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グループ通算制度では親法人が一括納付できる?ダイレクト納付の仕組みと注意点を税理士が解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 1 日前
  • 読了時間: 12分

こんばんは!代表の安田です。


令和4年4月1日以後開始事業年度から、従来の連結納税制度に代わり、グループ通算制度が始まっています。


グループ通算制度では、完全支配関係のある企業グループ内の法人について、損益通算など一定の調整を行ないます。ただし、従来の連結納税制度とは異なり、原則として、通算グループ内の各法人がそれぞれ法人税額を計算し、申告・納付を行ないます。


一方で、実務上は、親法人がグループ全体の税務申告・納付を取りまとめたいケースも多いでしょう。


この点について、グループ通算制度では、親法人が子法人の申告書をe-Taxで提出できるほか、ダイレクト納付(グループ通算用)を利用することで、通算親法人が通算グループ内法人の法人税・地方法人税を一括納付することができます。


本日は、グループ通算制度における申告・納付の基本、親法人による子法人申告書の提出、ダイレクト納付(グループ通算用)の仕組み、実務上の注意点について解説します。


グループ通算制度とは

グループ通算制度とは、令和2年度税制改正により、従来の連結納税制度を見直して創設された制度です。


連結納税制度では、企業グループ全体を一つの納税単位として、親法人がグループ全体の法人税額等を申告する仕組みでした。これに対し、グループ通算制度では、原則として、通算グループ内の各法人が個別に法人税額を計算し、申告・納付を行ないます。


つまり、グループ通算制度では、税額計算の基本単位は各法人です。

「グループで一つの申告書を出せばよい」という制度ではない点に注意が必要です。


原則は各法人が申告・納付する

グループ通算制度では、通算親法人だけでなく、通算子法人もそれぞれ申告義務を負います。

そのため、制度上は、各法人が自社の法人税額を計算し、法人税申告書を提出し、納付も行なうのが原則です。


ただし、グループ会社の税務を親法人が一元管理している場合、各子法人がそれぞれ申告・納付手続きを行うと、管理が煩雑になります。


そこで、実務上は、親法人が子法人の申告書提出や納付を取りまとめる仕組みが用意されています。この点が、グループ通算制度の実務対応で重要になります。


通算法人は電子申告義務化の対象

グループ通算制度の適用を受ける法人は、資本金の額等にかかわらず、電子申告義務化の対象です。つまり通算法人は、資本金の額等が1億円以下であるかどうかにかかわらず、電子申告義務化の対象となっています。


通常、法人税の電子申告義務化は、大法人を中心に適用されるイメージがあります。

しかし、グループ通算制度の通算法人については、中小規模の子法人であっても電子申告対応が必要です。


したがって、グループ通算制度を導入する場合は、次のような準備が必要です。

  • 各通算法人のe-Tax利用者識別番号の確認

  • 電子証明書や電子署名の準備

  • 親法人が子法人申告を提出する場合の権限整理

  • 税務ソフトのグループ通算対応

  • 申告書送信後の受信通知の管理


グループ通算制度では、税額計算だけでなく、電子申告体制の整備も重要な実務課題になります。


親法人が子法人の申告書を提出できる

グループ通算制度では、原則として各法人が申告を行ないます。

しかし、子法人の法人税申告書については、親法人の電子署名によりe-Taxで提出することができます。これにより、親法人がグループ内法人の申告実務を一括管理しやすくなります。


たとえば、親法人の税務部門が各子法人の決算数値を取りまとめ、グループ通算に係る調整を行ない、子法人ごとの申告書データを作成・送信する運用が考えられます。


ただし、親法人が提出できるからといって、子法人の申告内容の確認が不要になるわけではありません。


各子法人は、自社の所得金額、税額、欠損金、税額控除、地方税への影響などを確認し、親法人との間で申告内容を共有しておく必要があります。


ダイレクト納付とは

ダイレクト納付とは、e-Taxを利用した国税の電子納付方法の一つです。

あらかじめ税務署に届出をした預貯金口座から、指定した期日に国税を引き落として納付する方法です。


インターネットバンキングを利用しなくても、e-Taxの画面上で納付手続きを行なえるため、法人税、消費税、源泉所得税などの納付で利用している法人も多いでしょう。


グループ通算制度では、このダイレクト納付について、通常の納付方法に加えて、通算グループ向けの一括納付機能が設けられています。


ダイレクト納付(グループ通算用)とは

ダイレクト納付(グループ通算用)とは、通算親法人が、通算グループ内法人の納付額をダイレクト納付で一括納付できる機能です。


国税庁は、ダイレクト納付(グループ通算用)について、通算親法人が通算グループ内法人の納付額を一括納付できる機能であり、グループ内の各通算法人が一覧で表示され、各法人の法人税額・地方法人税額を入力することで一括納付できると案内しています。


