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少額資産は固定資産税の申告が必要?少額減価償却資産・一括償却資産・40万円未満特例の違いを税理士が解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 2 時間前
  • 読了時間: 13分

こんにちは!代表の安田です。


パソコン、工具、事務机、プリンター、備品など、比較的少額の資産を購入したとき、法人税では一定の制度により、通常の減価償却よりも早く損金算入できることがあります。

代表的な制度は、次の3つです。

・10万円未満の少額減価償却資産の損金算入制度
・20万円未満の一括償却資産の損金算入制度
・中小企業者等の40万円未満の少額減価償却資産特例

これらは法人税や所得税の計算ではよく使われる制度です。

しかし、実務で意外と見落とされやすいのが、固定資産税、特に償却資産税の申告対象になるかどうかです。


法人税では全額損金算入できた資産でも、固定資産税では申告対象になる場合があります。

特に注意したいのは、中小企業者等の40万円未満の少額減価償却資産特例です。


この特例を使って法人税上は全額損金算入した資産であっても、固定資産税では原則として償却資産の申告対象になります。


一方、10万円未満の少額減価償却資産として損金算入した資産や、20万円未満の一括償却資産として処理した資産は、固定資産税の課税対象外となる少額資産に含まれます。


さらに、令和4年度税制改正では、少額減価償却資産の損金算入制度と一括償却資産制度について、一定の貸付資産が対象範囲から除外されました。


この改正により、法人税上の処理だけでなく、固定資産税の申告にも影響が出る可能性があります。


本日は、少額資産の法人税処理と固定資産税の関係、令和4年度改正で除外された貸付資産、固定資産税の賦課期日、30万円未満特例を使った資産が償却資産税の対象になる理由を解説します。


固定資産税とは

固定資産税とは、土地、家屋、償却資産を所有している人に課される市町村税です。


土地や建物については、一般的に市町村が固定資産課税台帳をもとに課税します。

一方、事業用の機械、工具、器具備品、構築物などの償却資産については、事業者が毎年1月1日時点で所有している資産を市町村へ申告します。


この償却資産に対して課される固定資産税を、実務上「償却資産税」と呼ぶことがあります。償却資産税の対象となる主な資産は、次のようなものです。

・機械装置
・工具、器具備品
・構築物
・看板、内装設備
・事務机、椅子
・パソコン、サーバー
・業務用エアコン
・測定機器、検査機器

ただし、すべての少額資産が固定資産税の申告対象になるわけではありません。

法人税や所得税でどの制度を使って処理したかによって、固定資産税の課税対象外となるものがあります。


固定資産税の賦課期日は毎年1月1日

固定資産税で重要なのが、賦課期日です。


固定資産税は、毎年1月1日時点で固定資産課税台帳に所有者として登録されている人、または償却資産を所有している事業者に課されます。


つまり、令和9年度分の固定資産税であれば、令和9年1月1日時点の所有状況を基準に判断します。この点は、法人税の事業年度とは考え方が異なります。


法人税では3月決算、6月決算、12月決算など会社ごとに事業年度が異なりますが、固定資産税では原則として毎年1月1日時点で判断します。


たとえば、12月31日に資産を取得した場合、その翌日の1月1日に所有していれば、その年度の償却資産申告に含める必要が生じる可能性があります。


一方、1月2日に取得した資産は、その年の1月1日時点では所有していないため、翌年度の申告から対象になります。少額資産についても、固定資産税ではこの1月1日時点の所有状況を前提に確認する必要があります。


償却資産税の対象外となる少額資産

減価償却資産は、原則として固定資産税の償却資産の対象になります。

しかし、例外的に固定資産税の課税対象外とされる少額資産があります。

代表的なものは、次の2つです。

・10万円未満の少額減価償却資産として損金算入した資産
・20万円未満の一括償却資産として処理した資産

これらの制度を使って処理した資産は、固定資産税の課税対象外となる少額資産に含まれます。


たとえば、8万円のプリンターを購入し、10万円未満の少額減価償却資産として全額損金算入した場合、その資産は原則として償却資産税の申告対象外となります。


また、18万円のパソコンを購入し、一括償却資産として3年間で均等に損金算入する処理を選択した場合も、固定資産税の課税対象外となる少額資産に含まれます。


ここで大切なのは、同じ少額資産でも、法人税上どの制度を使ったかによって固定資産税の扱いが変わるという点です。


40万円未満特例を使った資産は固定資産税の対象

中小企業では、取得価額30万円未満の資産について、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例」を使うことがあります。


この特例は、青色申告法人である中小企業者等が一定の要件を満たす場合、取得価額40万円未満の減価償却資産について、年間300万円を限度に取得価額を全額損金算入できる制度です。


