改正法人税等会計基準は2028年4月から適用へ|住民税均等割の表示・未払法人税等の取扱い・経過措置を解説
- 安田 亮
- 13 時間前
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こんにちは!代表の安田です。
企業会計基準委員会(ASBJ)は、「法人税等に関する会計基準(案)」に寄せられたコメントへの対応を進めており、改正後の法人税等会計基準について、2028年4月1日以後開始する事業年度(連結会計年度)の期首から適用する方向となりました。早期適用も認められる見込みで、3月決算会社では、早ければ2027年4月1日以後開始事業年度から適用可能となる方向です。
今回の改正案で特に実務影響が大きいのは、住民税均等割の表示や、未払法人税等に含める税額の考え方です。また、適用初年度における経過措置も整理されており、決算・開示担当者は早めに影響を確認しておく必要があります。
本日は、公認会計士の視点から、改正法人税等会計基準のポイントと企業実務への影響を整理します。
1. 改正法人税等会計基準の適用時期
ASBJの審議では、改正後の法人税等会計基準の適用時期について、次の方向性が示されています。
原則適用:2028年4月1日以後開始する事業年度・連結会計年度の期首から
早期適用:公表日以後開始する事業年度・連結会計年度の期首から可能
最終化時期:2026年7月までを目指す見込み
3月決算会社の場合、原則適用は2029年3月期からとなる一方、早期適用を選択すれば、2028年3月期から適用できる見込みです。
2. 住民税均等割の表示はどう変わる?
現行の法人税等会計基準では、住民税均等割は、損益計算書上、税引前当期純利益(または損失)の次に「法人税、住民税及び事業税」等の科目で表示するものとされています。
これに対し、公開草案では、住民税均等割は「課税対象利益を基礎とする税金」に該当しないため、法人税等には含めず、売上原価・販売費及び一般管理費・営業外費用のうち適切な区分に表示する案が示されていました。
しかし、コメント対応の中で、「営業外費用として表示することは通常想定されない」などの指摘があり、具体的な表示区分を列挙する形は修正されました。
最終的な方向性としては、住民税均等割は「法人税等」以外の、その内容に応じた適切な表示区分に表示することとされています。
実務上は、会社の実態に応じて、どの費用区分に表示するのが最も適切かを判断し、その根拠を整理しておく必要があります。
3. 「未払法人税等」の表示も見直しへ
今回の議論では、貸借対照表上の表示も見直し対象となっています。
従来は、住民税均等割、事業税付加価値割、事業税資本割のうち未納付の税額について、従前どおり「未払法人税等」に含めて表示する方向が示されていました。
しかし、損益計算書上の取扱いとの整合を踏まえ、今後は課税対象利益を基礎とする税金かどうかで表示区分を分ける方向となっています。
具体的には、住民税均等割、事業税付加価値割、事業税資本割の未納付額は、原則として「未払法人税等」以外の、その内容に応じた適切な科目に表示します。ただし、未納付額の重要性が乏しい場合は、「未払法人税等」に含めることも認められる方向です。
ここは、決算書の表示科目、勘定科目マスタ、開示チェックリストにも影響するため、実務上の確認ポイントになります。
4. 経過措置は住民税均等割に限定せず拡大へ
改正後の法人税等会計基準を適用した結果、これまでの会計処理と異なることになる場合は、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱われます。原則として、新たな会計方針を過去の期間すべてに遡及適用することになります。
ただし、今回の審議では、経過措置の対象を住民税均等割の表示方法に限定せず、より広く設ける方向で意見がまとまっています。
具体的には、適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減し、その期首から新たな会計方針を適用できる方向です。
また、適用初年度の比較情報の組替えも不要とされています。
これは、実務負担を軽減するうえで重要なポイントです。過年度の比較情報をすべて組み替える必要がないため、適用初年度の開示作業は一定程度軽減されると考えられます。
5. 企業実務への影響
今回の改正は、税金費用や未払税金の表示区分に関わるため、一見すると表示だけの変更に見えるかもしれません。しかし、実務では次のような対応が必要になります。
(1)勘定科目・表示科目の見直し
住民税均等割や事業税付加価値割・資本割を、損益計算書や貸借対照表でどの科目に表示するかを整理する必要があります。重要性が乏しい場合の取扱いも含め、社内ルール化しておくことが望まれます。
(2)システム・決算テンプレートの更新
会計システムや連結パッケージで「未払法人税等」に自動集計されている税額がある場合、改正後の表示方針に合わせた設定変更が必要になる可能性があります。
(3)早期適用の要否判断
早期適用が可能となる見込みであるため、会社としていつ適用するかを検討する必要があります。早期適用する場合、決算体制やシステム対応、比較情報への影響、監査人との協議を早めに進める必要があります。
(4)監査対応・開示対応
表示変更は、投資家から見ると利益区分や費用区分の見え方に影響します。どの科目に表示したのか、なぜその表示が適切なのかを説明できるよう、判断メモを残しておくことが重要です。
6. 実務チェックリスト
改正法人税等会計基準への対応に向けて、企業は以下を確認しておくとよいでしょう。
住民税均等割を現在どの科目に表示しているか
事業税付加価値割・資本割の未納付額を「未払法人税等」に含めているか
改正後に表示区分を変更する必要がある税額の重要性
会計システム・連結パッケージ・開示テンプレートの修正要否
早期適用するか、原則適用まで待つか
経過措置を適用する場合の利益剰余金への影響
比較情報の組替え不要の取扱いを開示上どう説明するか
監査人との事前協議が済んでいるか
まとめ:改正法人税等会計基準は表示実務への影響が大きい
ASBJは、改正後の法人税等会計基準について、2028年4月1日以後開始事業年度から適用する方向で審議を進めています。早期適用も認められる見込みで、3月決算会社では2027年4月1日以後開始事業年度から適用できる可能性があります。
今回のポイントは、住民税均等割を「法人税等」以外の適切な区分に表示する方向となったこと、また未納付の住民税均等割・事業税付加価値割・資本割についても、原則として「未払法人税等」以外の適切な科目に表示する方向となったことです。重要性が乏しい場合には「未払法人税等」に含めることも認められる見込みですが、企業ごとの判断と説明が必要になります。
適用時期まではまだ時間がありますが、会計システム・表示科目・開示テンプレート・監査対応に影響するため、早めに論点整理を始めることをおすすめします。




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