18歳未満のNISAつみたて投資枠|教育費等で移管・払出しをする際の提出書類を解説
- 安田 亮
- 6 日前
- 読了時間: 8分
おはようございます!代表の安田です。
令和8年度税制改正では、NISA制度について大きな見直しが行われました。その一つが、18歳未満でもNISAのつみたて投資枠を利用できる仕組みの創設です。
これまで、NISAは原則として18歳以上を対象とする制度でした。しかし、令和9年1月1日からは、18歳未満の方でも利用できる未成年者特定累積投資勘定が設けられることになっています。これにより、子どもの将来資金や教育資金を、長期・分散・積立の形で準備しやすくなることが期待されます。
もっとも、この未成年者向けのNISAつみたて投資枠には、成人向けのNISAとは異なる制限があります。特に注意したいのが、原則として一定年齢までは移管・返還・払出しができないという点です。
ただし、災害等のやむを得ない事由がある場合や、一定年齢以後に教育費・生活費に充てる場合には、所定の書類を提出することで、移管等や払出しが認められます。
本日は、18歳未満のNISAつみたて投資枠における移管等・払出し時の提出書類について整理します。
未成年者特定累積投資勘定とは?
未成年者特定累積投資勘定とは、令和8年度税制改正により新設された、18歳未満の居住者等が利用できるNISAのつみたて投資枠です。資料によると、この制度は令和9年1月1日から始まります。
簡単にいえば、未成年者でも、一定の範囲で非課税の積立投資ができるようになる制度です。旧ジュニアNISAが終了した後、未成年者向けの資産形成制度がどうなるのか注目されていましたが、今回の改正により、新NISAの枠組みの中に未成年者向けの勘定が設けられる形となりました。
原則として18歳前までは移管・払出しが制限される
未成年者特定累積投資勘定には、資産形成を長期的に行なうという制度趣旨から、払出し等に制限があります。資料によると、同勘定では、原則として、その年3月31日において18歳である年、いわゆる基準年の前年12月31日までは、次の行為ができません。
特定累積投資上場株式等を他の保管口座へ移管すること
特定累積投資上場株式等に係る有価証券を、非課税口座を開設している居住者等へ返還すること
預入れ等をしている金銭その他の資産を払い出すこと
つまり、未成年者向けのNISAは、自由にいつでも引き出せる口座というより、原則として一定年齢まで積立を継続する制度と理解しておく必要があります。
例外的に移管等・払出しが認められる場合
ただし、どのような事情があっても一切動かせないわけではありません。資料では、基準年の前年12月31日までであっても、次のような場合には移管等や払出しが可能とされています。
まず、災害等に基因する場合です。災害その他やむを得ない事情がある場合には、移管・返還・払出しが認められます。
次に、その年3月31日において12歳である年以後、つまり特定基準年以後の各年において、居住者等の教育費または生活費の支払に充てるためであれば、移管・返還・払出しができるとされています。
このため、中学・高校・大学進学などに伴う教育費や、生活費への充当を想定した使い方が制度上認められているといえます。
要件に反すると源泉徴収の対象になる可能性
未成年者向けNISAでは、払出し等の制限に反する取扱いをした場合のペナルティにも注意が必要です。資料によると、移管・返還・払出しに係る要件に反する場合など、基準年の前年12月31日までに契約不履行等事由が生じた場合には、その非課税口座に係る譲渡所得等について源泉徴収が行なわれるとされています。
つまり、教育費や生活費に充てるための正当な手続を踏まずに引き出した場合、非課税のメリットが失われる可能性があります。制度を利用する際は、払出し目的と手続書類の整備が非常に重要になります。
教育費等のための移管等と払出しでは提出書類が異なる
今回の資料で特に重要なのは、移管等と払出しでは提出書類が異なるという点です。
特定基準年以後の各年において、教育費または生活費の支払に充てるために移管・返還・払出しを行う場合には、非課税口座を開設している金融商品取引業者等に、一定事項を記載した書類を提出する必要があります。
そして、改正省令では、次のように書類が分けられています。
移管または返還の場合:特定累積投資上場株式等移管等依頼書
払出しの場合:特定課税未成年者口座払出依頼書
名称が長く、少しわかりにくいですが、要するに、有価証券そのものを移す・返す場合の書類と、金銭その他の資産を払い出す場合の書類が別々に用意されるということです。
