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家賃・税理士報酬・弁護士報酬のインボイスは毎月必要?契約書と通帳で仕入税額控除する方法を解説

執筆者の写真: 安田亮
安田亮
10 時間前
読了時間: 10分

おはようございます!代表の安田です。


事務所の家賃や税理士・弁護士への顧問報酬などは、毎月同じ金額を支払っていることが多く、毎回請求書を受け取っていない会社もあるでしょう。


そこでインボイス制度開始後に問題となるのが、「毎月インボイスを発行してもらわないと仕入税額控除を受けられないのか」という点です。


結論からいうと、事務所家賃や月額顧問報酬などについても、仕入税額控除を受けるためには原則としてインボイスの保存が必要です。


ただし、必ず毎月1枚のインボイスを発行してもらう必要があるわけではありません。

契約書に登録番号、取引内容、税率、消費税額など必要な事項が記載されており、実際の取引年月日を通帳等で確認できるのであれば、複数の書類を組み合わせてインボイスの記載事項を満たすことができます。


本日は、家賃、税理士報酬、弁護士報酬など毎月定額の支払いについて、インボイスの保存方法、契約書に記載したい事項、支払側が注意したいポイントを解説します。


毎月定額の家賃・顧問報酬もインボイス保存が必要

例えば、次のような支払いがあります。

  • 事務所の家賃

  • 店舗の家賃

  • 税理士への月額顧問料

  • 弁護士への月額顧問料

  • その他の毎月定額の業務委託料


こうした支払いでは、契約締結時に金額が決まっているため、毎月請求書を発行せず、自動振込や口座振替だけで支払いを続けているケースがあります。


しかし、インボイス制度下で仕入税額控除を受けるためには、こうした月額固定費についてもインボイスの保存が原則として必要とされています。


毎月インボイスを発行してもらう必要はない

ここが今回の重要なポイントです。


インボイスは、必ずしも1枚の書類だけで全ての必要事項を満たす必要はありません。

複数の書類について相互の関連性が明確であれば、それらを合わせてインボイスの記載事項を満たすことができます。


例えば、「契約書+通帳」という組み合わせです。


<基本イメージ>

書類

確認する内容

契約書

登録番号、取引内容、金額、税率、消費税額等

通帳・振込記録

実際の取引年月日

両方を保存

全体としてインボイス要件を満たす

したがって、毎月の家賃について賃貸人へ毎回請求書の発行を依頼する必要がない場合があります。


契約書と通帳で満たせるインボイスの6項目

インボイスの記載事項と、それぞれを契約書・通帳のどちらで確認するかが整理されています。

インボイスの記載事項

主な確認書類

① 適格請求書発行事業者の氏名・名称、登録番号

契約書

② 取引年月日

通帳等

③ 取引内容

契約書

④ 税率ごとに区分した対価の額・適用税率

契約書

⑤ 税率ごとに区分した消費税額等

契約書

⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名・名称

契約書

このように、取引年月日だけを通帳等で補完し、それ以外を契約書で確認する形でも対応できます。


事務所家賃の場合

例えば、法人が毎月11万円の事務所家賃を銀行振込で支払っているとします。


契約書に、

  • 賃貸人の名称

  • 適格請求書発行事業者の登録番号

  • 事務所賃貸という取引内容

  • 月額賃料

  • 適用税率

  • 消費税額

  • 賃借人である法人名

などが記載されているとします。


一方、毎月の実際の支払日は通帳の振込履歴で確認します。


この場合、「賃貸借契約書+通帳」を合わせて保存することで、インボイスの記載事項を満たせるという考え方です。


税理士報酬・弁護士報酬でも同じ考え方

この取扱いは家賃だけではありません。

  • 税理士への月次顧問報酬

  • 弁護士への月次顧問報酬

についても同様です。


例えば、税理士との顧問契約書に必要事項が記載され、毎月の支払日を通帳で確認できるのであれば、毎月インボイスを新たに発行してもらわなくてもよい場合があります。


<対象になりやすい例>

支払い

契約書+通帳方式

事務所家賃

利用可能

税理士の月額顧問料

利用可能

弁護士の月額顧問料

利用可能

毎月定額の継続的な業務委託料

契約内容により検討

重要なのは「毎月定額だから自動的に認められる」ということではなく、保存する書類全体で必要事項を確認できることです。


インボイス制度開始前から続く契約は要チェック

特に注意したいのが、インボイス制度開始前から締結している賃貸借契約や顧問契約です。

古い契約書には、当然ながら、

  • 適格請求書発行事業者の登録番号

  • 適用税率

  • 消費税額

などが記載されていない可能性があります。


この場合、添付資料では、売手から不足する情報の通知を受け、その通知書を契約書・通帳等とともに保存する方法が示されています。


<既存契約で確認したい事項>

  • 登録番号

  • 取引内容

  • 月額料金

  • 適用税率

  • 消費税額

  • 買手の名称


不足している事項があれば、貸主・税理士・弁護士などから書面等で通知を受け、合わせて保存することを検討します。


契約書自体をインボイス対応へ更新する方法もある

既存契約について不足項目を別紙で補う方法のほか、契約書そのものをインボイス制度に対応した内容へ変更する方法もあります。


