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インターン生に支給する交通費とインボイス制度|実費精算・一律支給の注意点

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 6 日前
  • 読了時間: 10分

更新日:2 日前

こんばんは!代表の安田です。


新卒採用や若手人材の確保を目的として、インターンシップを実施する企業が増えています。


インターンシップでは、学生に会社まで来てもらうために、企業が交通費を負担することがあります。たとえば、電車代やバス代を実費精算したり、遠方から参加する学生に新幹線代や航空券代を支給したり、一定額の交通費を一律で支給したりするケースです。


このとき、経理処理で悩みやすいのが、インボイス制度との関係です。

  • インターン生は従業員ではないが、交通費を支給した場合に仕入税額控除はできるのか

  • 学生から領収書をもらう必要があるのか

  • 電車代やバス代はインボイスがなくてもよいのか

  • 一律で交通費を支給した場合はどう処理すればよいのか


このような疑問を持つ会社も多いのではないでしょうか。


本日は、インターンシップ参加者に交通費を支給する場合のインボイス制度上の考え方について、実費精算と一律支給に分けて解説します。


インターン交通費は仕入税額控除の対象になるか

会社がインターンシップ参加者の交通費を負担する場合、その支出が会社の事業活動に必要なものであれば、消費税の課税仕入れとして仕入税額控除の対象になり得ます。


ただし、インボイス制度では、仕入税額控除を受けるために、原則として一定事項を記載した帳簿と、インボイス等の請求書類の保存が必要です。


そのため、インターン生に交通費を支給する場合も、単に「採用活動のための交通費だから経費になる」というだけでなく、インボイス制度上どのような書類保存が必要かを確認する必要があります。


特に注意したいのは、次の3つです。

  • 公共交通機関特例に該当するか

  • インボイスの保存が必要な取引か

  • 出張旅費等特例を使える支給形態か


これらの判断により、必要な証憑や帳簿の記載方法が変わります。


3万円未満の鉄道・バス・船舶等は公共交通機関特例の対象

インボイス制度では、一定の取引については、インボイスの保存がなくても、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められています。


その代表例が、3万円未満の公共交通機関による旅客運送です。

具体的には、鉄道、バス、船舶などの利用について、一定の要件を満たす場合には、公共交通機関特例により、インボイスの保存が不要とされています。


たとえば、インターン生が会社説明会や就業体験に参加するために電車やバスを利用し、その交通費を会社が実費精算するケースです。1回の取引金額が3万円未満で、公共交通機関特例の対象になる場合には、会社はインボイスを保存しなくても、帳簿に必要事項を記載することで仕入税額控除を受けることができます。


この場合、帳簿には通常の記載事項に加えて、「公共交通機関特例」など、特例の対象であることが分かる記載をしておくとよいでしょう。


3万円以上の交通費や航空券はインボイス保存に注意

一方で、すべての交通費が帳簿のみで認められるわけではありません。

たとえば、遠方からインターン生を招くために新幹線や航空機を利用する場合、金額や交通手段によってはインボイスの保存が必要になります。


公共交通機関特例は、3万円未満の鉄道・バス・船舶などの旅客運送が対象です。3万円以上の利用については、原則としてインボイスの保存が必要になります。


また、航空機の利用については公共交通機関特例の対象とはされていません。そのため、航空券代を会社が負担する場合には、航空会社や旅行代理店等から交付されるインボイスを保存する必要があります。


インターンシップでは、遠方の学生を対象に交通費を支給することもあります。特に、航空券、新幹線、宿泊を伴う移動などがある場合には、事前に

  • 誰がチケットを購入するのか

  • 誰宛の領収書を取得するのか

  • 会社が保存すべき書類は何か

を整理しておくことが大切です。


学生名義のインボイスを受け取った場合は立替金精算書等が必要

インターン生が自分で交通機関や旅行代理店に支払い、後日会社が実費精算することがあります。


このとき、インボイスの宛名が会社名ではなく、学生本人の氏名になっている場合には注意が必要です。


通常のインボイスでは、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称が記載事項とされています。そのため、会社が仕入税額控除を受けるには、原則として会社名宛のインボイスを保存するのが望ましい対応です。


学生名義のインボイスしかない場合、その書類だけでは、会社の課税仕入れであることが明確でない場合があります。


このような場合には、学生名義のインボイスに加えて、会社が負担すべき交通費であることを示す立替金精算書等を保存することが考えられます。


立替金精算書等には、たとえば次のような内容を記載しておくとよいでしょう。

  • インターン参加者の氏名

  • 参加日、参加目的

  • 利用した交通機関

  • 乗車区間、利用区間

  • 支払日

  • 支払先

  • 支払金額

  • 会社が負担する交通費であること

  • 添付する領収書やインボイスとの対応関係


特に、航空券や高額な交通費については、後日確認できるように、インボイス、予約確認書、搭乗証明、精算書などを整理して保存しておくと安心です。


簡易インボイスの場合は宛名不要

小売店やタクシー業など一定の事業者は、通常のインボイスではなく、簡易インボイスを交付できる場合があります。


簡易インボイスでは、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称、つまり宛名の記載が不要です。


そのため、インターン生が受け取った書類が簡易インボイスに該当し、必要な記載事項を満たしている場合には、宛名がないこと自体を理由に仕入税額控除が否認されるわけではありません。


