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2027年4月から飲食料品の消費税1%へ?経過措置・簡易課税・総額表示の検討内容を解説

執筆者の写真: 安田亮
安田亮
11 分前
読了時間: 11分

こんにちは!代表の安田です。


2027年4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を現在の8%から1%へ引き下げることに向け、具体的な制度設計の議論が始まっています。


自民党税制調査会は2026年8月26日に小委員会を開催し、税率引下げに伴って必要となる経過措置や実務上の課題について検討を開始しました。


今回議論されているのは、単に「食品の税率を8%から1%へ変更する」という話だけではありません。


例えば、

  • 簡易課税から本則課税へ変更したい事業者への特例

  • 簡易課税の「2年縛り」への対応

  • 総額表示義務の特例

  • 消費税の中間申告額が過大となる場合の調整

  • 予約販売・通信販売に8%を適用する経過措置

など、事業者の経理・販売実務へ直接影響する論点が検討されています。


本日は、2027年4月に予定される飲食料品の消費税率引下げについて、現時点で示されている経過措置等の検討内容を税理士が整理します。


2027年4月から飲食料品の消費税率を1%へ

資料によると、2027年4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を引き下げることを前提として議論が進められています。


現行の配分比率を前提とした場合、1%の内訳は次のようになるとされています。

区分

税率

国税相当分

0.78%

地方税相当分

0.22%

合計

1%


ただし、2026年8月時点では制度設計を議論している段階です。

9月に消費税減税に係る大綱を決定し、その後、秋の臨時国会へ関連法案を提出する見込みとされています。


1%になる飲食料品の範囲は現在の8%対象と同じ予定

今回の検討では、1%の対象となる飲食料品の範囲について、現在8%の軽減税率が適用されている飲食料品から変更しない方向が示されています。


つまり、現時点の案では、現在8%の軽減税率対象となっている飲食料品↓2027年4月から1%という考え方です。


事業者側から見ると、対象商品の範囲そのものを一から判定し直すというより、現在「軽減税率8%」として管理している商品について税率変更へ対応することが想定されます。


新聞は1%への引下げ対象外

現在の軽減税率8%は飲食料品だけではなく、週2回以上発行される新聞の定期購読

にも適用されています。


しかし、今回の1%への税率引下げについては、新聞を対象外とする方向が示されています。


<現時点の整理>

対象

現在

2027年4月以降の検討案

軽減税率対象の飲食料品

8%

1%

一定の新聞の定期購読

8%

1%引下げの対象外

その他の課税取引

10%

資料では変更の記載なし

「現在8%のものがすべて1%になる」というわけではない点に注意が必要です。


簡易課税から本則課税へ変更したい事業者への特例を検討

消費税率が8%から1%へ大きく下がると、飲食料品を取り扱う事業者では、仕入れと売上げの税率関係によって消費税の納税額・還付額へ影響が生じる可能性があります。


そこで今回、簡易課税事業者などが本則課税へ変更したい場合について、特例措置の必要性が議論されています。


2027年4月を含む課税期間がすでに開始している場合、通常の届出期限では税率変更後に本則課税へ移行できないケースが想定されています。


そのため、本則課税へ移行するための届出書の提出期限について特例を設けることが検討されています。


簡易課税の「2年縛り」にも特例を検討

簡易課税制度については、一度選択すると一定期間変更できない、いわゆる「2年縛り」が問題になる場合があります。


今回のように税率が大きく変わると、「本則課税へ変更したいが、簡易課税を選択してから2年経過していないので変更できない」という事業者が生じる可能性があります。


そこで、簡易課税の2年縛りについても特例を設ける必要があるのではないかという論点が示されています。


<検討されている簡易課税関係の論点>

論点

検討内容

本則課税への変更

届出期限の特例

簡易課税選択後2年未満

2年縛りの特例

飲食料品を販売する簡易課税事業者

簡易課税制度内での特例も検討

ただし、具体的な要件・適用方法は、今回の資料ではまだ確定していません。


総額表示義務にも特例を検討

消費税率が変更されれば、スーパー、コンビニ、飲食料品店、ECサイトなどでは価格表示の変更も必要になります。


現在、消費者向けに商品価格を表示する場合には、原則として税込価格を表示する「総額表示義務」があります。


しかし、税率変更日にすべての商品について値札、棚札、カタログ、Webサイト等を一斉に修正することが困難なケースも想定されます。


そこで、税率変更時に直ちに総額表示へ対応することが困難な事情がある場合の特例について検討する必要性が示されています。


小売業ではシステムだけでなく価格表示も要注意

食品販売事業者では、税率変更に伴って例えば次の対応が必要になる可能性があります。

項目

主な対応

POSレジ

1%税率への対応

商品マスター

税率区分の変更

値札・棚札

税込価格表示の変更

ECサイト

商品価格・税率表示の変更

カタログ

税込価格表示の確認

請求書

税率別表示への対応

今回検討されている総額表示の特例は、こうした大量の商品を扱う事業者にとって重要な論点となります。


中間申告の税額が過大になる問題にも対応

消費税の中間申告では、原則として前期の納税実績などを基礎に中間納付額を計算する仕組みがあります。


しかし、飲食料品の税率が8%から1%へ下がれば、対象事業者では2027年度の実際の納税額が前年より大きく減少する可能性があります。


その一方、前年実績をそのまま利用すると、中間申告時に実際の納税見込額より多額の税金を先に納めることになるケースも想定されます。


そこで、前年の確定申告について、仮に新税率1%が適用されていたものとして納付税額を計算し直し、その金額を基礎として中間申告額を計算できる特例を設ける案が示されています。


