人手不足時代の中小企業経営|少人数でも利益を出す会社がやっていること
- 安田 亮
- 1 日前
- 読了時間: 11分
こんばんは!代表の安田です。
中小企業の経営において、「人が足りない」という悩みはますます大きくなっています。
求人を出しても応募が来ない。採用できてもすぐに辞めてしまう。ベテラン社員に仕事が集中している。社長自身が現場に入り続けている。
このような悩みを抱えている中小企業は少なくありません。
かつては、売上を伸ばすためには人を増やす、店舗を増やす、営業担当を増やす、といった発想が一般的でした。しかし、現在のように人手不足が続く時代には、単純に人を増やすことだけを前提にした経営は難しくなっています。
これからの中小企業に求められるのは、少人数でも利益を出せる会社づくりです。
本日は、人手不足時代に中小企業が利益を出し続けるために見直すべきポイントについて解説します。
人手不足は一時的な問題ではない
中小企業の人手不足は、単なる一時的な採用難ではありません。
少子高齢化により働き手の数が減っていることに加え、求職者の働き方に対する価値観も変化しています。給与だけでなく、働きやすさ、成長機会、職場の雰囲気、柔軟な働き方なども重視されるようになっています。
そのため、「求人を出せば人が来る」「忙しくなったら人を採ればよい」という考え方だけでは、経営が立ち行かなくなる可能性があります。
もちろん、採用活動は重要です。しかし、人を採ることだけに頼るのではなく、今いる人員でどう生産性を高めるかを考えることが必要です。
人手不足時代の中小企業経営では、次のような視点が重要になります。
少人数でも回る業務体制をつくる
利益率の高い仕事に集中する
社長や社員の時間を有効に使う
業務の属人化を減らす
ITや外注を上手に活用する
社員が定着しやすい職場をつくる
人が足りないからこそ、会社の仕組みそのものを見直すことが大切です。
少人数で利益を出す会社は「忙しさ」を放置しない
利益を出している会社は、単に社員が長時間働いているわけではありません。むしろ、無駄な忙しさを放置せず、仕事の進め方を定期的に見直しています。
中小企業では、日々の業務に追われるうちに、次のような状態になりがちです。
昔からのやり方を変えずに続けている
同じ情報を何度も入力している
紙やExcelの管理が複雑になっている
特定の社員しかわからない業務がある
社長が細かい確認や判断をすべて行っている
利益の低い仕事にも多くの時間を使っている
このような状態では、社員を増やしても根本的な問題は解決しません。むしろ、人が増えることで確認作業や情報共有の手間が増え、かえって非効率になることもあります。
少人数で利益を出す会社は、「人が足りない」という問題を、単なる採用の問題として捉えません。業務の進め方、仕事の選び方、社内の仕組みに問題がないかを確認します。
まずは「やらなくてよい仕事」を減らす
人手不足対策というと、採用、教育、IT導入などが思い浮かびます。しかし、その前に取り組みたいのが、やらなくてよい仕事を減らすことです。
どれだけ効率化しても、そもそも不要な業務が多ければ、会社は楽になりません。
たとえば、次のような業務は見直しの対象になります。
誰も見ていない資料の作成
目的があいまいな会議
二重入力になっている事務作業
紙で保管する必要性が低い書類管理
過剰な社内チェック
利益率が低く、手間だけがかかる仕事
社長でなくても対応できる細かい業務
「昔からやっているから」という理由だけで続けている仕事は、意外と多いものです。
少人数で利益を出すためには、仕事を増やす前に、まず仕事を減らすことが重要です。不要な業務を減らすことで、社員は本当に価値のある仕事に時間を使えるようになります。
利益率の高い仕事に集中する
人手不足時代には、すべての仕事を同じように引き受けることは難しくなります。
中小企業が限られた人員で利益を出すためには、利益率の高い仕事、会社の強みを活かせる仕事、良い顧客に貢献できる仕事に集中することが大切です。
売上金額だけを見ると、大きな仕事ほど重要に見えるかもしれません。しかし、実際には次のような仕事が会社の負担になっていることがあります。
売上は大きいが利益がほとんど残らない仕事
値引きが前提になっている仕事
修正やクレーム対応が多い仕事
納期が厳しく、社員の負担が大きい仕事
社長や特定の社員に依存している仕事
このような仕事を増やし続けると、売上は伸びても利益が残らず、現場も疲弊します。
大切なのは、「どの仕事を増やすか」と同時に、「どの仕事を減らすか」を決めることです。
少人数でも利益を出している会社は、自社に合わない仕事を無理に広げません。自社の強みが活きる分野に集中し、利益の出やすい事業構造をつくっています。
業務を標準化し、属人化を減らす
中小企業では、「この仕事はあの人しかわからない」という状態がよくあります。
もちろん、経験豊富な社員の存在は会社にとって大きな財産です。しかし、特定の人に業務が集中しすぎると、その人が休んだときや退職したときに大きなリスクになります。
また、属人化した業務が多いと、新しく入った社員を育てるのにも時間がかかります。結果として、採用しても戦力化するまでに時間がかかり、人手不足がなかなか解消されません。
少人数で安定して会社を回すためには、業務の標準化が必要です。
具体的には、次のような取り組みが考えられます。
業務手順をマニュアル化する
チェックリストを作成する
よくある問い合わせへの対応方法をまとめる
ファイル名や保存場所のルールを決める
顧客対応の流れを統一する
業務の担当者と期限を明確にする
マニュアルというと大げさに感じるかもしれませんが、最初から完璧なものを作る必要はありません。まずは、よく発生する業務やミスが起きやすい業務から簡単に整理するだけでも効果があります。
業務が標準化されると、社員教育がしやすくなり、ミスも減り、社長やベテラン社員への依存も小さくなります。
IT化・デジタル化は小さく始める