親法人Aと子法人Bがある場合、親法人Aが子法人Bの申告内容に基づき、子法人Bの所轄税務署にダイレクト納付できる仕組みがあり、ダイレクト納付(グループ通算用)として、通算親法人が一括納付できる仕組みが整備されています。


つまり、グループ通算制度では、申告だけでなく納付についても、親法人が取りまとめることが可能です。

一括納付できる税目は法人税・地方法人税

ダイレクト納付(グループ通算用)は便利な仕組みですが、すべての税目を一括納付できるわけではありません。

国税庁は、ダイレクト納付(グループ通算用)について、通算親法人が法人税および地方法人税を納付する場合に限り利用できると案内しています。

したがって、次の税目は、グループ通算用の一括納付機能の対象外です。

  • 消費税

  • 源泉所得税

  • 印紙税

  • 登録免許税

  • 地方税の法人住民税

  • 地方税の法人事業税


特に地方税は、国税のe-Taxではなく、地方税ポータルシステムであるeLTAXで申告・納付を行ないます。グループ通算制度における法人税・地方法人税の納付と、法人住民税・法人事業税の納付は、分けて管理する必要があります。


親法人の口座から引き落とされる

ダイレクト納付(グループ通算用)では、各通算法人の納付について、通算親法人の預貯金口座から引き落とされます。届出をした預金口座に納税資金を入金しておけば、親法人が入力した金額が各子法人の所轄税務署に自動で納付される仕組みです。


この仕組みでは、子法人ごとの納税額を親法人が一括して操作し、資金は親法人の口座から引き落とされます。そのため、グループ内で次の点を整理しておく必要があります。

  • 子法人の納税資金を事前に親法人へ移すのか

  • 親法人が一時的に立替払いするのか

  • 子法人との精算時期はいつにするのか

  • 会計上、立替金・未収入金・未払金をどう処理するのか

  • 納付額の最終承認者を誰にするのか


一括納付は便利ですが、親法人の資金繰りやグループ内精算に影響します。


各子法人の所轄税務署へ納付される

グループ通算制度では、各法人が個別の納税単位です。

そのため、親法人が一括納付する場合でも、税金は各子法人の所轄税務署へ納付されます。

親法人は各子法人の所轄税務署にそれぞれ納付を行なう必要があり、e-Taxの画面で各法人の納税額を入力するフォームを設け、入力金額が各子法人の所轄税務署へ自動で納付される仕組みです。


ここは、連結納税制度の感覚が残っている場合に誤解しやすい点です。


グループ通算制度では、親法人の所轄税務署にまとめて納付するわけではありません。

一括納付機能を利用しても、納付先は各通算法人の所轄税務署です。


受信通知から納付する場合の注意点

e-Taxで申告書を送信すると、メッセージボックスに受信通知、いわゆる納付区分番号通知が格納されます。


国税庁は、e-Taxで申告書を送信した場合、受信通知からダイレクト納付、インターネットバンキング納付、クレジットカード納付、コンビニ納付などができると案内しています。


ただし、通算親法人の電子署名を用いて通算子法人の申告書記載事項の提供をした場合、その受信通知から利用できる納付方法は、ダイレクト納付のみとされています。

したがって、親法人が子法人分の申告書を提出する運用では、ダイレクト納付の利用準備が実務上重要です。


「申告は親法人でまとめて送ったが、納付は子法人ごとに別の方法で行なう」という運用を考える場合には、利用できる納付方法を事前に確認しておく必要があります。


ダイレクト納付(グループ通算用)の実務フロー

実務では、次のような流れで進めると整理しやすいです。


1. 通算グループ内法人を一覧化する

まず、通算親法人と各通算子法人を一覧にします。

法人名、法人番号、所在地、所轄税務署、決算期、担当者、e-Tax利用者識別番号などを整理します。


2. 各法人の税額を確定する

各通算法人ごとに、法人税額と地方法人税額を確定します。

グループ通算制度では、損益通算や投資簿価修正など、グループ内の調整があるため、親法人側で最終的な税額を確認する体制が必要です。


3. e-Taxで申告書を送信する

通算法人は電子申告義務化の対象です。

親法人の電子署名で子法人の申告書を提出する場合は、対象法人や送信データ、電子署名、受信通知を確認します。


4. 一括納付情報を登録する

通算親法人は、「グループ通算 一括納付情報登録」メニューから、通算グループ内の各法人の納付額を連記式で入力し、ダイレクト納付(グループ通算用)により一括納付できます。


