控除を適用する場合、申告書を提出した税務署から自治体へ情報が送付された後、自治体側の特別徴収税額の変更手続きが行なわれるため、毎月の特別徴収税額への反映は後ろ倒しになるとされています。自治体側の変更手続きには2〜3か月程度かかることがあります。

そのため、住民税決定通知書を見て控除漏れに気づいた場合は、早めに手続きを行うことが大切です。


手続きが遅れるほど、住民税の変更通知が届く時期も遅くなり、勤務先での給与控除額の変更も後ろにずれ込みます。


確定申告をするとワンストップ特例は無効になる

ワンストップ特例を申請していても、医療費控除、副業所得、不動産所得、住宅ローン控除初年度などの理由で確定申告を行なう場合には注意が必要です。


確定申告を行うと、ワンストップ特例の申請は無効になります。

国税庁も、ワンストップ特例の申請をした人が確定申告を行なう場合、ワンストップ特例の申請をした分も含めて、ふるさと納税に係る寄附金控除を確定申告に記載する必要があると案内しています。


たとえば、ワンストップ特例を5自治体に申請していた人が、医療費控除のために確定申告をする場合、ふるさと納税の寄附金控除も確定申告書にすべて入力する必要があります。


「ワンストップ特例は申請済みだから、確定申告では医療費控除だけ入れればよい」と考えると、ふるさと納税の控除漏れが起こります。


確定申告で寄附金控除を入れ忘れた場合は更正の請求

確定申告をしたものの、ふるさと納税の寄附金控除を入れ忘れた場合は、原則として更正の請求を検討します。


国税庁は、ふるさと納税に係る寄附金控除を適用せずに確定申告をした人は、当初の確定申告書の内容に寄附金控除を追加して税額計算を行う更正の請求書の提出が必要と案内しています。更正の請求を行なうことで、所得税の税額が減少する場合には、所得税の還付を受けられる可能性があります。


また、その情報が市区町村へ連携されることで、個人住民税にも反映されます。

ただし、寄附金控除を追加しても所得税額に異動がない場合など、更正の請求ができないケースもあります。その場合は、住んでいる市区町村へ相談する必要があります。


ふるさと納税の控除漏れに気づいたときの対応手順

ふるさと納税の控除漏れに気づいたら、次の順番で確認しましょう。


1. 住民税決定通知書を確認する

まず、摘要欄や税額控除欄を確認します。

寄附金額、寄附先、ワンストップ特例の申請状況と照らし合わせます。


2. 寄附金受領証明書を集める

各自治体から発行された寄附金受領証明書を準備します。

ふるさと納税サイトによっては、寄附金控除に関する証明書をまとめて取得できる場合もあります。

また、マイナポータル連携を利用すると、寄附金受領証明書等データを取得し、確定申告書作成時に自動入力できる場合があります。


3. 確定申告をしているか確認する

まだ確定申告をしていない場合は、還付申告により寄附金控除を申告します。

すでに確定申告をしている場合は、更正の請求が必要になる可能性があります。


4. ワンストップ特例が無効になっていないか確認する

確定申告をした場合、ワンストップ特例は無効になります。

ワンストップ特例を申請した寄附分も含めて、すべて確定申告に入れる必要があります。


5. 住民税の変更通知を確認する

手続き後、市区町村で住民税の変更処理が行われると、勤務先へ特別徴収税額の変更通知書が届くことがあります。

給与天引き額が変更されるため、勤務先の経理・給与担当者は通知書を確認して対応します。


経理担当者が注意すべきこと

ふるさと納税の控除漏れは、本人だけの問題に見えますが、会社の経理担当者にも関係します。

給与所得者が後から還付申告や更正の請求を行ない、住民税が変更されると、市区町村から勤務先へ特別徴収税額の変更通知書が届くことがあります。この変更通知書が届いた場合、経理担当者は、対象者の毎月の住民税控除額を変更する必要があります。


特に注意したいのは、変更通知書が届くタイミングです。

還付申告後、市区町村での処理に時間がかかるため、6月当初の住民税額とは別に、8月、9月、10月以降などに変更通知が届くことがあります。

給与計算ソフトの住民税額を更新し忘れると、給与天引き額に誤りが生じます。


自治体側のミスで控除漏れになることもある

ふるさと納税の控除漏れは、納税者本人の申請漏れや申告漏れだけで起こるわけではありません。自治体側の処理誤りにより、寄附金控除が反映されていないケースもあります。


納税者自身の適用漏れのほか、自治体側のミスで寄附金控除が適用漏れとなっているケースも少なくないため、決定通知書で寄附金控除が適用されているか確認することが重要とされています。


