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贈与税の特例税率と一般税率の違いとは?親子・祖父母・夫婦・兄弟間の贈与を税理士が解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 2 日前
  • 読了時間: 12分

こんばんは!代表の安田です。


親や祖父母から子や孫へ財産を渡す場合、贈与税がかかることがあります。

贈与税というと、「年間110万円までは非課税」という基礎控除のイメージが強いかもしれません。


しかし、実際の贈与税計算では、110万円を超えた後にどの税率を使うかが重要です。


暦年課税の贈与税には、大きく分けて「一般税率」と「特例税率」があります。

父母や祖父母などの直系尊属から、一定年齢以上の子や孫が贈与を受けた場合には、特例税率を使います。


一方、兄弟間、夫婦間、第三者間、親から未成年の子への贈与などは、一般税率を使います。


同じ金額の贈与であっても、一般税率か特例税率かによって、贈与税額が変わることがあります。特に、基礎控除後の課税価格が300万円を超える贈与では、特例税率の方が一般税率よりも税負担が軽くなる場合があります。


本日は、贈与税の一般税率と特例税率の違い、直系尊属からの贈与の判定、親子・祖父母・夫婦・兄弟間の贈与で使う税率、教育資金贈与や結婚・子育て資金贈与の改正ポイントを解説します。