予約販売・通信販売には「8%」を適用する経過措置案

税率変更では、「いつ契約したか・いつ代金を受け取ったか・いつ商品を渡したか」が税率判定上問題となります。


特に今回検討されているのが、

  • 定期供給契約による予約販売

  • 通信販売

です。


一定の条件を満たす取引については、2027年4月以後に商品を提供する場合でも、引下げ前の8%を適用する経過措置を設ける案が示されています。


予約販売の経過措置案

例として、「1年分の代金を先払いし、旬の食材が毎月届く」という定期供給契約を考えてみましょう。


検討案では、

  • 指定日前に契約を締結

  • 定期的・継続的に商品を供給する契約

  • 税率引下げ時までに対価を受領

という場合、受領済みの部分について旧税率8%で申告納税することが想定されています。


<予約販売のイメージ>

時点

内容

指定日前

定期供給契約を締結

2027年4月まで

代金を受領

2027年4月以降

商品を順次発送

税率

一定の場合は8%


通信販売の経過措置案

通信販売についても経過措置が検討されています。


  • おせち料理

  • 中元

  • 歳暮

などのカタログ販売が例示されています。


検討案では、指定日前に提示した販売条件に従い、税率引下げ時までに申込みを受けた商品については、引下げ前の税率8%を適用する考え方が示されています。


<通信販売のイメージ>

条件

取扱い案

指定日前に販売条件を提示

必要

2027年4月までに申込み

必要

商品の発送が2027年4月以後

あり得る

適用税率

一定の場合は8%


「指定日」は税率変更の3か月前を想定

予約販売・通信販売の経過措置については、税率変更日の3か月前を指定日とする案が示されています。


2027年4月1日が税率変更日であれば、3か月前という考え方になります。

ただし、具体的な日付・法的要件については今後の大綱・法案を確認する必要があります。


食品の通販事業者は契約日・申込日の管理が重要に

経過措置が実際に導入された場合には、通信販売や予約販売を行なう事業者は、

  • 販売条件を提示した日

  • 契約日

  • 申込日

  • 入金日

  • 発送日

  • 商品の引渡日

などを管理する必要が出てきます。


単に「2027年4月1日以後に売ったから1%」と判断できない取引が発生する可能性があります。


農林水産業・外食産業には別途予算措置を検討

資料では、軽減税率対象の飲食料品を販売する農林水産業や、外食産業への対応についても触れられています。


これらについては、税制上の経過措置とは別に、基本方針に沿って予算措置を検討するとされています。


ただし、今回の資料では具体的な支援内容までは示されていません。


2029年度の「所得連動給付」に向けた準備も

今回、消費税率引下げだけでなく、将来の「所得に連動したきめ細かな給付」についても検討事項が示されています。


2029年度の本格導入に向けて、例えば16歳以上19歳未満の扶養親族の人数など、自治体が給付に必要な情報を把握できるようにする措置を検討するとされています。


したがって、今回の消費税率引下げは、将来の給付制度まで含めた制度設計の一部として議論されています。


企業が今後確認しておきたいポイント

現時点ではまだ検討段階なので、直ちに経理システムを変更する必要はありません。

一方、食品を扱う企業は今後の制度確定に備え、次の事項を確認しておくとよいでしょう。

チェック項目

確認内容

対象商品

現在8%の飲食料品を把握しているか