本人が正しくワンストップ特例を申請していたとしても、住民税決定通知書の内容は必ず確認しましょう。寄附金受領証明書やワンストップ特例の受付完了メール、申請控えなどを保管しておくと、自治体へ問い合わせる際に役立ちます。


還付申告はいつまでできるか

給与所得者で年末調整済みの人が、ふるさと納税の寄附金控除を受けるために還付申告を行なう場合、一般的に、還付申告は対象年の翌年1月1日から5年間な行うことができます。


たとえば、令和6年中に行ったふるさと納税について、令和7年に申告し忘れた場合でも、一定期間内であれば還付申告により寄附金控除を受けられる可能性があります。


ただし、すでに確定申告書を提出している場合は、単なる還付申告ではなく、更正の請求になることがあります。


更正の請求にも期限があります。

また、住民税側の反映や自治体の処理時期も関係するため、控除漏れに気づいたら早めに手続きを進めることをおすすめします。


控除漏れを防ぐための管理方法

ふるさと納税の控除漏れを防ぐには、寄附をした時点から資料を整理しておくことが大切です。

おすすめは、次のような管理です。

・寄附先自治体、寄附日、寄附金額を一覧にする
・寄附金受領証明書をPDFまたは紙で保存する
・ワンストップ特例を申請したか記録する
・ワンストップ特例の受付完了メールや控えを保存する
・寄附先が5自治体以内か確認する
・確定申告をする年は、ワンストップ特例分も含めて申告する
・翌年5月から6月に住民税決定通知書を確認する

ふるさと納税サイトを複数使っている場合、寄附情報が分散しがちです。

年末にまとめて確認すると、ワンストップ特例の申請期限に間に合わないこともあります。

寄附のたびに管理表へ記録しておくと、控除漏れを防ぎやすくなります。


よくある誤解

  • ふるさと納税をしたら自動的に税金が安くなる

自動ではありません。


  • 確定申告またはワンストップ特例の申請が必要です。

ワンストップ特例を選べば何もしなくてよい


  • 寄附先自治体への申請が必要です。

申請書の提出やオンライン申請を忘れると、控除が反映されません。


  • ワンストップ特例を出していれば、確定申告ではふるさと納税を入れなくてよい

確定申告を行うと、ワンストップ特例は無効になります。

確定申告をする場合は、ワンストップ特例を申請した寄附分も含めて申告する必要があります。


  • 住民税決定通知書を見なくても問題ない

控除漏れや自治体側の処理ミスに気づけない可能性があります。

ふるさと納税をした翌年は、必ず住民税決定通知書を確認しましょう。


  • 控除漏れに気づいても、もう取り戻せない

ワンストップ特例の申請忘れや、確定申告をしていない場合は、還付申告で事後的に寄附金控除を受けられることがあります。

すでに確定申告をしている場合は、更正の請求を検討します。


  • 経理担当者には関係ない

従業員が後から申告し、住民税が変更されると、勤務先に特別徴収税額の変更通知書が届きます。経理・給与担当者は、毎月の住民税控除額を変更する必要があります。


まとめ

ふるさと納税をした場合、適切に手続きを行なえば、一定の限度額の範囲内で、寄附金額から2,000円を差し引いた金額について、所得税と個人住民税から控除を受けることができます。ただし、控除を受けるには、原則として確定申告が必要です。


給与所得者など一定の人は、寄附先自治体が5団体以内で、それぞれにワンストップ特例の申請を行なうことで、確定申告をせずに控除を受けられます。


ワンストップ特例を使った場合、所得税からの還付はなく、所得税分も含めて翌年6月以降の住民税から控除されます。


ふるさと納税の控除漏れは、ワンストップ特例の申請忘れ、寄附先が6団体以上になったこと、確定申告で寄附金控除を入れ忘れたこと、自治体側の処理誤りなどで起こります。

控除漏れに気づいた場合、まだ確定申告をしていない人は、還付申告を行うことで、事後的に寄附金控除を受けられる可能性があります。


すでに確定申告をしている人が寄附金控除を入れ忘れた場合は、更正の請求を検討します。

住民税への反映には、市区町村側の変更手続きが必要なため、2〜3か月程度かかることがあります。


給与所得者の場合、勤務先へ特別徴収税額の変更通知書が届き、経理担当者が毎月の住民税控除額を変更する必要があります。


ふるさと納税をした翌年は、住民税決定通知書の摘要欄や税額控除欄を確認し、寄附金控除が反映されているかを必ずチェックしましょう。


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