インボイス制度で3万円未満なら請求書不要?帳簿のみで仕入税額控除できる取引を税理士が解説
- 安田 亮
- 22 時間前
- 読了時間: 18分
こんにちは!代表の安田です。
インボイス制度が始まった後も、「3万円未満の支払いなら、請求書や領収書がなくても仕入税額控除できる」と思っている方がいます。
しかし、この理解は危険です。
インボイス制度開始前の区分記載請求書等保存方式では、3万円未満の課税仕入れについて、一定事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められていました。
ところが、インボイス制度では、原則として、取引金額が3万円未満であっても、仕入税額控除を受けるにはインボイス等の保存が必要です。
つまり、「3万円未満なら何でも帳簿だけでよい」という旧制度の取扱いは、インボイス制度では廃止されています。
ただし、インボイスの交付を受けることが困難な一定の取引については、例外的に、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。代表例が、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送や、3万円未満の自動販売機・自動サービス機からの購入です。
また、一定規模以下の事業者については、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間、税込1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくても帳簿のみで仕入税額控除できる「少額特例」も設けられています。
本日は、インボイス制度における3万円基準の誤解、帳簿のみで仕入税額控除できる取引、公共交通機関特例・自動販売機特例・少額特例の違い、帳簿に記載すべき事項を解説します。
インボイス制度前の「3万円未満の課税仕入れ」とは
インボイス制度が始まる前の区分記載請求書等保存方式では、3万円未満の課税仕入れについて、一定事項を記載した帳簿のみを保存していれば、仕入税額控除が認められていました。
たとえば、少額の備品購入、交通費、消耗品、飲食代などについて、請求書や領収書の保存がなくても、帳簿に必要事項を記載していれば仕入税額控除できる場面がありました。
そのため、経理実務では「3万円未満なら領収書がなくても大丈夫」という感覚が広がっていました。
しかし、この取扱いは、インボイス制度の開始により大きく変わっています。
インボイス制度では原則として3万円未満でもインボイスが必要
インボイス制度では、消費税の仕入税額控除を受けるために、原則として、一定事項を記載した帳簿と、インボイス等の請求書等の保存が必要です。
ここで重要なのは、取引金額が3万円未満かどうかにかかわらず、原則としてインボイス等の保存が必要になるという点です。
たとえば、税込2,000円の文房具を購入した場合でも、相手がインボイス発行事業者であれば、原則としてインボイスまたは簡易インボイスの保存が必要です。税込8,000円の会議用飲食代、税込15,000円の備品購入、税込25,000円の修繕費なども同じです。
旧制度のように「3万円未満だから帳簿だけでよい」とは判断できません。
旧3万円基準は廃止された
インボイス制度開始後、従来の「3万円未満の課税仕入れ」について帳簿のみで仕入税額控除を認める規定は廃止されました。
そのため、インボイス制度開始前と同じ感覚で、少額取引の領収書や請求書の保存を省略していると、仕入税額控除が否認されるリスクがあります。
特に注意したいのは、次のような支払いです。
少額の消耗品購入
店舗での備品購入
会議費、接待飲食費
少額の修繕費
駐車場代
タクシー代
宅配便、配送料
研修費、セミナー参加費
これらは少額であっても、原則としてインボイス等の保存が必要です。
「3万円未満だから領収書不要」と処理するのではなく、インボイス制度上の例外に該当するかどうかを確認する必要があります。
帳簿のみで仕入税額控除できる取引は限定されている
インボイス制度でも、例外的に帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる取引があります。これは、請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由によるものです。
国税庁Q&Aでは、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる取引として、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送、入場券等が回収される取引、古物商等による一定の買取り、3万円未満の自動販売機等からの購入、郵便ポストに差し出される郵便・貨物サービス、従業員等に支給する通常必要な出張旅費等などが挙げられています。
主なものを整理すると、次のとおりです。
3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
入場券等が使用時に回収される取引
古物商等がインボイス発行事業者でない者から行う一定の古物の購入
質屋がインボイス発行事業者でない者から行う一定の質物の取得
宅建業者がインボイス発行事業者でない者から行う一定の建物の購入
一定の再生資源、再生部品の購入
3万円未満の自動販売機、自動サービス機からの商品の購入等
郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービスで、郵便ポストに差し出されたもの
従業員等に支給する通常必要な出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当