5. 親法人口座の残高を確認する

引き落としは親法人の預貯金口座から行われます。

各法人分の法人税・地方法人税の合計額が不足しないよう、納付日前に残高確認を行います。


6. 納付後に各法人へ通知・精算する

納付完了後は、子法人ごとの納付額、納付日、精算額を各法人へ共有します。

親法人が立て替えた場合は、子法人からの入金処理や相殺処理を忘れないようにしましょう。


会計処理上の注意点

親法人が子法人分の法人税・地方法人税を親法人口座から一括納付する場合、グループ内の会計処理を整理しておく必要があります。

たとえば、親法人が子法人の税金を一時的に立て替える場合、親法人側では立替金や未収入金として処理し、子法人側では未払金や親会社未払金として処理することが考えられます。

一例としては、次のような処理です。

親法人側:子法人分を立替納付したとき  立替金 / 普通預金
親法人側:子法人から精算を受けたとき  普通預金 / 立替金
子法人側:親法人が納付したとき  未払法人税等 / 未払金
子法人側:親法人へ精算したとき  未払金 / 普通預金

実際の勘定科目や処理方法は、グループ内の会計方針により異なります。

重要なのは、親法人の一括納付額と、各子法人の税金債務・精算残高が一致していることです。


資金繰り上の注意点

ダイレクト納付(グループ通算用)は、親法人の口座から一括で引き落とされます。

そのため、各子法人に納税資金があっても、親法人の口座残高が不足していれば納付できません。納付前には、次の点を確認しましょう。

  • 各法人の法人税額、地方法人税額が確定しているか

  • 親法人の引落口座に十分な残高があるか

  • 子法人から親法人への資金移動は完了しているか

  • 納付日が金融機関休業日に当たらないか

  • 納付操作担当者と承認者が不在でないか

  • 複数回納付や中間納付がある場合のスケジュールを管理しているか


一括納付は、グループ全体の資金管理を親法人に集約できる反面、親法人側に確認負担が集中します。税額が大きいグループでは、納税資金の移動スケジュールを早めに決めておくことが大切です。


内部統制上の注意点

グループ通算制度では、各法人の税額がグループ全体の税務計算に関係します。

親法人が申告・納付を一括管理する場合、次のような内部統制を整えておくと安心です。

  • 各子法人から親法人への申告基礎資料の提出期限

  • 親法人による税額計算結果の確認手続

  • 子法人による申告内容の承認手続

  • 一括納付額の承認フロー

  • ダイレクト納付の操作権限管理

  • 納付後の受信通知、納付記録の保存

  • 親子会社間の精算記録の保存


親法人が一括して手続きを行なう場合でも、子法人側の申告・納付責任が消えるわけではありません。各法人ごとに申告書控えや納付記録を保存し、後日の税務調査や監査に備えておく必要があります。


よくある誤解

・グループ通算制度では親法人だけが申告すればよい

誤りです。グループ通算制度では、原則として各通算法人が個別に法人税額を計算し、申告します。親法人が一括して提出する運用は可能ですが、制度上の納税単位は各法人です。


・中小規模の子法人なら電子申告義務はない

通算法人は、資本金の額等が1億円以下かどうかにかかわらず、電子申告義務化の対象です。


・ダイレクト納付(グループ通算用)ですべての税目を一括納付できる

対象は、通算親法人が納付する法人税および地方法人税に限られます。消費税や地方税の法人住民税・法人事業税などは対象外です。


・一括納付すれば親法人の所轄税務署にまとめて納付される

そうではありません。親法人が一括納付する場合でも、各子法人の納付額は各子法人の所轄税務署へ納付されます。


・子法人分の税金を親法人が納付したら、子法人側の会計処理は不要

子法人側でも、自社の法人税・地方法人税として未払法人税等の処理や親法人との精算処理が必要です。


まとめ

グループ通算制度では、従来の連結納税制度と異なり、原則として通算グループ内の各法人が個別に法人税額を計算し、申告・納付を行ないます。

ただし、実務上は、親法人が子法人の法人税申告書を親法人の電子署名によりe-Taxで提出できます。


また、納付についても、ダイレクト納付(グループ通算用)を利用することで、通算親法人が通算グループ内法人の法人税・地方法人税を一括納付できます。


この場合、グループ内の各通算法人が一覧で表示され、親法人が各法人の法人税額・地方法人税額を入力することで、一括で納付できます。引き落としは、通算親法人の預貯金口座から行われます。


ただし、一括納付できるのは法人税・地方法人税に限られます。地方税や消費税などは別途管理が必要です。


また、一括納付であっても、各法人の納付先は各法人の所轄税務署です。親法人の所轄税務署にまとめて納付されるわけではありません。


親法人がグループ内法人の申告・納付を集約する場合は、各法人の税額確認、電子申告体制、ダイレクト納付の届出、親法人口座の残高管理、子法人との資金精算、納付記録の保存まで含めて、実務フローを整備しておきましょう。


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