おはようございます!代表の安田です。
令和6年分の所得税等の確定申告期を迎えるにあたり、上場株式等の配当等に係る大口株主の判定誤りに注意が必要です。上場株式等の配当等を受けた場合、通常は 総合課税・申告分離課税・確定申告不要制度 のいずれかを選択できます。しかし、大口株主はこれらの選択肢がなく総合課税での申告が必須となります(少額配当を除く)。
大口株主の判定基準
大口株主とは、「配当等の支払に係る基準日」 において、当該法人が保有する株式を含む発行済株式総数に占める株式等保有割合が3%以上の者を指します(租税特別措置法8の4①)。
例えば、以下のケースを考えます。
ケース1: 株式発行後の割合変動
上場会社A社の発行済株式が100,000株あり、個人株主Xが3,000株(3%)を保有していた。
その後、A社が20,000株を新規発行したため、支払日にはXの株式等保有割合が 2.5% まで下がった。
しかし、大口株主の判定は基準日で行うため、Xは 3%の大口株主として扱われ、総合課税が適用 されます。
ケース2: 配当支払日前の一部売却
Xが基準日後にA社株式を500株売却し、残り 2,500株(2.5%)になった。
しかし、基準日時点の3%が適用されるため、大口株主として総合課税の対象となります。
一方、売却した 500株分の譲渡所得は、通常どおり申告分離課税で申告可能です。
確定申告時のポイント
大口株主の判定基準は基準日であり、配当支払日の株式保有割合ではありません。
複数の上場会社からの配当について、大口株主分は 総合課税、それ以外は申告分離課税で申告可能です。
同族会社経由での株式保有も、支払日ではなく基準日で判定されるため注意が必要です。
まとめ
配当所得に関しては、適用税制の選択により納税額が大きく変わるため、大口株主の判定基準を正しく理解し、適切に確定申告を行なうことが重要です。基準日後に株式を売却したとしても、大口株主として判定されるケースがあるため、配当所得の処理に慎重を期すべきです。
税務申告時に不明点がある場合は、税理士に相談することをお勧めします。

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