このように、帳簿のみでよい取引は限定列挙に近い形で整理されています。
少額であることだけを理由に、帳簿のみで仕入税額控除できるわけではありません。
3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
帳簿のみで仕入税額控除できる代表例が、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送です。
たとえば、鉄道、バス、船舶などの公共交通機関を利用した場合で、その取引金額が3万円未満であれば、インボイスの保存は不要で、一定事項を記載した帳簿のみで仕入税額控除できます。
これは、いわゆる公共交通機関特例です。
国税庁Q&Aでも、適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送については、一定事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるとされています。
ただし、ここでいう「3万円未満」は、すべての交通費の合計額ではなく、原則として1回の取引ごとに判定します。
また、3万円以上の公共交通機関の利用については、原則としてインボイス等の保存が必要です。
タクシー代は公共交通機関特例の対象ではない
公共交通機関特例で注意したいのが、タクシー代です。
一般的な感覚ではタクシーも交通機関ですが、インボイス制度の公共交通機関特例の対象となる「公共交通機関による旅客の運送」には、通常、鉄道、バス、船舶が想定されています。
タクシーについては、この3万円未満の公共交通機関特例の対象ではありません。
したがって、タクシー代について仕入税額控除を受けるには、原則として、インボイス発行事業者であるタクシー会社等からインボイスまたは簡易インボイスの交付を受け、その保存が必要です。
「交通費だから3万円未満なら帳簿だけでよい」と処理してしまうと、誤りになる可能性があります。
出張旅費精算や営業交通費では、鉄道・バス等とタクシー代を分けて確認しましょう。
3万円未満の自動販売機・自動サービス機からの購入
もう一つの代表例が、3万円未満の自動販売機および自動サービス機からの商品の購入等です。たとえば、次のような取引が該当する可能性があります。
飲料の自動販売機での購入
コインロッカーの利用
コインランドリーの利用
自動精算機を利用した一定のサービス
これらは、取引の性質上、インボイスの交付を受けることが困難な場合があります。
そのため、3万円未満の自動販売機等からの購入については、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。
ただし、すべての無人販売やセルフレジが当然に対象になるわけではありません。
レシートや領収書が発行され、インボイスの交付を受けることができる取引については、原則としてインボイス等の保存を検討する必要があります。
郵便ポストに差し出した郵便サービス
郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービスで、郵便ポストに差し出されたものについても、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。
たとえば、切手を貼った封書を郵便ポストに投函する場合です。
この場合、実際に郵便サービスを受ける時点では、インボイスの交付を受けることが困難です。
そのため、一定事項を記載した帳簿のみで仕入税額控除が認められます。
一方、郵便局の窓口で料金を支払い、インボイスを受け取れる場合には、原則としてそのインボイス等の保存が必要になります。
郵便関係の支出は、切手購入時点、ポスト投函時点、窓口利用時点で取扱いが変わることがあるため、社内ルールを整理しておくとよいでしょう。
従業員に支給する出張旅費・日当・通勤手当
従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当についても、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。
これは、会社が従業員に対して旅費規程等に基づいて支給するもので、従業員が立替えた個々の支出についてインボイスを保存することが困難なケースを考慮したものです。
たとえば、次のような支給です。
出張旅費規程に基づく日当
通常必要と認められる宿泊費
通勤手当
出張時の交通費精算
ただし、支給額が通常必要と認められる範囲を超える場合や、実質的に給与とみられる場合には注意が必要です。
また、従業員が会社のために立替購入した備品や飲食代については、単に従業員経由で支払ったからといって、すべて出張旅費特例の対象になるわけではありません。
支出の性質を確認して処理しましょう。
古物商・質屋・宅建業者等の特例
帳簿のみで仕入税額控除できる取引には、古物商、質屋、宅建業者など、特定の事業者に関する特例もあります。
たとえば、古物営業法上の許可を受けた古物商が、インボイス発行事業者でない者から、販売用の古物を購入する場合です。
中古車販売業者が一般消費者から中古車を買い取る場合などがイメージしやすいでしょう。
このような取引では、売手が消費者や免税事業者であることも多く、インボイスの交付を受けることが困難です。
そのため、一定事項を記載した帳簿のみで仕入税額控除が認められる場合があります。
国税庁Q&Aでも、古物商がインボイス発行事業者以外の者から、古物商の棚卸資産に該当する古物を買い受ける場合には、一定事項を記載した帳簿の保存により仕入税額控除が認められるとされています。
ただし、これらの特例は業種や対象資産が限定されています。
古物商であっても、事務所で使う備品を購入した場合まで特例対象になるわけではありません。あくまで、事業として販売する棚卸資産に該当する古物等が対象です。
