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新幹線のオフィス車両を利用した場合の給与課税|テレワーク中の緊急出社と交通費精算の注意点

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 7月19日
  • 読了時間: 16分

更新日:4 日前

こんにちは!代表の安田です。


テレワークや在宅勤務が広がり、従業員が必ずしも会社のオフィスで働くとは限らない時代になりました。


一方で、原則テレワークとしていても、会社から急きょ出社を求められることがあります。

たとえば、在宅勤務中に緊急の打合せが入り、勤務時間の途中から新幹線で本社へ向かうケースです。


このような場合、移動中も会社から連絡が入り、Web会議に参加したり、資料を確認したり、チャットで指示を受けたりすることがあります。

最近では、新幹線の一部車両に、通話やWeb会議がしやすい「オフィス車両」が用意されていることもあります。


では、従業員が業務のために新幹線のオフィス車両を利用し、その費用を会社が負担した場合、従業員に対する給与として課税されるのでしょうか。


結論から言うと、一定の要件を満たせば、給与課税されない取扱いが考えられます。

ポイントは、その移動時間が労働時間に該当するか、オフィス車両の利用が業務遂行上必要なものか、そして会社が実費精算しているかです。


本日は、テレワーク中に緊急出社する場合の移動時間、新幹線オフィス車両の利用料、通勤手当・出張旅費・レンタルオフィス代との違い、給与課税されないための実務上の注意点を解説します。


新幹線のオフィス車両を利用した場合の給与課税

新幹線のオフィス車両とは

新幹線のオフィス車両とは、移動中に仕事をしやすい環境を整えた車両や座席をいいます。

路線やサービス内容によって異なりますが、通話やWeb会議が可能とされていたり、パソコン作業をしやすい座席やスペースが用意されていたりすることがあります。


通常の新幹線車内では、周囲への配慮から通話やWeb会議がしにくい場面があります。

そのため、移動中に業務上の連絡や会議対応が必要な従業員にとって、オフィス車両は業務場所として機能することがあります。


特に、テレワーク中に急きょ出社する場合、移動時間が単なる移動ではなく、業務対応を継続する時間になることがあります。


このような場合、オフィス車両の利用料を会社が負担したときに、従業員への経済的利益として給与課税されるのかが問題になります。


会社が負担する費用は原則として給与課税の対象

所得税では、会社が従業員に対して支給する金銭や経済的利益は、原則として給与課税の対象になります。


給与として課税されるものは、現金で支給される基本給や手当だけではありません。

会社が従業員の個人的な費用を負担した場合も、従業員が経済的利益を受けたものとして給与課税されることがあります。


たとえば、従業員の私的な旅行代、個人的な飲食費、業務と関係のないサービス利用料を会社が負担した場合には、給与課税の問題が生じます。


一方で、会社の業務遂行に通常必要な費用を、従業員が一時的に立て替え、会社が実費精算する場合には、従業員に経済的利益が生じていないため、給与課税されない取扱いが考えられます。


新幹線のオフィス車両の利用料も、業務上必要な費用なのか、従業員個人の便益なのかを見極める必要があります。


テレワーク中に急きょ出社する場合

テレワーク中の従業員が、会社から緊急の業務命令を受けて勤務時間の途中から出社することがあります。


この場合、移動時間が単なる通勤時間なのか、それとも労働時間に含まれるのかが問題になります。たとえば、次のような状況です。

  • 会社から急きょ本社への出社を命じられた

  • 移動中も上司や取引先からの連絡対応が必要

  • 新幹線内でWeb会議に参加する必要がある

  • 移動中に資料作成や確認作業を行なう必要がある

  • 従業員が自由に休憩できる状態ではない


このような場合、移動時間が労働時間に該当する可能性があります。

反対に、単に自宅から会社へ移動しているだけで、移動中は自由に過ごせる場合には、通常の通勤時間と考えられやすくなります。


移動時間が労働時間になるかが重要

新幹線のオフィス車両の利用料を会社が負担した場合の給与課税を考えるうえで、移動時間が労働時間に該当するかは重要なポイントです。


移動時間が労働時間に含まれる場合、その時間中に業務を行なうための場所や設備を会社が負担することは、業務遂行上必要な費用と考えやすくなります。


たとえば、従業員が新幹線のオフィス車両でWeb会議に出席し、会社の指示に従って資料を確認しながら移動している場合です。


この場合、オフィス車両の利用は、単に快適な移動をするためではなく、業務を行うための場所を確保する意味があります。


一方で、移動中に業務をしておらず、単に通常の座席より便利だから利用したという場合には、業務上必要な費用とは説明しにくくなります。

その場合、会社負担額が給与課税の対象になる可能性があります。


オフィス車両の利用料は「場所代」と考えられる

新幹線のオフィス車両の料金について、業務遂行上必要な「場所代」と考えることができます。これは、在宅勤務中に従業員がレンタルオフィスを利用した場合の取扱いに近い考え方です。