贈与税の基本は暦年課税

贈与税の基本的な課税方式は、暦年課税です。

暦年課税では、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額を計算します。


そこから基礎控除額110万円を差し引き、残った金額に贈与税率を掛けて税額を計算します。


たとえば、1年間に500万円の贈与を受けた場合、まず500万円から基礎控除110万円を差し引きます。基礎控除後の課税価格は390万円です。


この390万円に税率を掛け、控除額を差し引いて贈与税額を計算します。

ここで問題になるのが、一般税率を使うのか、特例税率を使うのかという点です。


一般税率とは

一般税率とは、特例税率の対象にならない贈与について使う贈与税率です。

たとえば、次のような贈与では一般税率を使います。

  • 兄弟姉妹間の贈与

  • 夫婦間の贈与

  • 叔父・叔母から甥・姪への贈与

  • 友人や第三者からの贈与

  • 親から未成年の子への贈与

  • 義父母からの贈与

  • 会社の代表者個人から従業員個人への贈与


ポイントは、直系尊属からの贈与であっても、受贈者が一定年齢に達していない場合は一般税率になることです。


たとえば、父から子への贈与であっても、その子が贈与年の1月1日に18歳未満であれば、特例税率ではなく一般税率を使います。


特例税率とは

特例税率とは、父母や祖父母などの直系尊属から、一定年齢以上の子や孫などが贈与を受けた場合に使う税率です。


平成27年1月1日以後、直系尊属から受けた一定の贈与は「特例贈与財産」とされ、贈与税の計算上、特例税率を適用することになりました。


特例税率を使うための主な要件は、次の2つです。


1つ目は、贈与者が直系尊属であることです。

直系尊属とは、父母、祖父母、曾祖父母など、自分より上の世代で直系の親族をいいます。


2つ目は、受贈者が贈与を受けた年の1月1日において18歳以上であることです。

なお、令和4年3月31日以前の贈与については、年齢要件は20歳以上でした。


したがって、現在の取扱いでは、贈与年の1月1日時点で18歳以上の子や孫が、父母や祖父母から贈与を受けた場合、特例税率を使います。


一般税率と特例税率の違い

一般税率も特例税率も、税率自体は10%から55%までの8段階の超過累進税率です。

ただし、課税価格ごとの区分や控除額が異なります。


特例税率は、一定金額以上の贈与について、一般税率よりも税負担が軽くなるように設計されています。


特に、基礎控除後の課税価格が300万円を超え、4,500万円以下の範囲では、一般税率よりも特例税率の方が有利になる場面があります。


一方、基礎控除後の課税価格が200万円以下であれば、一般税率でも特例税率でも税率は10%で同じです。


そのため、少額の贈与では税額差が出ないこともあります。


具体例:500万円の贈与を受けた場合

贈与税率の違いを、500万円の贈与で確認してみましょう。

まず、贈与財産の価額500万円から基礎控除110万円を差し引きます。

基礎控除後の課税価格は390万円です。


一般税率の場合、390万円に対する税率は20%、控除額は25万円です。

計算式は、390万円×20%-25万円です。

贈与税額は53万円です。


一方、特例税率の場合、390万円に対する税率は15%、控除額は10万円です。

計算式は、390万円×15%-10万円です。

贈与税額は48万5,000円です。


このケースでは、特例税率を使う方が4万5,000円税負担が軽くなります。

同じ500万円の贈与でも、誰から誰への贈与かによって税額が変わるということです。


親から子への贈与でも一般税率になるケース

親から子への贈与であれば、常に特例税率を使えると思われがちですが、そうではありません。


特例税率を使うには、受贈者が贈与年の1月1日において18歳以上である必要があります。

たとえば、父から17歳の子へ500万円を贈与した場合、その子は18歳未満です。


この場合、贈与者は直系尊属である父ですが、受贈者の年齢要件を満たさないため、一般税率を使います。


また、令和4年3月31日以前の贈与については、年齢要件が20歳以上でした。

過去の贈与税申告を確認する場合には、贈与時期によって年齢要件が違う点にも注意が必要です。


義父母からの贈与は特例税率になるか

夫の父母や妻の父母から贈与を受ける場合、特例税率を使えるのでしょうか。

原則として、使えません。


特例税率の対象となる直系尊属は、受贈者本人から見た父母や祖父母などです。

配偶者の父母は、姻族であって、受贈者本人の直系尊属ではありません。


したがって、たとえば妻が夫の父から贈与を受けた場合、その贈与は特例贈与財産ではなく、一般贈与財産になります。この場合は一般税率を使います。


ただし、養子縁組などにより法律上の親子関係がある場合には、別途判定が必要です。


祖父母から孫への贈与

祖父母から孫への贈与は、特例税率の代表的なケースです。


孫が贈与年の1月1日時点で18歳以上であれば、祖父母からの贈与について特例税率を使えます。


たとえば、祖父が大学生の孫に500万円を贈与する場合、孫がその年1月1日に18歳以上であれば、特例税率の対象です。


一方、孫が未成年で、贈与年の1月1日に18歳未満であれば、祖父母からの贈与であっても一般税率になります。


祖父母から孫への贈与は相続税対策として使われることがありますが、年齢要件や贈与税額の確認が欠かせません。


一般贈与財産と特例贈与財産の両方がある場合

同じ年に、一般贈与財産と特例贈与財産の両方を受け取ることもあります。

たとえば、18歳以上の人が、父から400万円、配偶者から100万円の贈与を受けた場合です。


父からの贈与は特例贈与財産です。

配偶者からの贈与は一般贈与財産です。


この場合、単純にそれぞれ110万円の基礎控除を使うわけではありません。

基礎控除110万円は、その年の贈与全体に対して1回だけ適用されます。


そして、一般贈与財産と特例贈与財産の割合に応じて、一般税率で計算した税額と特例税率で計算した税額を按分して、納付税額を計算します。


同じ年に複数の人から贈与を受ける場合には、税率区分を整理してから申告する必要があります。


住宅取得等資金贈与の非課税特例との関係

直系尊属からの贈与には、いくつかの非課税特例があります。


代表的なものが、住宅取得等資金贈与の非課税特例です。

これは、父母や祖父母など直系尊属から、住宅取得等資金の贈与を受けた場合に、一定要件を満たせば一定額まで贈与税が非課税になる制度です。


この制度では、非課税限度額までの部分については贈与税がかかりません。

ただし、住宅取得等資金贈与の非課税特例を使っても、非課税限度額を超える贈与残額がある場合には、その残額について贈与税が課されます。


その残額が直系尊属から18歳以上の子や孫などへの贈与であれば、原則として特例税率を使うことになります。


つまり、住宅取得等資金贈与では、非課税枠を超えた残額について、特例税率の適用を検討します。


結婚・子育て資金贈与の非課税特例

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例も、直系尊属からの贈与を対象とする制度です。

父母や祖父母などから、18歳以上50歳未満の子や孫などに対し、結婚・子育て資金として一定額を一括贈与する場合に、一定要件のもと非課税となります。


対象となる資金には、結婚式費用、住居費用、妊娠・出産・育児に関する一定の費用などがあります。


こちらも金融機関等との資金管理契約を通じて行なう制度です。

教育資金贈与と同じく、資金管理契約が終了した時点で残額がある場合には、その残額について贈与税が問題になります。


そして、この残額の税率についても、令和5年度税制改正で見直しが行われています。


令和5年度改正:教育資金・結婚子育て資金の残額は一般税率へ

令和5年度改正前は、結婚・子育て資金贈与の資金管理契約が終了し、非課税拠出額から支出額を控除した残額がある場合、一定の場合には特例税率で贈与税が課されていました。