帳簿のみ保存の場合に必要な記載事項
帳簿のみの保存で仕入税額控除を受ける場合には、通常の帳簿記載事項に加え、追加で記載が必要になる事項があります。
通常必要な記載事項は、次のとおりです。
課税仕入れの相手方の氏名または名称
取引年月日
取引内容
軽減税率対象品目である場合はその旨
対価の額
さらに、帳簿のみで仕入税額控除が認められる取引については、原則として次の記載も必要です。
帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる取引に該当する旨
仕入れの相手方の住所または所在地
ただし、公共交通機関特例や自動販売機特例など、一定の場合には住所または所在地の記載が不要とされる取扱いもあります。
令和6年度税制改正では、自動販売機等による課税仕入れや、使用時に証票が回収される課税仕入れのうち3万円未満のものについて、帳簿への住所等の記載を不要とする見直しも示されています。
帳簿の摘要欄には、たとえば次のように記載しておくと実務上分かりやすいでしょう。
公共交通機関特例
自販機特例
出張旅費等特例
古物商特例
郵便ポスト投函
令和5年度改正で追加された「少額特例」
現在の実務では、この少額特例も重要です。
少額特例とは、一定規模以下の事業者について、税込1万円未満の課税仕入れであれば、インボイスの保存がなくても、一定事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除できる制度です。
国税庁は、少額特例について、基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下である事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行う税込1万円未満の課税仕入れについて、帳簿のみの保存で仕入税額控除できる制度と説明しています。
この少額特例は、旧制度の3万円基準とは別の制度です。
また、3万円ではなく、税込1万円未満で判定します。
少額特例の対象事業者
少額特例を使えるのは、一定規模以下の事業者です。
具体的には、次のいずれかに該当する事業者です。
基準期間における課税売上高が1億円以下
特定期間における課税売上高が5,000万円以下
法人の場合、基準期間は原則として前々事業年度です。
特定期間は、原則として前事業年度開始の日以後6か月の期間です。
ただし、特定期間の課税売上高については、消費税の納税義務判定と異なり、給与支払額の合計額で判定することはできません。
中小企業や小規模事業者にとっては実務負担を軽減できる制度ですが、すべての事業者が使えるわけではありません。
課税売上高の判定を行ない、自社が対象になるか確認しましょう。
少額特例は税込1万円未満で判定する
少額特例の判定では、税込1万円未満かどうかを確認します。
この判定は、商品1点ごとではなく、1回の取引ごとの課税仕入れの金額で行います。
国税庁は、少額特例の1万円未満判定について、1回の取引の課税仕入れに係る金額、税込みで1万円未満かどうかで判定し、1商品ごとの金額で判定するものではないと説明しています。
たとえば、次のように考えます。
5,000円の商品を1点購入 → 税込1万円未満なら少額特例の対象になり得る
5,000円の商品と7,000円の商品を同時に購入 → 合計12,000円なので少額特例の対象外
1回8,000円のクリーニングを月2回、別々に精算 → それぞれ1万円未満なら対象になり得る
月額100,000円の清掃業務 → 稼働日数で割れば1日1万円未満でも、月額取引として1万円以上のため対象外
このように、請求書や納品書、精算単位を見て判定する必要があります。
少額特例はインボイス発行義務の免除ではない
少額特例は、買手側の仕入税額控除に関する保存要件を緩和する制度です。
つまり、一定規模以下の買手が税込1万円未満の課税仕入れを行った場合、インボイスの保存がなくても帳簿のみで仕入税額控除できるという制度です。
一方で、売手であるインボイス発行事業者の交付義務が免除されるわけではありません。
国税庁も、少額特例は税込1万円未満の課税仕入れについてインボイスの保存を不要とするものであり、インボイス発行事業者の交付義務が免除されるものではないため、課税事業者からインボイスを求められた場合には交付する必要があると説明しています。
したがって、売手側は「相手が少額特例を使えるかもしれないからインボイスを出さなくてよい」と判断してはいけません。
買手側の特例と、売手側のインボイス交付義務は分けて考えましょう。
3万円基準と1万円少額特例の違い
インボイス制度では、「3万円」と「1万円」という金額基準が出てくるため、混同しやすくなっています。
整理すると、次のようになります。
旧制度の3万円未満の課税仕入れ → インボイス制度開始により廃止 → 少額なら何でも帳簿のみでよい、という取扱いではない
3万円未満の公共交通機関特例 → 鉄道、バス、船舶などの公共交通機関による旅客の運送 → インボイス交付義務が免除され、帳簿のみで仕入税額控除可能
3万円未満の自動販売機等特例 → 自動販売機・自動サービス機からの購入等 → 帳簿のみで仕入税額控除可能
税込1万円未満の少額特例 → 一定規模以下の事業者が対象 → 令和5年10月1日から令和11年9月30日まで → インボイス保存なしで帳簿のみで仕入税額控除可能
つまり、「3万円未満」という言葉だけを見て判断してはいけません。
何の制度の3万円なのか、どの取引に限られるのかを確認することが大切です。
実務で起こりやすい誤り
インボイス制度の3万円基準では、次のような誤りが起こりやすくなります。
1. 3万円未満の領収書を保存しない
旧制度の感覚で、少額の領収書や請求書を保存しないケースです。
