省エネ補助金とは?省エネ・非化石転換補助金の対象設備・申請時の注意点を公認会計士・税理士が解説
- 安田亮
- 19 時間前
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こんばんは!代表の安田です。
電気代、ガス代、燃料費の高止まりは、多くの中小企業にとって大きな経営課題です。
特に、製造業、食品加工業、宿泊業、物流業、医療・介護施設、店舗ビジネスなど、エネルギー使用量が多い事業者では、省エネ設備への更新やエネルギー管理の見直しが、コスト削減と収益改善に直結します。
そのような設備投資を支援する代表的な制度が、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金、現在の公募では「省エネ・非化石転換補助金」などとして案内されている省エネ関連補助金です。
この補助金は、省エネ性能の高い設備、工場・事業場全体の省エネ化、エネルギーマネジメントシステム、非化石エネルギーへの転換などを支援する制度です。
本日は、省エネ補助金の概要、対象となる事業者、主な申請類型、対象経費、申請時の注意点、会計・税務上のポイントを、公認会計士・税理士の視点からわかりやすく解説します。
省エネ補助金とは
省エネ補助金とは、事業者が省エネルギー性能の高い設備へ更新したり、工場・事業場全体のエネルギー使用量を削減したりする取組を支援する補助金です。
省エネルギー化を進めることで、エネルギーコストの削減、CO2排出量の削減、設備更新による生産性向上、脱炭素経営への対応などが期待できます。
たとえば、次のような取組が想定されます。
高効率空調への更新
高性能ボイラへの更新
産業ヒートポンプの導入
高効率冷凍冷蔵設備への更新
生産ラインの省エネ化
工場全体のエネルギー使用量の削減
エネルギーマネジメントシステムの導入
電化や非化石燃料への転換
複数設備を組み合わせた省エネ投資
単に古くなった設備を買い替えるだけでなく、設備更新によってどれだけエネルギー使用量や原油換算使用量を削減できるかを示すことが重要です。
対象となる事業者
省エネ補助金の対象となる事業者は、公募区分によって異なりますが、中小企業者等だけでなく、一定のみなし大企業や大企業も対象となる場合があります。
ただし、補助率や補助上限額は、事業者の規模、申請類型、設備内容、省エネ効果などによって異なります。
中小企業の場合は、大企業より補助率が有利になることがあります。
一方で、大企業やみなし大企業については、補助率が低く設定されたり、対象外となる区分があったりするため注意が必要です。
また、申請にあたっては、事業所単位でのエネルギー使用状況、設備更新前後の省エネ効果、投資回収年数、導入設備の仕様などを整理する必要があります。
主な申請類型
省エネ補助金では、公募年度によって名称や区分が変わることがありますが、主に次のような考え方で申請類型が設けられています。
<工場・事業場型<
工場・事業場型は、工場や事業場全体で省エネ効果を高める設備投資を支援する類型です。
既製品の省エネ設備だけでなく、事業場に合わせたオーダーメイド型設備や、生産ライン全体の省エネ化を伴う設備更新などが対象になる場合があります。
たとえば、製造ラインの見直し、高効率設備への更新、複数設備の一体的な導入、エネルギー使用量の大きい設備の更新などが考えられます。
この類型では、設備単体の省エネ性能だけでなく、工場・事業場全体としてどれだけ省エネ効果が出るかが重要です。
<電化・脱炭素燃転型>
電化・脱炭素燃転型は、化石燃料を使用する設備から、電化設備や低炭素・脱炭素につながる設備へ転換する取組を支援する類型です。
たとえば、化石燃料を使うボイラや工業炉などを、高効率な電化設備や低炭素燃料に対応した設備へ更新するケースが考えられます。
この類型では、省エネ効果だけでなく、CO2排出量削減や脱炭素経営への貢献も重要になります。
<エネルギー需要最適化型>
エネルギー需要最適化型は、エネルギーマネジメントシステム、いわゆるEMSを導入し、エネルギー使用量の見える化、分析、制御、最適化を行う取組を支援する類型です。
EMSを導入することで、設備ごとのエネルギー使用量を把握し、ムダな稼働やピーク電力を抑制しやすくなります。
この類型は、工場・事業場型などと組み合わせて申請できる場合があります。設備更新とあわせてEMSを導入することで、単発の省エネ投資ではなく、継続的なエネルギー管理につなげることができます。