共通して記載する事項
移管等依頼書と払出依頼書には、共通して記載する事項があります。資料によると、共通事項は次のとおりです。
提出者の氏名
提出者の生年月日
提出者の住所
提出先の金融商品取引業者等の営業所の名称
提出先の金融商品取引業者等の営業所の所在地
これは、誰が、どの金融機関に対して、どの口座に関する手続を依頼するのかを明らかにするための基本情報といえます。
移管または返還の場合の記載事項
移管または返還を行なう場合には、特定累積投資上場株式等移管等依頼書を提出します。
移管等依頼書に記載する主な事項として、次の内容が示されています。
移管または返還を依頼する旨
移管または返還をしようとする特定累積投資上場株式等の種類
銘柄および数、または持分の割合・価額
移管または返還の基因となる事由の詳細
その他参考となるべき事項
ここでいう基因となる事由は、居住者等の教育費または生活費の支払に充てるためのものに限られるとされています。
つまり、単に「移管したい」というだけではなく、教育費や生活費に充てる必要性を具体的に示すことが求められます。
払出しの場合の記載事項
一方、金銭その他の資産を払い出す場合には、特定課税未成年者口座払出依頼書を提出します。資料では、払出依頼書に記載する主な事項として、次の内容が示されています。
払出しを依頼する旨
払出しをしようとする金銭の額
金銭以外の資産を払い出す場合は、その資産の価額
払出しの基因となる事由の詳細
その他参考となるべき事項
こちらも、払出しの理由は、居住者等の教育費または生活費の支払に充てるためのものに限られるとされています。
提出書類の違い
移管等依頼書と払出依頼書の記載事項の共通事項として、提出者の氏名・生年月日・住所、提出先金融機関の営業所名・所在地が挙げられます。
一方で、移管等の場合は、対象となる上場株式等の種類・銘柄・数量・持分割合・価額の記載が必要であり、払出しの場合は、払い出す金銭の額または資産の価額を記載する点が異なります。
実務上は、何を動かすのかによって必要書類と記載内容が変わると考えると整理しやすいでしょう。
実務で注意したいポイント
未成年者特定累積投資勘定は、子どもの将来資金形成に役立つ制度ですが、払出し等のルールはやや複雑です。実務では、次の点に注意が必要です。
まず、原則として18歳前まで自由な払出しはできないことを理解しておく必要があります。次に、12歳以後であっても、教育費・生活費に充てるためでなければ、通常の払出し等は認められません。
さらに、教育費等のために移管等や払出しをする場合でも、書類提出が必要です。しかも、移管等と払出しでは書類名も記載事項も異なるため、金融機関の案内に従って正しく手続を行うことが大切です。
親権者・保護者が意識したいこと
未成年者のNISA口座は、親権者や保護者が実質的に管理に関わる場面が多いと考えられます。そのため、制度を利用する際には、投資商品の選択だけでなく、将来の教育費の支払時期や払出しルールも確認しておく必要があります。
たとえば、中学受験、高校進学、大学進学、留学などのタイミングで資金を使う可能性がある場合、何歳以後に、どの目的で、どの書類を提出すれば払出しができるのかをあらかじめ把握しておくと安心です。
また、払出し等の要件に反すると源泉徴収が行われる可能性があるため、目的外の安易な払出しは避けるべきでしょう。
まとめ
令和8年度税制改正により、令和9年1月1日から、18歳未満でもNISAのつみたて投資枠を利用できる未成年者特定累積投資勘定が設けられます。この勘定では、原則として、その年3月31日において18歳である年の前年12月31日までは、特定累積投資上場株式等の移管・返還や、金銭その他の資産の払出しはできません。
ただし、災害等の場合や、その年3月31日において12歳である年以後に教育費・生活費の支払に充てる場合には、一定の書類提出により移管等や払出しが可能です。移管または返還の場合は特定累積投資上場株式等移管等依頼書、払出しの場合は特定課税未成年者口座払出依頼書を提出し、提出者情報、金融機関情報、対象資産や払出金額、教育費・生活費に充てる事由の詳細などを記載します。
未成年者向けNISAは、子どもの将来資金を準備する新たな選択肢になります。一方で、払出しや移管には制限があり、手続を誤ると非課税メリットに影響する可能性があります。利用を検討する際は、積立時だけでなく、教育費等として使うときの書類と要件まで確認しておきましょう。




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