非常に便利な制度ですが、固定資産税では注意が必要です。

40万円未満特例を使って全額損金算入した資産は、償却資産税の課税対象外となる少額資産には該当しません。


つまり、法人税では全額損金算入していても、固定資産税では申告対象になります。

たとえば、35万円のパソコンを購入し、中小企業者等の40万円未満特例により全額損金算入した場合、そのパソコンは償却資産申告の対象になります。

「税務上は全額経費にしたから固定資産税も不要」と考えてしまうと、償却資産申告が漏れる可能性があります。


10万円未満・20万円未満・40万円未満の違い

少額資産の処理は、金額によって次のように整理できます。

取得価額10万円未満
→ 少額減価償却資産として全額損金算入できる可能性
→ 固定資産税は原則として申告対象外

取得価額10万円以上20万円未満
→ 一括償却資産として3年均等償却を選択できる可能性
→ 固定資産税は原則として申告対象外

取得価額20万円以上40万円未満
→ 中小企業者等であれば40万円未満特例を使える可能性
→ 固定資産税は原則として申告対象

もちろん、10万円以上20万円未満の資産について、あえて40万円未満特例を使うこともあります。しかし、その場合は固定資産税の申告対象になる点に注意が必要です。


たとえば、18万円のパソコンについて、一括償却資産として処理すれば償却資産税の申告対象外になります。


一方、40万円未満特例で全額損金算入した場合は、償却資産税の申告対象になります。

法人税の早期損金算入だけでなく、固定資産税の申告・課税関係も含めて、どの制度を使うかを判断しましょう。


令和4年度改正で一定の貸付資産が除外された

令和4年度税制改正により、少額資産関係の制度について見直しが行われました。

改正の対象となったのは、主に次の2つです。

・少額減価償却資産の取得価額の損金算入制度
・一括償却資産の損金算入制度

これらの制度について、令和4年4月1日以後に取得等する一定の貸付資産が対象範囲から除外されました。ここでいう一定の貸付資産とは、いわゆる節税目的の貸付資産です。


たとえば、自社の事業では使わない少額資産を大量に取得し、少額資産制度により損金算入したうえで、第三者へ貸し付けるようなスキームが問題視されました。


このような資産については、令和4年4月1日以後、10万円未満の少額減価償却資産の損金算入制度や20万円未満の一括償却資産制度の対象から除外されています。


主要な事業として行なわれる貸付けは除外されない

ただし、貸付けに使う資産がすべて対象外になるわけではありません。


令和4年度改正で除外されたのは、貸付けの用に供した資産のうち、主要な事業として行なわれる貸付け以外のものです。

つまり、主要な事業として行われる貸付けに使う資産は、引き続き制度の対象になり得ます。たとえば、次のような貸付けは、通常の事業活動の一環として行われる可能性があります。

・リース業者やレンタル業者が資産を貸し付ける場合
・不動産賃貸業者が賃貸物件に付随して家具や家電を貸し付ける場合
・親会社がグループ会社の事業管理の一環として備品を貸し付ける場合
・下請先に自社製品の加工に必要な工具を貸し付ける場合

これらは、単なる節税目的の貸付けとは性質が異なります。


実務では、貸付けの目的、相手先、貸付資産の使用状況、自社の事業との関連性を確認し、主要な事業として行われる貸付けに該当するかを判断する必要があります。


貸付資産は翌年度以降の償却資産申告に注意

令和4年4月1日以後に取得した一定の貸付資産については、法人税上、10万円未満の少額減価償却資産や20万円未満の一括償却資産として処理できない場合があります。


その場合、固定資産税の課税対象外となる少額資産にも該当しない可能性があります。

固定資産税は毎年1月1日時点で判断するため、令和4年4月1日以後に取得した資産については、翌年度以降の償却資産申告で確認が必要です。


たとえば、令和4年5月に節税目的の貸付資産を取得した場合、その資産は令和4年度分の固定資産税ではなく、令和5年度分以後の償却資産申告で問題になります。


貸付資産については、取得日、取得価額、使用目的、貸付先、主要な事業としての貸付けに該当するかを整理しておくことが大切です。


40万円未満特例の貸付資産除外と固定資産税

令和4年度改正では、中小企業者等の40万円未満の少額減価償却資産特例についても、一定の貸付資産が対象から除外されました。


ただし、この点については固定資産税との関係を分けて考える必要があります。

もともと40万円未満特例を使った資産は、固定資産税の課税対象外となる少額資産には該当しません。つまり、40万円未満特例により法人税上全額損金算入した資産であっても、従来から償却資産税の申告対象でした。


そのため、令和4年度改正で40万円未満特例から一定の貸付資産が除外されたとしても、「40万円未満特例を使った資産が固定資産税の課税対象外だった」という関係が変わったわけではありません。

