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消費税の届出期限に注意|土日祝日でも期限が延長されないケースとは?

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 1 時間前
  • 読了時間: 9分

こんにちは!代表の安田です。


法人税や所得税の申告期限、納付期限については、期限の日が土曜日・日曜日・祝日などに当たる場合、原則としてその翌日が期限になります。


そのため、年末年始や休日をまたぐ場合でも、「次の平日までに出せば大丈夫」と考えている方も多いかもしれません。


しかし、消費税の届出書については注意が必要です。

消費税関係の届出書の中には、土日祝日による期限延長の対象にならないものがあります。

特に、年末までに提出すべき届出書については、12月31日が土日祝日や年末年始の閉庁日に当たる場合でも、翌年の最初の平日に延長されないケースがあります。


本日は、消費税の届出書で誤りやすい提出期限について整理します。


申告期限・納付期限は土日祝日なら延長される

国税の申告、申請、請求、届出、納付などの期限が、日曜日、国民の祝日、その他一般の休日、土曜日、12月29日から12月31日までの日に当たる場合には、原則としてその翌日が期限とされます。国税通則法基本通達でも、1月2日・1月3日は一般の休日に該当するとされています。


たとえば、法人税や消費税の申告期限が日曜日に当たる場合には、通常は翌月曜日が申告期限になります。


また、12月末が期限となる手続についても、12月29日から1月3日までは税務署が閉庁しているため、通常の申告・納付期限であれば、年明けの最初の平日が期限になることがあります。


この感覚が実務では非常に強いため、「税務の期限は休日なら延びる」と思い込みがちです。


ところが、消費税の届出書では、この感覚で処理すると危ないものがあります。


消費税の届出書は「期限」ではなく「適用関係」の問題になることがある

消費税の届出書には、「いつまでに提出するか」という期限が定められているものが多くあります。


ただし、その中には、単なる提出期限というよりも、翌課税期間から制度を適用するための要件として位置づけられているものがあります。


国税通則法基本通達では、期限延長の対象となる「期限」には、単に計算の基準となる期間の末日や、課税内容を定めるための基準となる期間の末日などは含まれないとされています。


そのため、消費税の届出書のうち、たとえば「適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで」と定められているものについては、土日祝日ルールにより当然に翌営業日へ延びるとは考えない方が安全です。


この点が、法人税や所得税の通常の申告期限・納付期限との大きな違いです。


期限延長に注意したい消費税の主な届出書

特に注意したいのは、次のような届出書です。


  • 消費税簡易課税制度選択届出書

簡易課税制度を選択する場合には、原則として「適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで」に届出書を提出する必要があります。


たとえば、12月決算法人が翌期から簡易課税制度を適用したい場合、原則として当期末である12月31日までに届出書を提出する必要があります。


この場合、12月31日が土日や年末年始の閉庁日に当たるからといって、年明けの最初の平日まで当然に延びるとは考えない方がよいでしょう。


簡易課税制度は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、売上に係る消費税額を基礎として仕入控除税額を計算できる制度です。制度選択の有無で納税額が大きく変わることもあるため、提出漏れの影響は大きくなります。


  • 消費税簡易課税制度選択不適用届出書

簡易課税制度の適用をやめる場合にも注意が必要です。


この届出書は、簡易課税制度の選択をやめようとする場合の手続であり、提出時期は「適用をやめようとする課税期間の初日の前日まで」とされています。


設備投資が多い事業年度などでは、簡易課税のままでは仕入税額控除を十分に反映できず、本則課税の方が有利になることがあります。


その場合、不適用届出書を期限までに提出していなければ、想定していた消費税還付や納税額の軽減が受けられない可能性があります。


「来期は設備投資があるから本則課税に戻したい」と考えていても、届出が間に合わなければ手遅れになることがあります。


  • 消費税課税事業者選択届出書

免税事業者が課税事業者になることを選択する場合には、消費税課税事業者選択届出書を提出します。


この届出書の提出時期も、原則として「適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで」です。なお、適用を受けようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中に提出することとされています。


課税事業者を選択するかどうかは、設備投資やインボイス対応、輸出取引の有無などによって重要になります。提出時期を誤ると、予定していた消費税還付を受けられないこともあります。


  • 消費税課税事業者選択不適用届出書

課税事業者の選択をやめ、免税事業者に戻ろうとする場合には、消費税課税事業者選択不適用届出書を提出します。


この届出書の提出時期は、免税事業者に戻ろうとする課税期間の初日の前日までです。ただし、課税事業者を選択した課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ提出できないなどの制限があります。