つまり、もともとの贈与者が直系尊属であることを前提に、残額についても特例税率を使う取扱いがありました。


しかし、令和5年度改正により、結婚・子育て資金贈与の資金管理契約終了後の残額については、一般贈与財産とみなして一般税率を適用することになりました。


この改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税に適用されます。

そのため、これらの非課税特例を使う場合には、契約終了時に残額を出さないよう、資金の使い道や利用計画を慎重に考える必要があります。


なぜ残額の一般税率化に注意が必要なのか

結婚・子育て資金贈与は、一定額まで非課税になる有利な制度です。


しかし、使い切れずに残額が出ると、その残額に贈与税がかかることがあります。


さらに、令和5年度改正後は、その残額について一般税率が適用されることになりました。

一般税率は、一定の課税価格の範囲では特例税率よりも税負担が重くなります。


そのため、非課税枠があるからといって、必要額を大きく超えて資金を拠出すると、契約終了時に思わぬ税負担が生じる可能性があります。


結婚・子育て資金の場合、受贈者が50歳に達した場合などに契約終了が問題になります。

制度を利用する際には、非課税枠の大きさだけでなく、最終的に残額が出た場合の課税も考慮しましょう。


贈与税の税率判定でよくある誤解

贈与税の一般税率と特例税率について、実務上よくある誤解を整理します。


  • 親から子への贈与なら必ず特例税率

受贈者が贈与年1月1日に18歳未満であれば、親から子への贈与でも一般税率を使います。


  • 義父母からの贈与も特例税率

配偶者の父母は、受贈者本人の直系尊属ではありません。

そのため、通常は一般税率になります。


  • 贈与者ごとに110万円の基礎控除がある

基礎控除110万円は、受贈者1人につき、その年の贈与全体に対して1回だけ適用されます。

父から100万円、祖母から100万円、友人から50万円をもらった場合、合計250万円から110万円を控除して計算します。


  • 結婚・子育て資金贈与なら最後まで完全非課税

契約終了時に残額がある場合には、贈与税が課されることがあります。

令和5年度改正後は、その残額について一般税率が適用される点に注意が必要です。


贈与前に確認したいチェックポイント

贈与を行なう前には、次の点を確認しましょう。

  • 贈与者は誰か

  • 受贈者は誰か

  • 贈与者は受贈者の直系尊属か

  • 受贈者は贈与年1月1日に18歳以上か

  • 同じ年に他の人から贈与を受けていないか

  • 基礎控除110万円を超えるか

  • 一般税率と特例税率のどちらを使うか

  • 住宅取得等資金贈与の非課税特例を使えるか

  • 結婚・子育て資金贈与を使う場合、契約終了時に残額が出ないか

  • 相続時精算課税制度を選択するかどうか


贈与税は、贈与した後に税額を見て驚くことが少なくありません。

贈与前に税率区分と税額を試算しておくことが大切です。


贈与契約書と資金移動の記録も重要

贈与税の申告では、贈与が実際に行なわれたことを説明できる資料も重要です。


特に、親族間の贈与では、税務調査や相続税申告時に「本当に贈与だったのか」「名義預金ではないか」が問題になることがあります。


現金贈与や預金贈与を行う場合には、贈与契約書を作成し、振込などで資金移動の記録を残すことが望ましいです。


また、受贈者本人がその財産を管理していることも重要です。

親や祖父母が通帳や印鑑を管理し続けている場合、実質的には贈与が成立していないと見られるリスクがあります。


贈与税の税率だけでなく、贈与の事実を客観的に残すことも意識しましょう。


まとめ

暦年課税の贈与税では、1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除110万円を差し引き、その残額に税率を掛けて贈与税を計算します。


このとき使う税率には、一般税率と特例税率があります。

一般税率は、兄弟間、夫婦間、第三者間、義父母からの贈与、親から未成年の子への贈与など、特例税率の対象にならない贈与に使います。


一方、特例税率は、贈与年の1月1日に18歳以上の人が、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合に使います。


同じ金額の贈与でも、一般税率か特例税率かによって贈与税額が変わることがあります。

たとえば、500万円の贈与では、基礎控除後の課税価格は390万円です。


一般税率なら贈与税額は53万円、特例税率なら48万5,000円となり、特例税率の方が税負担は軽くなります。


ただし、直系尊属からの贈与であっても、受贈者が贈与年1月1日に18歳未満であれば一般税率になります。


また、配偶者の父母からの贈与は、通常、受贈者本人の直系尊属からの贈与ではないため、一般税率を使います。


住宅取得等資金贈与の非課税特例を使い、非課税限度額を超える贈与残額がある場合には、要件を満たせば特例税率で贈与税を計算します。


一方、結婚・子育て資金贈与の非課税特例については、令和5年度税制改正により、資金管理契約終了後に残額がある場合、その残額は一般贈与財産とみなして一般税率を適用するよう見直されました。


この改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税に適用されます。

贈与税は、贈与者と受贈者の関係、受贈者の年齢、贈与財産の種類、非課税特例の利用状況によって税額が変わります。


贈与を行なう場合には、贈与前に一般税率か特例税率かを確認し、必要に応じて贈与税額を試算しておきましょう。


贈与税の申告や相続対策で迷う場合は、税理士へ相談することをおすすめします。


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