国税庁の在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQでは、従業員が勤務時間内に自宅近くのレンタルオフィス等を利用して在宅勤務を行なった場合、一定要件を満たせば、会社が負担したレンタルオフィス代は給与課税されないとされています。


具体的には、従業員が在宅勤務に通常必要な費用としてレンタルオフィス代等を立替払いし、業務のために利用したものとして領収書等を会社に提出し、精算している場合です。

新幹線のオフィス車両についても、移動時間が労働時間とされ、業務を行うために利用したものであり、かつ実費精算の要件を満たしていれば、給与課税されない取扱いが考えられます。


給与課税されないための2つの要件

新幹線オフィス車両の利用料を会社が負担しても給与課税されないためには、少なくとも次の2つの要件を満たすことが重要です。


1つ目は、従業員が立替払いをしていることです。

従業員が業務上必要な費用をいったん支払い、その後、会社が精算する形です。


2つ目は、領収書等の提示により会社と精算していることです。

つまり、従業員が実際に支払った金額や利用内容が確認できる資料を会社に提出し、会社がその内容を確認したうえで実費精算する必要があります。


この2つの要件を満たしていれば、会社が従業員に対して個人的な利益を与えたのではなく、業務上必要な費用を精算したものと説明しやすくなります。


逆に、領収書がない、利用実態が確認できない、定額で渡し切りにしている、といった場合には、給与課税のリスクが高くなります。


実費精算が基本

オフィス車両の利用料を非課税で処理するには、実費精算が基本です。


会社が従業員に対して、利用の有無にかかわらず毎月一定額を支給するような方法は注意が必要です。たとえば、「移動中の業務対応手当」として毎月5,000円を支給するような場合、その手当は給与として課税される可能性があります。


実費精算であれば、従業員が実際に業務のために利用した費用を会社が負担していると説明できます。実務上は、次の資料を保存しておくとよいでしょう。

  • 新幹線の領収書

  • 利用区間

  • 利用日

  • 利用目的

  • 出社命令や業務指示の記録

  • 移動中にWeb会議や業務連絡を行った記録

  • 経費精算書

  • 会社の承認記録

金額が少額であっても、業務上必要だったことを説明できる資料を残しておくことが大切です。


通常の通勤交通費との違い

新幹線のオフィス車両を利用する場面では、通勤交通費との関係も問題になります。


労務の提供地が本社等である従業員が、自宅から本社へ移動する場合、その交通費は原則として通勤手当として扱われます。


交通機関を利用する通勤手当については、1か月当たり15万円までが非課税限度額です。

最も経済的かつ合理的な経路・方法による通勤費であれば、新幹線や特急列車の利用も非課税通勤手当に含まれることがあります。


一方、グリーン料金は、最も経済的かつ合理的な通勤経路・方法のための料金とは認められないため、非課税通勤手当には含まれません。


では、オフィス車両はどうでしょうか。

通常の席料から追加料金なしで利用できるオフィス車両について、グリーン車の利用とは異なり、オフィス車両を利用したことだけで通勤交通費の枠から外れるものではないと整理されています。


通常席と追加料金なしのオフィス車両

新幹線のオフィス車両が通常席と同じ料金で利用できる場合、通常の通勤交通費としての性質は変わりにくいと考えられます。


たとえば、従業員が新幹線通勤をしており、会社が合理的な通勤経路として新幹線代を通勤手当として支給しているとします。


その新幹線の通常料金の範囲内でオフィス車両を利用できる場合、オフィス車両を選んだからといって、直ちに通勤手当の非課税枠から外れるわけではありません。

グリーン車の場合は、通常の通勤に必要な運賃等を超える快適性のための料金と考えられ、非課税通勤手当に含まれません。


しかし、追加料金なしのオフィス車両であれば、通常の席料と同じ範囲の交通費と考えられます。この点は、遠距離通勤者やテレワーク併用者の交通費精算で重要です。


追加料金がある場合は業務必要性を確認する

一方、オフィス車両や類似サービスの利用に追加料金がかかる場合には、別途検討が必要です。


追加料金が、単なる快適性や個人的な利便性のためのものなのか、業務遂行上必要な場所代なのかによって、給与課税の判断が変わります。

たとえば、移動中にWeb会議へ参加する必要があり、通常車両では通話ができず、会社の業務命令としてオフィス車両やワークスペースを利用した場合には、業務上必要な費用と説明しやすくなります。