ただし、インターン交通費については、交通手段や金額によって取扱いが異なります。タクシー代、航空券代、旅行代理店経由のチケット代などは、公共交通機関特例の対象になるか、簡易インボイスで足りるか、通常のインボイスが必要かを個別に確認することが大切です。


一律支給の場合は出張旅費等特例の検討が必要

インターン生に交通費を実費精算するのではなく、「交通費として一律1,000円」「遠方参加者には一律5,000円」など、一定額を支給する会社もあります。


このような一律支給の場合には、出張旅費等特例に該当するかどうかが問題になります。

出張旅費等特例とは、従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などについて、一定事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる制度です。


この特例を使える場合、会社は交通機関のインボイスを保存しなくても、帳簿のみで仕入税額控除を受けることができます。


ただし、出張旅費等特例は、あくまで「従業員等」に支給する旅費等が対象です。

インターン生がこの「従業員等」に該当するかどうかは、インターンシップの実態や契約関係によって判断する必要があります。


たとえば、単なる会社説明会や職場見学に近い短期インターンであれば、従業員等といえるか慎重な検討が必要です。一方で、雇用契約やこれに近い契約関係があり、会社の指揮命令のもとで就業体験を行っているような場合には、実態に応じた判断が必要になります。


インターン生が「従業員等」に該当するかを確認する

インターン交通費で出張旅費等特例を検討する場合、最大のポイントは、インターン生が従業員等に該当するかどうかです。


形式的に「インターン」と呼んでいても、その内容は会社によって大きく異なります。

たとえば、次のような要素を確認しておくとよいでしょう。

  • 雇用契約があるか

  • 業務委託契約や研修契約などの契約関係があるか

  • 会社の指揮命令を受けて作業を行うか

  • 報酬や賃金の支払いがあるか

  • 就業時間や参加日が会社によって管理されているか

  • 交通費の支給基準が社内規程等に定められているか

  • 通常必要と認められる範囲の金額か


出張旅費等特例を利用するには、「交通費を支給している」という事実だけでは不十分です。インターン生との関係性や支給の実態を確認し、税務調査等で説明できるようにしておくことが重要です。


実務上おすすめの対応

インターン交通費の処理は、採用担当者と経理担当者の連携が欠かせません。


採用活動の現場では、学生に分かりやすく案内することが優先されがちですが、経理処理を後回しにすると、インボイスの保存漏れや帳簿記載の不備が起こりやすくなります。


実務上は、次のようなルールを事前に決めておくとよいでしょう。

  • 交通費を実費精算するのか、一律支給するのかを決める

  • 実費精算の場合、対象となる交通手段と上限額を決める

  • 3万円未満の鉄道・バス等は公共交通機関特例として帳簿記載する

  • 航空券や3万円以上の交通費はインボイス保存を原則とする

  • 学生が立て替える場合、会社名宛のインボイス取得を案内する

  • 学生名義のインボイスしかない場合は立替金精算書等を保存する

  • 一律支給の場合は、出張旅費等特例の対象になるか確認する

  • インターン生との契約関係や支給基準を文書化する


特に、遠方学生を対象に交通費を支給する場合や、航空機・新幹線・宿泊費を伴う場合は、金額が大きくなりやすいため、書類保存のルールを明確にしておきましょう。


帳簿に記載しておきたい内容

公共交通機関特例や出張旅費等特例により、帳簿のみで仕入税額控除を受ける場合でも、帳簿への記載は必要です。


一般的には、次のような内容を帳簿や経費精算データに残しておくとよいでしょう。

  • 取引年月日

  • 支払先または利用交通機関

  • 利用区間

  • 支払金額

  • インターンシップ参加に伴う交通費であること

  • 公共交通機関特例または出張旅費等特例の対象であること

  • 参加者名・参加日、参加目的


帳簿に「公共交通機関特例」などと明記しておくことで、後から確認した際に、なぜインボイスを保存していないのか説明しやすくなります。


インボイス制度では、書類の有無だけでなく、帳簿の記載内容も重要です。経費精算システムを利用している会社であれば、摘要欄やメモ欄に特例名を入力できるようにしておくとよいでしょう。


まとめ

インターンシップ参加者に交通費を支給する場合、インボイス制度上の取扱いは、支給方法や交通手段によって異なります。


3万円未満の鉄道・バス・船舶等については、公共交通機関特例により、一定事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合があります。


一方で、航空機の利用や3万円以上の交通費については、原則としてインボイスの保存が必要になります。学生が会社名ではなく自分の名前でインボイスを受け取ってしまった場合には、会社の支出であることを示す立替金精算書等をあわせて保存することが重要です。


また、交通費を一律支給する場合には、出張旅費等特例の対象になるかどうかを検討する必要があります。ただし、この特例は従業員等に支給する通常必要な旅費等が対象であるため、インターン生が従業員等に該当する契約関係や実態があるかを確認しておくことが大切です。


インターン交通費は、採用活動の一環として発生する身近な支出ですが、インボイス制度では保存すべき書類や帳簿記載が変わります。


採用担当者と経理担当者が連携し、交通費の支給方法、インボイスの取得方法、帳簿への記載内容を事前に整理しておきましょう。


インターン交通費の消費税処理やインボイス対応に不安がある場合は、早めに税理士へ相談することをおすすめします。



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【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。

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