また、調整対象固定資産を購入した場合などには、届出書を提出できない場合もあるため、単に「来期から免税に戻りたい」と考えるだけでは不十分です。


  • 消費税課税期間特例選択・変更届出書

消費税の課税期間を1か月または3か月に短縮する場合などには、消費税課税期間特例選択・変更届出書を提出します。


この届出書についても、課税期間の特例の適用を受け、または変更しようとする期間の初日の前日までが提出時期とされています。


輸出取引が多く、消費税還付を早期に受けたい場合などには課税期間の短縮を検討することがありますが、届出期限を誤ると、予定していたタイミングで還付を受けられない可能性があります。


12月決算法人・個人事業主は特に注意

消費税の届出期限で特に注意したいのは、12月決算法人や個人事業主です。


個人事業主の場合、消費税の課税期間は原則として暦年です。

そのため、翌年から簡易課税を選択したい、簡易課税をやめたい、課税事業者を選択したい、課税事業者の選択をやめたいといった場合には、原則として前年12月31日までに届出書を提出する必要があります。


12月31日が土曜日や日曜日、年末年始の閉庁日に当たっていても、年明けに提出すればよいとは限りません。


12月決算法人も同様です。

翌期から消費税の取扱いを変更したい場合には、原則として事業年度末までに届出を済ませる必要があります。


「年明け最初の営業日に電子申請すればよい」と思っていると、適用したかった制度が1年遅れる可能性があります。


なぜ消費税の届出は間違いやすいのか

消費税の届出期限が間違いやすい理由は、主に3つあります。


1つ目は、法人税や所得税の申告期限と感覚が違うことです。

多くの税務手続では、休日に当たる期限は翌営業日に延長されるため、同じ感覚で消費税届出も処理してしまいがちです。


2つ目は、届出書の種類が多いことです。

消費税には、課税事業者選択、簡易課税、課税期間特例、インボイス関連、各種不適用届出など、多くの届出書があります。国税庁も、消費税法に定められている各種の届出や承認・許可・登録が必要となる主な手続を一覧で案内しています。


3つ目は、届出の効果が将来の課税期間に及ぶことです。

消費税の届出は、提出したその日に完結するというより、翌課税期間以降の計算方法や納税義務に影響します。

そのため、提出が1日遅れただけでも、制度の適用時期が大きくずれることがあります。


実務上のチェックポイント

消費税の届出漏れを防ぐためには、決算月の前から確認を始めることが重要です。

特に、次のような事項は早めに確認しておきましょう。


まず、翌期の設備投資予定です。

高額な設備投資がある場合、簡易課税のままでよいのか、本則課税に戻すべきかを検討する必要があります。


次に、基準期間の課税売上高です。

簡易課税制度は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税期間でなければ適用できません。


また、インボイス登録の状況や、課税事業者選択の有無も確認が必要です。

さらに、輸出取引や大きな還付が見込まれる取引がある場合には、課税期間の短縮を検討する余地があります。


最後に、過去に提出した消費税関係の届出書を確認することも大切です。

簡易課税を選択しているのか、課税事業者を選択しているのか、課税期間を短縮しているのかによって、翌期の対応は大きく変わります。


消費税届出の管理表を作成しておく

消費税の届出漏れを防ぐには、管理表を作っておくのが有効です。

管理表には、少なくとも次の項目を入れておくとよいでしょう。

  • 決算月

  • 課税事業者、免税事業者の区分

  • 簡易課税の選択有無

  • 課税期間特例の有無

  • インボイス登録の有無

  • 基準期間の課税売上高

  • 翌期の設備投資予定

  • 提出済み届出書

  • 次回確認時期


特に12月決算法人や個人事業主については、12月に入ってから確認するのでは遅いことがあります。


11月中、遅くとも12月上旬には、消費税の届出関係を一度確認しておきたいところです。


まとめ

消費税の届出書は、法人税や所得税の申告期限とは違う感覚で管理する必要があります。

通常の申告・納付期限であれば、土日祝日や年末年始に当たる場合に翌営業日へ延長されることがあります。


しかし、消費税の届出書の中には、「適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで」など、制度の適用関係を定めるものがあり、休日による期限延長が当然には使えないものがあります。


特に、簡易課税制度選択届出書、簡易課税制度選択不適用届出書、課税事業者選択届出書、課税事業者選択不適用届出書、課税期間特例選択・変更届出書などは注意が必要です。


消費税の届出は、提出が1日遅れるだけで、納税額や還付時期に大きな影響が出ることがあります。決算月の直前ではなく、早めに確認し、余裕をもって提出することが大切です。


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【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。

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