一方、業務上の必要性がなく、従業員の希望で高額なスペースや上位座席を利用しただけであれば、会社負担額が給与課税される可能性があります。

追加料金がある場合には、会社の指示、業務内容、利用理由、領収書をセットで保存しておきましょう。


出張旅費との違い

テレワーク中に本社へ出社する場合、その交通費が出張旅費になるのか、通勤手当になるのかもよく問題になります。


労務の提供地が自宅であり、会社の業務命令により一時的に本社へ出社する場合には、自宅から本社への移動が出張として扱われる可能性があります。


一方、労務の提供地が本社等であれば、自宅から本社への移動は原則として通勤です。

したがって、通勤交通費の非課税限度額を超える部分は給与課税されます。


ただし、新幹線オフィス車両の利用料については、通勤費か出張旅費かという問題とは別に、移動中に業務を行なうための場所代として給与課税されない取扱いが検討されます。

つまり、交通費そのものの取扱いと、オフィス車両利用料の取扱いを分けて考える必要があります。


法人カードで支払う場合の注意点

新幹線代やオフィス車両利用料を法人カードで支払う会社もあります。


この場合、従業員が立替払いをして会社と精算する形ではありません。

そのため、国税庁FAQで示されている「従業員が立替払いし、領収書等により精算する」という要件とは異なります。


もっとも、法人カードで会社が直接支払っている場合、会社が業務上必要な費用を直接負担しているだけで、従業員に経済的利益を与えていないと整理できる場面もあります。


ただし、法人カード払いでは、実費精算の形が見えにくくなるため、業務必要性や利用実態の記録がより重要になります。


特に、移動中に業務を行なったこと、会社の指示に基づく利用であったこと、私的利用ではないことを説明できるようにしておきましょう。


経費精算で保存したい資料

新幹線オフィス車両の利用料を会社が負担する場合、次のような資料を保存しておくと安心です。

  • 新幹線の領収書

  • オフィス車両の利用内容が分かる資料

  • 出張または出社の指示記録

  • 移動中に業務を行なう必要があった理由

  • Web会議の予定表

  • チャットやメールでの業務指示

  • 経費精算書

  • 承認者の承認記録

  • 旅費規程またはテレワーク規程

  • 通勤手当との区分が分かる資料


税務調査で問われやすいのは、「なぜ会社がその費用を負担する必要があったのか」という点です。単に領収書があるだけでなく、業務上必要であったことを説明できる資料を残しておきましょう。


社内規程に定めておきたい内容

テレワーク中の緊急出社や移動中の業務対応がある会社では、社内規程を整備しておくことが大切です。旅費規程、テレワーク規程、経費精算規程などに、次のような内容を定めておくと実務が安定します。


  • テレワーク中に緊急出社を命じる場合の手続

  • 移動中に業務対応を命じる場合の取扱い

  • 移動時間を労働時間として扱う場合の基準

  • 新幹線オフィス車両等の利用を認める条件

  • 利用できるサービスの範囲

  • 実費精算に必要な証憑

  • 法人カード利用時の承認手続

  • 通勤手当、出張旅費、場所代の区分

  • 私的利用を認めないこと

  • 事前承認または事後承認の方法


特に、オフィス車両の利用を従業員の自由判断に任せていると、業務上必要な費用なのか、個人的な利便性なのかが曖昧になります。

会社として利用基準を明確にしておきましょう。


テレワーク規程との整合性

新幹線オフィス車両の利用料を考える場合、テレワーク規程との整合性も重要です。

テレワーク規程で、勤務場所、出社命令、業務時間、通信環境、費用負担などを定めている会社は多いでしょう。


しかし、テレワーク中に急きょ出社する場合の移動中の業務対応まで明確に定めていない会社もあります。たとえば、次のような点を確認しましょう。


  • テレワーク中の出社命令はどのように行なうか

  • 出社に伴う移動時間は労働時間になるか

  • 移動中に業務対応を求める場合のルールはあるか

  • 移動中に使用するワークスペース費用を会社が負担するか

  • 従業員が任意で利用した費用と会社指示による費用を区分しているか


規程が実態に合っていないと、給与課税だけでなく、労務管理上も問題になります。

テレワークの運用が定着している会社ほど、移動中の業務対応ルールを見直しておきましょう。


給与課税される可能性があるケース

新幹線オフィス車両の利用料について、次のようなケースでは給与課税のリスクがあります。

  • 業務上の必要性がない

  • 移動中に業務を行なっていない

  • 会社の指示ではなく従業員の個人的判断で利用した

  • 領収書や利用記録がない

  • 実費精算ではなく定額手当として支給している

  • 私的利用分も会社が負担している

  • 通常必要な範囲を超える高額なサービスを利用している

  • 通勤手当や出張旅費との区分が曖昧


特に、実費精算ではなく定額で支給している場合や、業務利用と私的利用が混在している場合は注意が必要です。会社負担額が従業員への経済的利益と判断されると、給与として源泉徴収が必要になります。