簡易課税

現在選択しているか

本則課税

変更した場合の有利不利を検討できるか

POS

1%税率に対応可能か

価格表示

税率変更時に一括変更できるか

中間申告

前年実績との差が大きくならないか

予約販売

前受取引があるか

通信販売

申込日・条件提示日を管理できるか

契約

税率変更条項を確認したか

最新情報

9月の大綱・関連法案を確認する

特に影響が大きい事業者

今回の資料から考えると、次のような企業は今後の制度確定を特に注視する必要があります。

  • スーパー

  • 食品卸売業

  • 食品メーカー

  • EC・通販事業者

  • 定期購入サービス

  • 農林水産業

  • 飲食店・外食事業者

  • 簡易課税を選択している食品関連事業者


特に、予約販売や前受金を多く扱う食品EC事業者は、経過措置の内容によって実務が大きく変わる可能性があります。


よくある疑問

Q. 2027年4月から飲食料品は必ず1%になりますか?

A. 今回、2027年4月1日から2年間の税率引下げに向けて議論が開始された段階です。9月に大綱を決定し、秋の臨時国会へ関連法案を提出する見込みとされており、資料時点では法制化前です。


Q. 現在8%の新聞も1%になりますか?

A. 週2回以上発行される新聞の定期購読分は、今回の1%への引下げ対象から除外する方向が示されています。


Q. 簡易課税を選択中ですが、本則課税へ変更できますか?

A. 税率引下げに対応するため、届出期限や簡易課税の「2年縛り」について特例を設けることが検討されています。具体的な要件はまだ確定していません。


Q. 2027年4月以後に発送する食品は必ず1%ですか?

A. 必ずしもそうなるとは限りません。一定の予約販売や通信販売について、条件を満たせば旧税率8%を適用する経過措置案が示されています。


まとめ

2027年4月1日から予定される飲食料品の消費税率引下げについて、具体的な経過措置等の議論が始まっています。


今回の示された主なポイントは次のとおりです。

  • 2027年4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を1%へ引き下げる方向

  • 1%の対象となる飲食料品の範囲は現在の軽減税率対象から変更しない方向

  • 一定の新聞は1%への引下げ対象外

  • 本則課税への変更に係る届出期限の特例を検討

  • 簡易課税の「2年縛り」にも特例を検討

  • 総額表示義務について経過的な特例を検討

  • 中間申告額が過大になる事業者への調整措置を検討

  • 一定の予約販売・通信販売について旧税率8%を適用する経過措置案

  • 農林水産業・外食産業には別途予算措置を検討


特に食品関連事業者にとっては、単にレジの税率を8%から1%へ変更すれば終わる話ではありません。


簡易課税の選択状況、価格表示、前受金、予約販売、通販、中間申告など、経理・販売の幅広い業務へ影響する可能性があります。


もっとも、2026年8月時点では検討案です。制度が確定するまではシステム変更等を急ぐのではなく、今後公表される大綱・関連法案を確認しながら、自社への影響を整理しておくとよいでしょう。



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【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。


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