インボイス制度では、原則として3万円未満でもインボイス等の保存が必要です。
2. タクシー代を公共交通機関特例で処理する
タクシー代は、通常、3万円未満の公共交通機関特例の対象ではありません。
インボイスまたは簡易インボイスの保存が必要です。
3. 少額特例を全事業者に適用する
税込1万円未満の少額特例は、一定規模以下の事業者だけが対象です。
課税売上高が大きい法人は使えない場合があります。
4. 1商品ごとに1万円未満か判定する
少額特例は1商品ごとではなく、1回の取引ごとに税込1万円未満かどうかで判定します。
5. 帳簿に特例の該当理由を記載していない
帳簿のみで仕入税額控除を受ける場合には、原則として、どの特例に該当するかが分かる記載が必要です。
社内ルールで整理しておきたいポイント
インボイス制度では、少額支出の処理ルールを社内で明確にしておくことが重要です。
特に、経費精算や現場購入が多い会社では、従業員に分かりやすく伝える必要があります。
たとえば、次のようなルールを整備しましょう。
3万円未満でも原則として領収書・レシートを保存する
鉄道、バスなどの公共交通機関は3万円未満なら帳簿のみ可
タクシー代はインボイス対応の領収書を受け取る
自動販売機利用は摘要欄に「自販機特例」と記載する
郵便ポスト投函は摘要欄に「郵便ポスト投函」と記載する
出張旅費・日当・通勤手当は旅費規程と精算書を整備する
少額特例を使う場合は税込1万円未満か確認する
少額特例の対象法人か毎期確認する
経理担当者だけでなく、営業担当者、現場担当者、役員にも共有しておくと、後日の経費精算がスムーズになります。
税務調査で確認されやすい資料
帳簿のみで仕入税額控除を受けている場合、税務調査では次の資料が確認される可能性があります。
総勘定元帳
補助元帳
経費精算書
旅費精算書
出張旅費規程
通勤手当の支給明細
帳簿摘要欄の記載内容
公共交通機関利用明細
自動販売機等の利用記録
少額特例の対象事業者判定資料
基準期間、特定期間の課税売上高資料
特に、帳簿のみで仕入税額控除を受ける場合は、なぜ請求書等の保存が不要なのかを帳簿上で説明できることが大切です。
「少額だから」「以前からそうしているから」という理由では不十分です。
よくある誤解
3万円未満ならインボイスは不要
誤りです。インボイス制度では、原則として3万円未満であってもインボイス等の保存が必要です。帳簿のみでよいのは、公共交通機関特例や自動販売機特例など、一定の取引に限られます。
旧制度の3万円基準はインボイス制度でも残っている
旧制度の「3万円未満の課税仕入れ」について帳簿のみで仕入税額控除できる取扱いは、インボイス制度開始後は廃止されています。
交通費なら何でも3万円未満は帳簿のみでよい
公共交通機関特例の対象は限定されています。タクシー代などは原則としてインボイス等の保存が必要です。
少額特例は3万円未満の取引に使える
少額特例は税込1万円未満の課税仕入れが対象です。3万円未満ではありません。
少額特例はすべての事業者が使える
少額特例は、基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の一定規模以下の事業者が対象です。
少額特例では商品ごとに1万円未満ならよい
1商品ごとではなく、1回の取引の課税仕入れに係る金額が税込1万円未満かどうかで判定します。
まとめ
インボイス制度では、原則として、仕入税額控除を受けるために、一定事項を記載した帳簿とインボイス等の請求書等の保存が必要です。
インボイス制度開始前は、3万円未満の課税仕入れについて、一定事項を記載した帳簿のみで仕入税額控除が認められる取扱いがありました。
しかし、この旧制度の3万円基準は、インボイス制度開始後は廃止されています。
そのため、現在は、3万円未満の支払いであっても、原則としてインボイス等の保存が必要です。
ただし、インボイスの交付を受けることが困難な一定の取引については、例外的に帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。
代表例は、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送、3万円未満の自動販売機・自動サービス機からの購入、郵便ポストに差し出される郵便・貨物サービス、従業員等に支給する通常必要な出張旅費・日当・通勤手当などです。
また、令和5年度税制改正により、一定規模以下の事業者については、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間、税込1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくても帳簿のみで仕入税額控除できる少額特例が設けられています。
この少額特例は、旧制度の3万円基準とは異なります。
対象事業者は、基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者です。
また、金額判定は税込1万円未満であり、1商品ごとではなく、1回の取引ごとの課税仕入れの金額で判断します。
インボイス制度では、「3万円未満なら請求書不要」という考え方は通用しません。
少額取引については、原則としてインボイス等を保存しつつ、公共交通機関特例、自動販売機特例、出張旅費等特例、少額特例など、帳簿のみでよい取引に該当するかを個別に確認しましょう。
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【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。






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