給与課税されにくいケース

一方、次のようなケースでは、給与課税されない取扱いを説明しやすいと考えられます。

  • 会社から緊急の出社命令があった

  • 移動時間中も連絡対応やWeb会議が必要だった

  • 移動時間が労働時間として扱われる

  • オフィス車両の利用が業務遂行上必要だった

  • 従業員が立替払いをしている

  • 領収書等により会社と実費精算している

  • 利用日、利用目的、業務内容の記録がある

  • 会社の規程に基づいて処理している

  • 通常必要な範囲の費用である


これらの要素がそろっていれば、会社が従業員に個人的な利益を与えたのではなく、業務上必要な費用を負担したものと整理しやすくなります。


実務上よくある誤解

新幹線オフィス車両と給与課税について、実務上よくある誤解を整理します。


  • 会社が負担したらすべて給与課税される

会社が従業員の業務上必要な費用を実費精算する場合、給与課税されない取扱いが考えられます。


  • 新幹線の移動中は必ず労働時間ではない

会社から急きょ出社を命じられ、移動中も連絡やWeb会議への出席が必要で自由時間がない場合には、労働時間に含まれる可能性があります。


  • オフィス車両を使ったら通勤手当の非課税対象から外れる

通常の席料から追加料金なしで利用できるオフィス車両であれば、グリーン車利用とは異なり、オフィス車両を利用したことだけで通勤交通費の枠から外れるものではありません。


  • 領収書がなくても業務利用なら問題ない

給与課税されない実費精算として処理するには、領収書等による確認が重要です。


実務上のチェックポイント

新幹線オフィス車両の利用料を会社が負担する場合は、次の点を確認しましょう。

  • 会社から緊急の出社命令があったか

  • 移動中に業務を行なう必要があったか

  • 移動時間が労働時間として扱われるか

  • オフィス車両の利用が業務遂行上必要か

  • 従業員が立替払いしているか

  • 領収書等により実費精算しているか

  • 定額手当になっていないか

  • 私的利用分が含まれていないか

  • 通常の通勤手当や出張旅費と区分しているか

  • 追加料金がある場合、その必要性を説明できるか

  • 社内規程に利用基準を定めているか・経費精算書に利用目的を記載しているか


新しい働き方では、従来の通勤費・出張費だけでは整理しきれない費用が増えています。

「業務に必要な場所代か」「従業員個人の利益か」という視点で判断しましょう。


まとめ

テレワーク中の従業員が会社から急きょ出社を求められ、新幹線で移動することがあります。その移動中も連絡対応やWeb会議への出席が必要で、自由時間がない場合には、移動時間が労働時間に含まれる可能性があります。


このような状況で、従業員が新幹線のオフィス車両を利用し、その料金を会社が負担した場合、一定の要件を満たせば給与課税されない取扱いが考えられます。


ポイントは、オフィス車両の利用料を、業務遂行上必要な「場所代」と考えられるかどうかです。国税庁の在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQでは、従業員が勤務時間内にレンタルオフィス等を利用して在宅勤務を行った場合、従業員が立替払いし、領収書等の提示により会社と精算していれば、会社が負担した費用は給与課税されないとされています。


新幹線のオフィス車両についても、移動時間が労働時間とされ、業務遂行上必要な場所代として利用され、従業員が立替払いし、領収書等で実費精算している場合には、給与課税されないと整理できます。


一方、業務上の必要性がない場合、移動中に業務をしていない場合、定額手当として支給している場合、領収書等がない場合には、給与課税のリスクがあります。

また、労務の提供地が本社等である従業員の自宅・本社間の交通費は、原則として通勤手当です。


交通機関を利用する通勤手当は、最も経済的かつ合理的な経路・方法による金額について、月15万円までが非課税となります。新幹線の利用が合理的な通勤経路であれば非課税通勤手当に含まれますが、グリーン料金は含まれません。


ただし、通常の席料から追加料金なしで利用できるオフィス車両については、グリーン車とは異なり、オフィス車両を利用したことだけで通勤交通費の枠から外れるものではありません。


テレワーク中の緊急出社や移動中の業務対応がある会社では、旅費規程、テレワーク規程、経費精算ルールを整備し、会社指示、業務必要性、領収書、実費精算の記録を残しておくことが重要です。


新幹線オフィス車両の利用料やテレワーク関連費用の給与課税で迷う場合は、税理士や社会保険労務士へ相談することをおすすめします。


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