住宅リフォーム減税は所得2,000万円超でも使える?耐震改修工事の特例を税理士が解説
- 安田 亮
- 20 時間前
- 読了時間: 9分
おはようございます!代表の安田です。
自宅のリフォームを行なう際、税制優遇としてぜひ確認しておきたい制度の一つが住宅リフォーム減税です。
住宅リフォーム減税は、一定の改修工事を行なった場合に、居住を開始した年分の所得税額から、工事費用の一定額を控除できる制度です。
対象となる工事には、耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修、多世帯同居改修、耐久性向上改修、子育て対応改修などがあります。
ただし、住宅リフォーム減税には、工事の種類ごとに所得要件や床面積要件が設けられているため、「所得が高いと使えないのでは?」「床面積が小さい住宅では対象外なのでは?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
ここで注意したいのが、住宅耐震改修工事のみを行なう場合の取扱いです。
住宅リフォーム減税のうち、住宅耐震改修工事については、他の改修工事と異なり、所得要件と床面積要件が設けられていません。そのため、一定の要件を満たす耐震改修工事であれば、合計所得金額が2,000万円を超える方でも適用できる可能性があります。
今回は、住宅リフォーム減税と耐震改修工事の関係について、令和8年度税制改正後の取扱いも踏まえて整理します。
住宅リフォーム減税とは?
住宅リフォーム減税とは、既存住宅について一定の改修工事を行なった場合に、居住を開始した年分の所得税額から、工事費用の一定額を控除できる制度です。
制度の基本的な仕組みとしては、対象となる改修工事について、一定の工事費用を基準に税額控除を受けられます。対象工事には、主に次のようなものがあります。
住宅耐震改修工事
バリアフリー改修工事
省エネ改修工事
多世帯同居改修工事
耐久性向上改修工事
子育て対応改修工事
工事の種類によって、対象工事限度額や適用要件が異なります。また、太陽光発電設備の設置などを併せて行なう場合には、対象工事限度額が大きくなるケースもあります。
令和8年度改正で床面積要件が一部緩和
令和8年度税制改正では、住宅リフォーム減税について床面積要件の見直しが行なわれました。
改正後は、その年の合計所得金額が1,000万円以下であれば、改修工事をした家屋の床面積が40㎡以上で適用できることになりました。一方、合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下の場合には、床面積50㎡以上が必要です。そして、合計所得金額が2,000万円を超える場合には、原則として住宅リフォーム減税を適用できません。
このように、住宅リフォーム減税は、所得金額と床面積の組み合わせにより適用可否が変わる制度になっています。
所得2,000万円超なら原則適用不可
住宅リフォーム減税では、原則として、合計所得金額が2,000万円を超える方は制度を適用できません。
そのため、高所得者の方がバリアフリー改修や省エネ改修、子育て対応改修などを行なった場合には、所得要件により適用対象外となる可能性があります。
また、合計所得金額が1,000万円を超える場合には、床面積要件も50㎡以上となるため、都市部のコンパクトマンションなどでは、床面積要件にも注意が必要です。
ただし、ここで例外的な位置付けとなるのが、住宅耐震改修工事です。
住宅耐震改修工事のみなら所得要件なし
住宅リフォーム減税の対象工事のうち、住宅耐震改修工事のみを行ない、この制度を適用する場合には、所得要件が設けられていません。
つまり、合計所得金額が2,000万円を超える方であっても、住宅耐震改修工事のみを行なう場合には、他の要件を満たせば住宅リフォーム減税を適用できる可能性があります。
これは、耐震基準を満たしていない住宅の耐震改修を促進するという制度趣旨によるものです。古い住宅の耐震化は、所有者本人の安全だけでなく、地域全体の防災にも関係する重要なテーマです。そのため、住宅耐震改修工事については、他のリフォーム減税とは異なる取扱いが設けられています。
住宅耐震改修工事のみなら床面積要件もなし
住宅耐震改修工事のみを行う場合には、所得要件だけでなく、床面積要件も設けられていません。通常の住宅リフォーム減税では、合計所得金額に応じて40㎡以上または50㎡以上といった床面積要件が問題になります。
しかし、住宅耐震改修工事のみを行なう場合には、こうした床面積要件はありません。
そのため、床面積が40㎡未満または50㎡未満の住宅であっても、耐震改修工事としての要件を満たせば、住宅リフォーム減税の適用を検討できる可能性があります。
都市部の古いマンションや小規模住宅では、この点が重要になります。
住宅耐震改修工事の対象となる住宅
住宅耐震改修工事に係る税額控除を受けるには、対象となる住宅にも一定の要件があります。
代表的な要件として、昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建築された自己の居住用家屋であることなどが求められます。昭和56年6月1日以後に建築確認を受けた住宅は、いわゆる新耐震基準に基づく住宅です。一方、昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建築された住宅については、現行の耐震基準を満たしていない可能性があります。
住宅耐震改修工事の特例は、このような旧耐震基準の住宅について、耐震改修を促進するために設けられた制度です。
必要書類にも注意
住宅耐震改修工事に係る控除を受けるには、確定申告が必要です。
確定申告書には、主に次のような書類を添付することになります。
住宅耐震改修特別控除額の計算明細書