<対象となる設備>
補助対象となる設備は、公募区分や申請類型によって異なります。
一般的には、SIIが公表する対象設備に該当する設備や、省エネ効果が確認できる設備が対象になります。たとえば、次のような設備が考えられます。
産業ヒートポンプ
高性能ボイラ
高効率空調
高効率照明
冷凍冷蔵設備
コンプレッサ
変圧器
工作機械
プラスチック加工機械
印刷機械
EMS機器
生産ラインの省エネ化に必要な設備
ただし、設備の単なるオプション追加や、既存設備とほとんど変わらない更新では対象外となる可能性があります。
オーダーメイド型設備については、新規設計の設備、類似設計のカスタマイズ品、複数設備を組み合わせた製造ライン、自動化装置を組み合わせた製造ラインなどが想定されます。
一方で、塩害仕様への変更や取り付け工具の変更など、単なる仕様変更にとどまるものは補助対象外とされる場合があります。
補助対象経費
省エネ補助金の補助対象経費は、主に次の3つです。
設計費
設備費
工事費
設備本体の購入費だけでなく、補助事業に必要な設計費や工事費も対象となる場合があります。ただし、土地代、建物そのものの取得費、既存設備の撤去費、消耗品、補助事業と直接関係しない費用などは対象外となる可能性があります。
また、補助対象となる設備や経費は、公募要領で細かく定められています。見積書を取得する段階で、対象経費と対象外経費を分けて整理しておくことが重要です。
補助上限額と補助率
補助率は、事業区分、設備内容、事業者規模によって異なります。
たとえば、中小企業の場合は大企業より高い補助率が設定されることがあります。一方で、大企業や特定の類型では、補助率が低くなる場合や、対象外となる場合があります。
補助上限額が大きい制度である一方、申請に必要な資料も多く、審査では省エネ効果や投資内容の妥当性が見られます。
補助金額だけを見て判断するのではなく、自己負担額、資金繰り、工期、補助事業期間、補助金入金までの期間を含めて検討することが大切です。
GX推進への取組表明が必要になる場合がある
この補助金は、カーボンニュートラルやGX、すなわちグリーントランスフォーメーションの推進に関係する制度です。
そのため、工場・事業場型や電化・脱炭素燃転型などを申請する場合、GX推進への取組に関する表明が必要になることがあります。
具体的には、温室効果ガス排出削減に向けた取組、企業の成長につながる今後の方針、人材確保に向けた取組などを表明する必要があります。
特に、CO2排出量が多い企業や、燃料転換を伴う事業を行う企業では、単に設備を更新するだけでなく、会社として脱炭素や省エネにどう取り組むのかを示すことが重要です。
パートナー金融機関の確認書による加点措置
最新公募では、パートナー金融機関の支援を受けた中小企業等が、申請時に確認書を添付した場合、審査上の加点措置を受けられる場合があります。
想定される支援内容としては、次のようなものがあります。
中長期計画書の作成支援
補助事業の自己負担分に対する融資
中長期的な設備更新計画の策定支援
省エネ診断の結果を踏まえた設備更新提案
省エネや脱炭素に関する設備更新の提案
省エネ支援機関や省エネ診断機関の紹介
確認書は、補助金の申請前に取得しておく必要があります。
補助金は後払いであり、設備投資にはまとまった自己負担が必要になります。そのため、省エネ補助金を検討する場合は、金融機関への相談も早めに行うことをおすすめします。
申請の流れ
省エネ補助金の申請では、SIIの補助事業ポータルを使って申請書類を作成し、必要書類を郵送する形式が採用されることがあります。
大まかな流れは次のとおりです。
公募要領を確認する
対象となる設備・事業区分を確認する
既存設備のエネルギー使用量を整理する
導入予定設備の仕様・見積書を取得する
省エネ効果を計算する
必要に応じてパートナー金融機関に相談する
SIIホームページでアカウント登録を行う
補助事業ポータルにログインする
申請情報を入力し、申請書類を作成する
必要書類をそろえて郵送する
審査・採択結果を確認する
交付決定後に補助事業を開始する
設備導入・工事・支払いを行う
実績報告を行う
補助金額の確定後、補助金を受け取る
重要なのは、原則として交付決定前に契約、発注、購入、工事、支払いを行なった経費は補助対象外となる可能性がある点です。
