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災害備蓄品はいつ経費にできる? 非常食・ヘルメット・毛布の損金算入時期を税理士が解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 16 時間前
  • 読了時間: 8分

こんにちは!代表の安田です。


近年、地震、台風、豪雨などの自然災害が全国各地で発生しています。そのため、企業でも従業員の安全確保や帰宅困難者対策のため、非常用食料品、飲料水、ヘルメット、毛布、簡易トイレ、懐中電灯などを備蓄するケースが増えています。


実務では、次のような相談を受けることがあります。

  • 災害用の非常食は、買った時に経費にしてよいのか

  • まだ使っていない備蓄品は棚卸資産として資産計上すべきか

  • ヘルメットや毛布は減価償却資産になるのか

  • 防災用品をまとめて購入した場合、いつ損金算入できるのか


災害備蓄品は、通常の消耗品や在庫商品とは少し考え方が異なります。特に、長期保存用の非常食については、実際に食べた時ではなく、備蓄した時点で損金算入できる点が重要です。


今回は、会社が災害対策として購入した非常用食料品、ヘルメット、毛布などの税務処理について、税理士の視点からわかりやすく解説します。


1.災害備蓄品を購入する会社が増えている

東日本大震災以降、企業の防災意識は大きく高まりました。

東京都で帰宅困難者対策条例が施行されたことをきっかけに、従業員用の飲料水、食糧、その他必要な物資等を備蓄する努力義務を課している自治体が多いと紹介されています。


企業にとって、災害備蓄は単なる福利厚生ではなく、従業員の安全確保、事業継続、地域社会への責任という観点からも重要な取組みです。


一方で、会計・税務処理では、備蓄品を購入した時点で費用にしてよいのか、それとも実際に使うまで資産計上するのかが問題になります。


2.通常の消耗品は「使用した時」に損金算入が原則

まず、一般的な消耗品の考え方を確認しましょう。

消耗品は、原則として、実際に使用した事業年度にその使用分を損金算入します。まだ使用していないものについては、棚卸資産として資産計上するのが基本です。


たとえば、事務用品や包装資材などを大量に購入し、期末時点で未使用分が残っている場合には、原則として未使用分を貯蔵品などとして計上することがあります。


では、長期保存用の非常食や飲料水も、実際に食べたり配布したりするまでは資産計上が必要なのでしょうか。


ここで、災害備蓄品特有の取扱いが出てきます。


3.非常用食料品は購入時に損金算入できる

会社が災害に備えて購入した非常用食料品については、備蓄した時点、つまり購入した時点で損金算入が認められます。


企業が備蓄することを目的に購入した非常用食料品は、備蓄をした時、すなわち購入した時において、消耗品費として一時の損金とすることが認められるとされています。


これは、非常食が通常の販売用商品や日常使用する消耗品とは異なり、災害に備えて保管すること自体が目的だからです。


4.備蓄した時点で事業供用したと考える

なぜ、まだ食べていない非常食を購入時に経費にできるのでしょうか。


フリーズドライ食品や缶詰などの長期備蓄用の非常用食料品について、災害に備えて購入するものであり、備蓄することをもって事業供用したと認められます。


つまり、非常食は、従業員が実際に食べた時ではなく、災害時に使用できる状態で備蓄された時点で、企業の防災対策として事業の用に供されたと考えるわけです。


そのため、購入時の全額を損金に算入できます。


5.対象となる非常用食料品の例

非常用食料品としては、たとえば次のようなものが考えられます。

  • 長期保存水

  • 缶詰

  • フリーズドライ食品

  • アルファ米

  • 乾パン

  • 保存用ビスケット

  • レトルト食品

  • 非常用栄養食品


これらを従業員や来客の災害対策として備蓄する場合、備蓄目的で購入したものとして、購入時に消耗品費処理を検討できます。


ただし、会社の規模や人数に比べて過大な数量を購入している場合には、合理的な備蓄数量かどうかを説明できるようにしておくことが大切です。


6.ヘルメットや毛布は減価償却資産になるのが基本

一方、ヘルメットや毛布などは、食料品とは少し考え方が異なります。

ヘルメットや毛布等については、基本的には減価償却資産に該当します。


つまり、理屈の上では、購入時に全額を費用にするのではなく、使用期間に応じて減価償却することになります。


しかし、実務上は、1個または1組あたりの金額が少額であることが多いため、少額減価償却資産として購入時に全額損金算入できるケースが多いです。


7.ヘルメットや毛布は少額減価償却資産として処理できる場合が多い

毛布等の購入費用は一般的に1つ・1組の金額が10万円未満であるため、少額減価償却資産に該当し、備蓄のために購入した事業年度において全額を損金にできると整理されています。