登記事項証明書
耐震改修に関する証明書類
工事費用が分かる書類
その他、適用要件を確認するための資料
耐震改修工事は、工事内容が制度の対象になるかどうかの確認が非常に重要です。
そのため、工事を依頼する段階で、施工会社や建築士に対して、税制適用に必要な証明書類を発行できるか確認しておくことをおすすめします。
工事後に「証明書が出せない」となると、税額控除の適用が難しくなることがあります。
他の工事と併せて行なう場合は所得要件に注意
ここまで、住宅耐震改修工事のみを行なう場合には、所得要件・床面積要件がないと説明しました。
しかし、耐震改修工事とあわせて、対象工事限度額を超える部分やその他の工事について、一定の範囲で5%の税額控除を受ける場合には注意が必要です。
この5%控除部分については、合計所得金額2,000万円以下という所得要件があります。
つまり、住宅耐震改修工事そのものについては所得要件がない一方で、その他工事や限度額超過分について別枠の控除を受けようとする場合には、所得要件が問題になることがあります。この点を混同しないようにしましょう。
「耐震改修だけ」と「他のリフォームも併用」は分けて考える
実務上は、耐震改修工事と同時に、内装工事、水回り工事、省エネ改修、バリアフリー改修などを行なうケースがあります。
この場合、すべてをまとめて「リフォーム減税」と考えるのではなく、工事内容ごとに制度適用を整理する必要があります。
たとえば、耐震改修工事のみについて税額控除を受ける場合は、所得要件・床面積要件は問題になりません。
一方、省エネ改修やバリアフリー改修、子育て対応改修などについても税額控除を受ける場合には、それぞれの所得要件や床面積要件を確認する必要があります。
また、対象工事限度額を超える部分やその他工事について5%控除を受ける場合には、合計所得金額2,000万円以下であることが必要です。
高所得者でも耐震改修は適用余地あり
住宅リフォーム減税について、合計所得金額2,000万円超の方は対象外と考えている方も多いかもしれません。
確かに、多くの改修工事については、所得要件により適用できないケースがあります。
しかし、住宅耐震改修工事のみを行う場合には、所得要件が設けられていません。そのため、高所得者であっても、旧耐震基準の自己居住用住宅について耐震改修工事を行なう場合には、税額控除の適用を検討する価値があります。
特に、古い戸建住宅を所有している方や、相続した住宅に居住している方、耐震診断を受けて改修を検討している方は、制度の適用可否を確認しておきましょう。
床面積が小さい住宅でも確認を
令和8年度改正により、一定の場合には床面積40㎡以上でも住宅リフォーム減税を適用できるようになりました。
ただし、住宅耐震改修工事のみであれば、そもそも床面積要件はありません。
そのため、40㎡未満の住宅や、50㎡未満の住宅であっても、耐震改修工事については適用可能性があります。
もちろん、建築時期や居住要件、工事内容、証明書類など、他の要件を満たす必要はあります。しかし、床面積だけを理由に諦める必要はないという点は押さえておきたいところです。
事前に確認しておきたいチェックポイント
住宅耐震改修工事で住宅リフォーム減税の適用を検討する場合、次の点を確認しましょう。
自己の居住用家屋か
昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建築された住宅か
耐震改修工事の内容が制度の対象になるか
工事費用の明細があるか
住宅耐震改修に関する証明書を取得できるか
登記事項証明書を用意できるか
確定申告書に必要書類を添付できるか
他のリフォーム工事も併せて行うか
5%控除の対象となるその他工事があるか
合計所得金額2,000万円以下の要件が関係する部分があるか
耐震改修工事のみなら所得要件・床面積要件はありませんが、工事内容や証明書類の確認は欠かせません。
まとめ
住宅リフォーム減税は、既存住宅について一定の改修工事を行った場合に、居住を開始した年分の所得税額から工事費用の10%相当額を控除できる制度です。
対象工事には、住宅耐震改修工事、バリアフリー改修工事、省エネ改修工事などがあります。
令和8年度改正により、合計所得金額が1,000万円以下の場合には床面積40㎡以上、合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下の場合には床面積50㎡以上で適用できることになりました。一方、合計所得金額が2,000万円を超える場合には、原則として住宅リフォーム減税を適用できません。
ただし、住宅耐震改修工事のみを行う場合には、所得要件と床面積要件は設けられていません。そのため、合計所得金額が2,000万円を超える方や、床面積が小さい住宅であっても、住宅耐震改修工事については税額控除を受けられる可能性があります。
住宅耐震改修工事に係る制度は、昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建築された自己の居住用家屋などを対象に、耐震改修を促進するために設けられています。適用を受けるには、住宅耐震改修特別控除額の計算明細書、登記事項証明書、耐震改修に関する証明書類などを確定申告書と併せて提出する必要があります。
なお、対象工事限度額を超える部分やその他工事について5%の税額控除を受ける場合には、合計所得金額2,000万円以下の所得要件がある点に注意が必要です。
住宅リフォーム減税は、工事の種類によって要件が大きく異なります。耐震改修を検討している方は、所得金額や床面積だけで判断せず、工事内容と必要書類を早めに確認しておきましょう。




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