設備更新を急ぐ場合でも、補助金を活用するなら交付決定のタイミングを必ず確認する必要があります。
申請時に注意すべきポイント
省エネ補助金は、他の補助金と比べても技術的な確認事項が多い制度です。
特に、次の点に注意が必要です。
まず、省エネ効果の計算です。
既存設備と導入予定設備のエネルギー使用量を比較し、どれだけ省エネ効果があるかを示す必要があります。設備の仕様書、運転時間、燃料使用量、電力使用量などの根拠資料を整理しておきましょう。
次に、対象設備の確認です。
SIIが公表する対象設備やエネマネ事業者、EMS機器に該当するかを確認する必要があります。対象外の設備を前提に申請してしまうと、採択や補助金交付に影響します。
また、申請書類と補助事業ポータルの入力内容が一致していることも重要です。
入力内容と紙の申請書類に不一致がある場合、不備として受理されない可能性があります。申請前に、社名、所在地、設備名称、金額、型番、補助対象経費、事業区分などを丁寧に確認しましょう。
会計・税務上の注意点
省エネ補助金を受け取った場合、法人であれば原則として収益に計上され、法人税の課税対象となります。
個人事業主の場合も、原則として事業所得の収入金額に含まれます。
一方で、この補助金は、国税庁から圧縮記帳等の適用対象となる国庫補助金等に該当する旨の回答が示されている補助金です。
そのため、補助金を使って固定資産を取得した場合には、一定の要件を満たせば、法人税法上の圧縮記帳や、所得税法上の総収入金額不算入の適用を検討できる場合があります。
圧縮記帳を行なうと、補助金を受け取った年度の税負担を一定程度繰り延べることができます。ただし、税金が完全になくなるわけではありません。将来の減価償却費が少なくなるため、課税時期を調整する制度です。
また、補助金収入そのものは通常、消費税の課税売上には該当しません。ただし、設備取得に係る消費税、税込・税抜の補助対象経費、仕入税額控除の取扱いには注意が必要です。
補助金申請だけでなく、固定資産台帳、減価償却、圧縮記帳、消費税、資金繰りまで含めて検討することが重要です。
省エネ補助金が向いている事業者
省エネ補助金は、次のような事業者に向いています。
電気代、ガス代、燃料費の負担が大きい
古い設備を高効率設備に更新したい
工場や事業場全体の省エネ化を進めたい
CO2排出量を削減したい
脱炭素経営やGXへの対応を進めたい
高効率空調、ボイラ、冷凍冷蔵設備などを導入したい
エネルギーマネジメントシステムを導入したい
省エネ診断の結果をもとに設備更新を検討している
金融機関と連携して設備投資を進めたい
特に、エネルギー使用量が多い事業者では、補助金を活用することで設備投資の負担を軽減しながら、長期的なコスト削減につなげられる可能性があります。
一方で、投資額が小さい場合や、省エネ効果が十分に示せない場合、対象設備に該当しない場合には、別の補助金や税制措置を検討した方がよいケースもあります。
まとめ
省エネ補助金は、省エネ設備への更新、工場・事業場全体の省エネ化、エネルギーマネジメントシステムの導入、非化石転換などを支援する制度です。
補助対象経費には、設計費、設備費、工事費などが含まれ、事業区分や事業者規模によって補助率・補助上限額が異なります。
最新公募では、「省エネ・非化石転換補助金」として案内され、工場・事業場型や設備単位型などの区分で公募が行われています。また、中小企業等がパートナー金融機関の確認書を添付することで、審査上の加点措置を受けられる場合があります。
ただし、省エネ補助金は、対象設備、省エネ効果の計算、GX推進への取組表明、SIIポータルでの入力、郵送書類の整備など、確認すべき事項が多い制度です。
さらに、補助金は原則として後払いであり、交付決定前の発注・契約・支払いは補助対象外となる可能性があります。
活用を検討する場合は、設備投資の内容、省エネ効果、資金繰り、税務処理まで含めて、早めに準備を進めることをおすすめします。
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【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。





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