40万円未満特例については、改正前から固定資産税の対象になる点を押さえておく必要があります。


少額資産の処理を選ぶときは固定資産税も考える

少額資産を取得した場合、経理担当者は法人税の損金算入だけを見て処理を決めがちです。

しかし、固定資産税の申告対象になるかどうかも、実務上は重要です。

たとえば、取得価額18万円のパソコンを購入した場合、次のような選択肢があります。

一括償却資産として3年均等償却
→ 法人税上は3年で損金算入
→ 固定資産税は申告対象外

40万円未満特例で全額損金算入
→ 法人税上は取得年度に全額損金算入
→ 固定資産税は申告対象

法人税だけを考えれば、40万円未満特例の方が早く損金算入できます。


しかし、固定資産税の申告対象になるため、償却資産申告の管理が必要になります。

資産の件数が多い会社では、この管理負担も無視できません。

少額資産の処理は、法人税の節税効果、固定資産税の課税関係、管理事務の負担を総合的に見て判断しましょう。


償却資産申告で漏れやすい資産

償却資産申告では、次のような資産が漏れやすいです。

・40万円未満特例で全額損金算入したパソコン
・少額備品として消耗品費処理したが、実際には40万円未満特例を使った資産
・店舗内装や看板
・業務用エアコン
・サーバー、ネットワーク機器
・医療機器、測定機器
・厨房機器
・工具、金型、治具
・貸付けに使っている少額資産

特に、会計上「消耗品費」で処理している資産は、固定資産台帳に載らないことがあります。その結果、償却資産申告から漏れることがあります。


40万円未満特例を使って全額損金算入する場合でも、償却資産申告のためには資産の明細を管理しておく必要があります。


実務上のチェックポイント

少額資産を取得した場合は、次の点を確認しましょう。


1. 取得価額を確認する

10万円未満、20万円未満、40万円未満のどの区分に該当するかを確認します。


2. 法人税上どの制度を使うか決める

少額減価償却資産、一括償却資産、40万円未満特例、通常償却のいずれで処理するかを決めます。


3. 固定資産税の申告対象か確認する

10万円未満の少額資産や一括償却資産は申告対象外となる一方、40万円未満特例を使った資産は申告対象になる点を確認します。


4. 貸付資産かどうかを確認する

令和4年4月1日以後に取得した資産については、貸付けの用に供しているか、主要な事業として行なわれる貸付けかを確認します。


5. 1月1日時点の所有状況を確認する

固定資産税は毎年1月1日時点で判断します。

年末年始に取得・売却・廃棄した資産は特に注意が必要です。


6. 償却資産申告用の明細を保存する

資産名、取得日、取得価額、設置場所、使用状況、処理方法を一覧化しておきます。


7. 会計処理と償却資産申告を連携させる

消耗品費で処理した資産の中に、償却資産税の申告対象が含まれていないか確認します。


税務調査・償却資産調査で確認されやすい資料

少額資産と固定資産税の関係では、次の資料を整理しておくと安心です。

・固定資産台帳
・少額資産明細
・一括償却資産明細
・40万円未満特例の対象資産一覧
・消耗品費の内訳明細
・請求書、納品書、領収書
・償却資産申告書
・種類別明細書
・貸付契約書
・貸付資産の使用状況資料

特に、40万円未満特例を使った資産は、会計上は全額損金処理されていても、償却資産税の申告対象になるため、台帳管理が必要です。


よくある誤解

  • 法人税で全額損金算入した資産は固定資産税もかからない

誤りです。30万円未満特例で全額損金算入した資産は、固定資産税の償却資産申告対象になります。


  • 40万円未満なら償却資産申告は不要

誤りです。40万円未満特例を使った資産は、原則として償却資産申告が必要です。


  • 一括償却資産は固定資産税の対象になる

通常、一括償却資産として処理した資産は、固定資産税の課税対象外となる少額資産に含まれます。


  • 貸付けに使う資産はすべて少額資産制度を使えない

主要な事業として行われる貸付けに使う資産は、除外対象にならない場合があります。貸付けの目的や実態を確認する必要があります。


  • 40万円未満特例の改正で、固定資産税の扱いも初めて変わった

40万円未満特例を使った資産は、従来から固定資産税の課税対象外となる少額資産には該当していません。


まとめ

少額資産を取得した場合、法人税や所得税では、10万円未満の少額減価償却資産、20万円未満の一括償却資産、中小企業者等の40万円未満特例など、複数の処理方法があります。

しかし、固定資産税では、それぞれ取扱いが異なります。


10万円未満の少額減価償却資産として損金算入した資産や、20万円未満の一括償却資産として処理した資産は、固定資産税の課税対象外となる少額資産に含まれます。


一方、中小企業者等の40万円未満特例を使って全額損金算入した資産は、固定資産税の課税対象外となる少額資産には該当せず、原則として償却資産申告の対象になります。

令和4年度税制改正では、少額減価償却資産の取得価額の損金算入制度と一括償却資産制度について、令和4年4月1日以後に取得等する一定の貸付資産が対象範囲から除外されました。

貸付資産については、翌年度以降の償却資産申告で、法人税上どの制度を適用できるのか、固定資産税の課税対象外となる少額資産に該当するのかを確認する必要があります。


少額資産の処理を決めるときは、法人税の損金算入時期だけでなく、固定資産税の申告対象になるかどうかもあわせて確認しましょう。


特に、40万円未満特例を使う場合は、償却資産申告の対象になることを前提に、資産名、取得日、取得価額、設置場所、使用状況を管理しておくことが大切です。


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