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みなし取得日は月次決算日でもよい?子会社取得時の連結会計で注意したい「適切に決算が行われた日」

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 1 日前
  • 読了時間: 5分

おはようございます!代表の安田です。


子会社を取得した場合、連結財務諸表の作成では、原則として支配獲得日において、取得した子会社の資産・負債を時価評価します。これは、親会社が子会社を支配することになった時点で、連結グループに取り込むべき資産・負債を適切に測定するためです。


もっとも、実務では、株式取得日や支配獲得日が子会社の決算日と一致するとは限りません。たとえば、子会社の株式を月の途中で取得した場合、その取得日のためだけに詳細な決算を行なうことは、企業にとって大きな実務負担となります。


そこで連結会計基準では、一定の場合に、実際の支配獲得日ではなく、その前後いずれかの決算日に取引が行われたものとみなす、いわゆる「みなし取得日」の処理が認められています。


みなし取得日とは

みなし取得日とは、子会社の支配獲得日、株式の取得日または売却日などが、子会社の決算日以外の日である場合に、実務上の便宜を考慮して、前後いずれかの決算日に取引が行われたものとして処理する方法です。


子会社取得時には、取得日における資産・負債の時価評価、のれんの算定、連結範囲への取り込みなど、複数の会計処理が必要になります。取得日が期中の細かい日付である場合、その日付に合わせて精緻な決算数値を作成することは容易ではありません。


そのため、重要性や実務負担を踏まえ、一定の合理的な範囲で、前後の決算日を取得日とみなすことが認められています。


なお、子会社の売却についても同様に、実際の売却日ではなく、前後いずれかの決算日に売却が行なわれたものとみなす「みなし売却日」の考え方があります。


期中連結財務諸表でも、みなし取得日の処理が認められる

みなし取得日の処理は、年度の連結財務諸表だけでなく、期中連結財務諸表でも認められています。期中会計基準では、期中会計期間の末日等をみなし取得日またはみなし売却日とすることができるとされています。ここでいう「期中会計期間の末日等」には、次のような日が含まれます。

  • 期首

  • 期中会計期間の末日

  • その他の適切に決算が行われた日


実務上、特に注目したいのは、最後の「その他の適切に決算が行われた日」です。


「その他の適切に決算が行われた日」は四半期決算日に限られない

「その他の適切に決算が行われた日」という表現を見ると、四半期決算日など、制度上の決算日に限られるようにも見えます。


しかし、期中会計基準の考え方では、期中会計基準に準じた決算が適切に行われていれば、その日をみなし取得日等とすることも否定されないとされています。


そのため、実務上は、四半期決算日だけでなく、月次決算日なども「その他の適切に決算が行われた日」に該当し得ます。


たとえば、子会社株式の取得日が月中であり、その直前または直後に月次決算が適切に行われている場合、その月次決算日をみなし取得日として取り扱える可能性があります。


月次決算日を使う場合の注意点

ただし、月次決算日であれば常にみなし取得日として使えるわけではありません。


重要なのは、その月次決算が、連結会計や期中会計基準に準じて適切に行われているかです。単なる管理会計上の速報値や、締め処理が不十分な数値では、みなし取得日として利用するには慎重な判断が必要です。


実務では、少なくとも次のような点を確認しておくべきです。

  • 月次決算で資産・負債が網羅的に把握されているか

  • 棚卸資産、固定資産、引当金、税金関係などの重要項目が適切に反映されているか

  • 連結パッケージとして利用できる精度があるか

  • 取得日との差異が連結財務諸表に重要な影響を与えないか

  • 監査人と事前に処理方針を協議しているか


特に、取得日前後で大きな取引、損益変動、資産・負債の増減がある場合には、月次決算日をみなし取得日とすることが適切かどうか、より慎重に検討する必要があります。


M&A実務でのポイント

子会社取得を伴うM&Aでは、取得日、クロージング日、支配獲得日、決算日が必ずしも一致しません。そのため、みなし取得日を使うかどうかは、会計処理だけでなく、M&Aスケジュール全体にも影響します。


実務上は、次のような対応が有効です。

  1. 取得予定日と子会社の決算スケジュールを早めに確認する

  2. みなし取得日を使う場合、どの日を採用するか事前に検討する

  3. 月次決算日を使う場合、その決算の精度を確認する

  4. 取得日前後の重要な取引・事象を把握する

  5. 監査人と早期に協議し、判断根拠を文書化する


みなし取得日は実務負担を軽減する便利な処理ですが、連結財務諸表の正確性を損なわない範囲で利用することが前提です。


まとめ

子会社を取得した場合、連結会計では支配獲得日に資産・負債を時価評価するのが原則です。ただし、実務上の負担を考慮し、一定の場合には前後の決算日に取引が行われたものとみなすみなし取得日の処理が認められています。


期中連結財務諸表においても、期首、期中会計期間末日、その他の適切に決算が行われた日をみなし取得日とすることができます。そして、「その他の適切に決算が行われた日」は四半期決算日に限られず、月次決算日も該当し得ます。


もっとも、月次決算日を用いる場合には、その決算が期中会計基準に準じて適切に行われているかを慎重に判断する必要があります。M&Aや子会社取得の実務では、会計処理の簡便化だけを目的とせず、決算の精度、重要性、監査対応を踏まえたうえで、みなし取得日の採用可否を検討することが重要です。


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