たとえば、従業員用に1個3,000円のヘルメットを50個購入した場合、合計額は15万円になります。しかし、判定は原則として1個ごとの金額で行なうため、1個あたり10万円未満であれば、少額減価償却資産として全額損金算入できる可能性があります。


毛布、防災ラジオ、懐中電灯、簡易トイレなども、1単位あたりの金額が少額であれば、同様の検討ができます。


8.災害備蓄目的であることが重要

非常食や防災用品を購入時に損金算入できるのは、あくまで災害に備える目的で購入した場合です。

万が一に備える以外の目的で購入したもの、たとえば後に転売する目的で購入したものについては、棚卸資産に計上され、購入時の損金算入はできないとされています。


つまり、同じ非常食やヘルメットであっても、会社の災害対策用として備蓄するものと、販売目的で仕入れたものでは税務処理が異なります。


9.転売目的なら棚卸資産になる

たとえば、防災用品販売業者が非常食やヘルメットを仕入れた場合、それは販売目的の商品です。この場合、災害備蓄品として購入時に損金算入するのではなく、棚卸資産として処理します。


また、防災イベントで販売するために仕入れた保存食や防災グッズも、販売目的であれば棚卸資産です。


購入したものの目的が、自社の災害備蓄なのか販売・転売なのかを明確に区分することが重要です。


10.実務で保存しておきたい資料

災害備蓄品を購入時に損金算入する場合、後から説明できる資料を保存しておくと安心です。たとえば、次のような資料です。

  • 購入時の請求書・領収書

  • 購入した備蓄品の明細

  • 保管場所の記録

  • 防災備蓄品リスト

  • 従業員数に基づく備蓄数量の根拠

  • 社内の防災規程・BCP

  • 自治体の帰宅困難者対策に関する資料

  • 備蓄品の入替・更新記録


特に、非常食や飲料水には賞味期限があります。期限切れによる入替えを行う場合にも、購入時期、廃棄時期、配布状況などを管理しておくとよいでしょう。


11.備蓄品の入替え時の処理

非常用食料品は、長期保存用であっても期限があります。

期限が近づいたため、新しい非常食に入れ替える場合、入替えのために購入した非常食も、災害備蓄目的であれば購入時に損金算入できると考えられます。


古い備蓄品を従業員に配布する、訓練で使用する、廃棄するなどの場合は、その取扱いを社内で整理しておくとよいでしょう。


実務上は、備蓄品リストを作成し、購入日、数量、保管場所、賞味期限、入替予定日を管理することをおすすめします。


12.実務でよくある誤解

① 非常食は実際に食べるまで経費にできない

これは誤りです。長期備蓄用の非常用食料品は、災害に備えて備蓄することをもって事業供用したと認められるため、購入時に全額損金算入できます。


② 期末に未使用なら棚卸資産にしなければならない

通常の消耗品では未使用分を棚卸資産とすることがありますが、災害備蓄目的の非常用食料品については、購入時に損金算入する取扱いが認められています。


③ ヘルメットや毛布は必ず減価償却しなければならない

ヘルメットや毛布等は基本的には減価償却資産に該当しますが、1個・1組あたり10万円未満であれば、少額減価償却資産として購入時に全額損金算入できる場合があります。


④ 防災用品なら販売目的でも購入時に損金算入できる

これは誤りです。転売目的など、万が一に備える以外の目的で購入したものは棚卸資産に計上され、購入時の損金算入はできません。


13.会社が確認しておきたい実務ポイント

災害備蓄品を購入する場合は、次の点を確認しましょう。

  • 購入目的が自社の災害備蓄であるか

  • 非常用食料品は購入時に消耗品費処理しているか

  • ヘルメットや毛布等は1個・1組あたり10万円未満か

  • 少額減価償却資産として処理できるか

  • 転売目的の商品と混在していないか

  • 備蓄品リストを作成しているか

  • 保管場所や数量を管理しているか

  • 賞味期限・使用期限を管理しているか

  • BCPや防災規程との整合性を確認しているか


まとめ

会社が災害に備えて購入した非常用食料品は、備蓄した時、つまり購入した時点で、消耗品費として一時の損金に算入することが認められます。これは、長期備蓄用の非常食については、災害に備えて備蓄すること自体が事業供用と認められるためです。


また、ヘルメットや毛布等は基本的には減価償却資産に該当しますが、一般的には1個または1組あたり10万円未満であることが多いため、少額減価償却資産として、備蓄のために購入した事業年度に全額を損金算入できる場合があります。


一方で、転売目的など、万が一の災害に備える目的以外で購入したものは、棚卸資産として処理する必要があり、購入時の損金算入はできません。


災害備蓄品の税務処理では、購入目的、備蓄の実態、1個・1組あたりの金額、販売目的との区分が重要です。従業員の安全確保と事業継続のためにも、備蓄品リストや保管場所、賞味期限を管理しつつ、税務上も適切に処理しておきましょう。


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