人手不足対策として、IT化やデジタル化も重要です。
ただし、中小企業の場合、いきなり大きなシステムを導入する必要はありません。高額なシステムを入れても、現場で使いこなせなければ意味がないからです。
まずは、日常業務の中で手間がかかっている部分から見直すとよいでしょう。
たとえば、次のような業務です。
請求書の作成と送付
勤怠管理
給与計算
経費精算
顧客情報の管理
スケジュール管理
社内の情報共有
在庫管理
受発注管理
紙、電話、FAX、手入力、二重入力が多い業務は、IT化によって効率化できる可能性があります。
重要なのは、「流行っているから導入する」のではなく、「どの業務の時間を減らしたいのか」を明確にすることです。
IT化の目的は、システムを入れることではありません。社員の時間を生み出し、ミスを減らし、利益につながる仕事に集中できる状態をつくることです。
外注を上手に活用する
少人数で会社を運営するためには、すべてを社内で抱え込まないことも重要です。
中小企業では、社内に専門人材を採用することが難しい場合もあります。そのような場合には、外部の専門家や外注先を活用することで、必要な業務を効率的に進めることができます。
外注を検討しやすい業務には、次のようなものがあります。
経理業務
給与計算
採用関連業務
ホームページ運用
広告運用
デザイン制作
システム管理
補助金申請支援
資料作成
事務作業の一部
外注というと、コストが増えるイメージがあるかもしれません。しかし、社長や社員が本来の業務に集中できるようになるのであれば、結果的に会社全体の生産性が上がることもあります。
特に、専門性が必要な業務や、社内で対応すると時間がかかりすぎる業務は、外部に任せることで効率化しやすい分野です。
「社内でやるべき仕事」と「外部に任せる仕事」を分けることは、少人数経営において非常に重要です。
社員が定着する職場づくりも重要
人手不足時代には、採用だけでなく、社員の定着も大切です。
せっかく採用した社員が短期間で辞めてしまうと、採用コストや教育コストが無駄になってしまいます。また、残った社員の負担も増え、職場全体の雰囲気が悪くなることがあります。
社員が定着しやすい会社には、いくつかの共通点があります。
業務の役割が明確である
相談しやすい雰囲気がある
頑張りが適切に評価される
過度な残業が常態化していない
教育の仕組みがある
休みを取りやすい
経営者の考えが共有されている
給与水準も重要ですが、それだけで社員が定着するわけではありません。働きやすさや成長実感、職場の人間関係も大きな要素です。
特に中小企業では、社長の考え方や職場の雰囲気が社員の定着に大きく影響します。社員が安心して働ける環境を整えることは、人手不足対策としても重要です。
社長の時間をどこに使うかを見直す
中小企業において、社長の時間は最も重要な経営資源の一つです。
社長が毎日細かい作業に追われていると、会社の将来を考える時間がなくなります。営業、採用、資金繰り、事業計画、新商品・新サービスの検討など、本来社長が考えるべき仕事に時間を使えなくなってしまいます。
少人数でも利益を出している会社では、社長がやるべき仕事と、社長でなくてもよい仕事が整理されています。
社長がやらなくてもよい仕事は、社員に任せる、外注する、仕組み化する、IT化するなどの方法で減らしていく必要があります。
もちろん、すべてを一気に変える必要はありません。まずは、社長が毎週行っている業務を書き出し、「これは本当に社長がやる必要があるか」を確認するだけでも効果があります。
社長の時間が空くと、会社の改善や成長に向けた取り組みに時間を使えるようになります。
少人数経営で大切なのは「頑張ること」より「仕組みを変えること」
人手不足になると、つい「今いるメンバーで何とか頑張る」という発想になりがちです。
もちろん、目の前の仕事を責任持って進めることは大切です。しかし、頑張りだけに頼る経営は長続きしません。
社員の残業や社長の長時間労働で何とか回している状態は、一見すると会社が回っているように見えます。しかし、その状態が続けば、社員の疲弊、ミスの増加、離職、顧客対応の品質低下につながる可能性があります。
少人数で利益を出すためには、個人の頑張りだけでなく、会社の仕組みを変えることが必要です。
不要な仕事を減らす
利益率の高い仕事に集中する
業務を標準化する
ITを活用する
外注を活用する
社員が定着する環境を整える
社長の時間を重要な仕事に使う
このような取り組みを少しずつ積み重ねることで、少人数でも利益を出せる会社に近づいていきます。
まとめ
人手不足時代の中小企業経営では、「人を増やせば解決する」という考え方だけでは限界があります。
もちろん、採用は重要です。しかし、それ以上に大切なのは、少人数でも利益を出せる会社の仕組みをつくることです。
そのためには、まず不要な仕事を減らし、利益率の高い仕事に集中する必要があります。あわせて、業務の標準化、IT化、外注活用、社員の定着、社長の時間の使い方を見直すことが重要です。
人手不足は、会社にとって大きな課題です。しかし、見方を変えれば、会社の業務や経営のあり方を見直すきっかけにもなります。
今いる人員でどのように利益を出すか。どの仕事に集中すべきか。どの業務を減らすべきか。どこに外部の力を借りるべきか。社長の時間を何に使うべきか。
これらを整理することで、少人数でも強い会社をつくることができます。
中小企業にとって大切なのは、単に人を増やすことではありません。限られた人材・時間・資金を活かし、利益が残る経営体制をつくることです。
人手不足の時代だからこそ、少人数でも利益を出せる会社づくりに取り組んでいきましょう。
神戸での起業や開業に関するご相談、顧問税理士をお探しの方は安田亮公認会計士・税理士事務所までお問い合わせください!
<あわせて読みたい>
【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。







コメント