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米国IEEPA関税の還付はいつ・どの区分で計上する?会計処理と業績予想への影響を解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 4 時間前
  • 読了時間: 5分

おはようございます!代表の安田です。


米国で課されていた国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税について、連邦最高裁判所の違憲判決を受け、関税還付の手続が進み始めています。当該関税は2026年2月20日の違憲判決を受けて同月24日に停止され、還付申請は4月20日から開始されています。


日本企業の中にも、米国向け取引や米国子会社・輸入取引を通じて影響を受ける企業があり、今後の決算では、関税還付金をいつ認識するか、そして損益計算書上どの区分に表示するかが実務上の論点になります。


本日は、公認会計士の視点から、米国関税還付の会計処理と表示区分、業績予想・決算説明資料での開示上の注意点を整理します。


1. 米国IEEPA関税の還付とは?

米国で課されていたIEEPAに基づく関税は、全世界を対象とする関税の上乗せ措置として扱われていたものです。今回、連邦最高裁判所の違憲判決により停止され、還付申請が開始されています。


還付申請は、在米の輸入者または通関業者が、米税関・国境警備局(CBP)のシステムを通じて行うとされています。通常は申請受理後、60日から90日以内に還付される予定とされ、CBPによれば5月12日から還付が始まるとのことです。


2. 企業の業績予想にも影響:還付金を織り込む会社・織り込まない会社

関税還付の影響について、すでに決算説明会資料で言及している企業があります。

たとえば、小松製作所は2026年度の業績見通しにIEEPA関税の還付金300億円を織り込んでいる旨を記載し、セイコーエプソンは還付時期が未定であるため業績予想には未反映としています。


この違いは、還付の見込み額や時期を合理的に見積れるかどうか、また会社ごとの重要性判断や開示方針によって変わります。


つまり、関税還付は単なる入金処理ではなく、業績予想・投資家説明・決算開示に影響する会計論点といえます。


3. いつ計上する?合理的に見積れる段階で認識するのが基本

3月決算企業の場合、多くは進行年度である2027年3月期に、関税還付額の受領見込みを合理的に見積れる段階で計上することが考えられるとされています。


実務上は、以下のような情報が揃うかがポイントになります。

  • 還付対象となる輸入取引・関税額の特定

  • 還付申請の提出状況

  • CBPによる受理状況

  • 還付対象額の確度

  • 入金時期の見通し

  • 会社グループ内での最終的な帰属先


「還付される可能性がありそう」という段階ではなく、金額と受領可能性を合理的に見積れるかが会計処理上の判断ポイントになります。


4. どの表示区分で計上する?当初の関税計上区分に対応させる考え方

関税還付を計上する場合、次に問題になるのが表示区分です。


適切な表示区分に計上することが求められ、具体的には、当初に関税を計上していた区分を踏まえることが想定されます。


たとえば、商品に課された関税であれば、当初は売上原価や棚卸資産に含まれていたケースが多いと考えられます。その場合、還付金も以下のような処理が想定されます。

  • 売上原価のマイナス

  • 棚卸資産のマイナス

として計上する考え方です。


この点は、営業外収益や特別利益に安易に計上するのではなく、当初負担した関税がどの勘定科目に含まれていたかを確認することが重要です。


5. 実務で注意したい会計・開示上のポイント

(1)関税を当初どこに計上していたか確認する

まず、対象関税が過去にどの区分に含まれていたかを確認する必要があります。

  • 仕入原価

  • 売上原価

  • 棚卸資産

  • 販管費

  • その他の区分

当初処理と還付処理が整合していないと、利益区分が歪む可能性があります。


(2)棚卸資産に含まれている場合は在庫残高との関係に注意

関税が棚卸資産に含まれていた場合、還付対象商品の一部がまだ在庫として残っている可能性があります。その場合、還付金をすべて当期損益に入れるのではなく、棚卸資産の取得原価調整として考えるべき場面もあり得ます。


(3)業績予想に織り込む場合は前提を明確にする

還付額が大きい場合、投資家は「一過性の利益なのか」「営業利益に含まれるのか」「キャッシュインの時期はいつか」を気にします。業績予想に反映する場合は、還付見込み額、反映区分、時期などを説明できるようにしておくことが望まれます。


(4)海外子会社・米国子会社との連結処理を確認する

在米輸入者や通関業者を通じて還付申請が行われるため、実際の入金先が日本親会社ではなく米国子会社等になるケースも考えられます。連結決算上、どの会社で認識するのか、内部取引や移転価格との関係がないかも確認が必要です。


6. 企業が今から準備すべきチェックリスト

  • 還付対象となる関税額を取引単位で把握しているか

  • 還付申請の状況、受理状況、入金予定を確認しているか

  • 還付額を合理的に見積れる段階かどうか判断しているか

  • 当初の関税計上区分(売上原価・棚卸資産等)を確認しているか

  • 還付金の表示区分について、監査人と事前に協議しているか

  • 業績予想に織り込む場合、その前提を説明できるか

  • 米国子会社・通関業者・本社経理間の情報連携体制を整えているか


まとめ:関税還付は「入金時」だけでなく、見積り可能性と表示区分が重要

米国IEEPA関税の還付手続が進む中、影響を受ける企業では、2027年3月期以降の決算で還付金の会計処理が論点になります。


3月決算企業では、関税還付額の受領見込みを合理的に見積れる段階で計上することが考えられますが、その際には、当初の関税計上区分に対応させて、売上原価や棚卸資産のマイナスとして処理することなどが想定されます。


還付額が大きい企業では、業績予想や決算説明資料への反映も含め、投資家への説明が重要になります。単に「還付金が入る」という話ではなく、いつ認識するか、どこに表示するか、どの程度業績に影響するかを整理し、監査人とも早めに協議しておくことが実務上のポイントです。


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