従来からある契約について記載内容を確認し、不足する項目を把握するとともに、契約書を更新することが一案です。


特に長期間継続する契約であれば、毎年不足資料を探すより、契約書を整理しておいた方が経理実務は簡単になります。


新しく契約するなら最初から必要事項を入れておく

インボイス制度開始後に新たな契約を締結する場合には、契約書作成時点で必要事項を盛り込んでおくと便利です。


取引年月日以外のインボイス記載事項を契約書に入れておけば、その後の処理がスムーズになります。


<新規契約時に入れておきたい項目>

  • 適格請求書発行事業者の登録番号

  • 取引内容

  • 月額料金

  • 税抜・税込の区分

  • 適用税率

  • 消費税額等

  • 契約当事者の名称

実際の支払日は通帳等で確認する形にしておけば、継続的なインボイス管理を簡素化できます。


相手がインボイス発行事業者か確認する

書類の形式だけ整っていても、そもそも売手が適格請求書発行事業者でなければ、原則として通常のインボイスとして仕入税額控除を行なうことはできません。


そのため、支払側では、

  • 賃貸人

  • 顧問税理士

  • 顧問弁護士

などが、適格請求書発行事業者かどうかを確認する必要があります。


契約の途中で登録がなくなる可能性にも注意

もう一つ注意したいのが、契約開始時には登録事業者だった相手が、契約期間中に登録事業者でなくなるケースです。


売手が適格請求書発行事業者でなくなれば、その時点から仕入税額控除に影響するため、継続的な確認が必要と言えます。


毎月請求書を受け取っていれば登録番号の記載から気づきやすい一方、契約書と口座振替だけで何年も支払い続けている場合は、登録状況の変化に気づきにくくなります。


契約書に「登録取消時の通知条項」を入れる

その対策として、契約書に例えば、

適格請求書発行事業者でなくなった場合には速やかに通知する

という趣旨の条項を設ける方法が考えられます。


<契約上確認しておきたい事項>

項目

内容

登録番号

契約時に記載

登録状況変更

相手に通知義務を設ける

消費税率変更

契約金額との関係を整理

書類保存

契約書・通知書・通帳等を一体管理

継続契約では、こうした条項を入れておくと経理部門の管理負担を減らせます。


公表情報を定期的に確認する方法もある

売手からの通知だけに依存せず、支払側で登録状況を確認する方法もあります。

適格請求書発行事業者の公表情報を定期的に確認する必要性もあります。


特に、

  • 大口の事務所家賃

  • 長期の店舗賃貸借

  • 顧問契約

  • 毎月高額な業務委託料

については、契約時だけでなく継続管理も重要です。


毎月の請求書をもらっていない会社の確認ポイント

家賃や顧問料について請求書を受け取っていない会社は、次の順序で確認するとよいでしょう。

  1. 支払先が適格請求書発行事業者か確認する

  2. 契約書を確認する

  3. 登録番号が記載されているか確認する

  4. 税率・消費税額等が記載されているか確認する

  5. 不足事項について通知書等を入手する

  6. 支払日を通帳等で確認できるようにする

  7. 契約書・通知書・通帳等を一体として保存する


経理担当者向けチェックリスト

チェック項目

確認内容

毎月請求書

交付を受けているか

契約書

保存しているか

登録番号

契約書等で確認できるか

取引内容

契約書で明確か

適用税率

記載されているか

消費税額

記載されているか

支払日

通帳等で確認できるか

書類の関連性

契約書と通帳の対応関係が明確か

登録状況

継続的に確認できるか

契約変更

登録取消時の通知条項があるか


よくある疑問

Q. 事務所家賃は毎月インボイスを発行してもらう必要がありますか?

A. 必ずしも毎月1枚のインボイスを発行してもらう必要はありません。

契約書と通帳等を組み合わせてインボイスの必要事項を満たし、相互の関連性が明確であれば、それらを保存して仕入税額控除を行うことができます。


Q. 税理士の顧問料も同じですか?

A. 税理士・弁護士への月次顧問報酬についても、事務所家賃と同様の取扱いが考えられます。


Q. 古い契約書に登録番号がありません。

A. インボイス制度開始前の契約では、登録番号等の不足事項について相手方から通知を受け、その通知と契約書・通帳等を合わせて保存する方法が示されています。


Q. 契約後に貸主がインボイス登録をやめたら?

A. 売手がインボイス発行事業者でなくなった場合には、その後の仕入税額控除に影響するため、通知条項を設けたり、登録状況を定期的に確認したりする対応が考えられます。


まとめ

事務所家賃、税理士報酬、弁護士報酬などの毎月定額の支払いについても、インボイス制度では原則としてインボイスの保存が必要です。


ただし、「毎月請求書を発行してもらわなければならない」という意味ではありません。

契約書に必要事項を記載し、実際の取引年月日を通帳等で確認できるのであれば、「契約書+通帳等」を合わせて保存することでインボイスの要件を満たせる場合があります。


今回のポイントは次のとおりです。

  • 家賃・月額顧問報酬もインボイス保存が原則必要

  • インボイスは必ずしも1枚の書類で完結する必要はない

  • 契約書と通帳等を組み合わせることができる

  • 古い契約書では登録番号・税率・消費税額等の不足を確認する

  • 不足事項は通知書等で補完できる場合がある

  • 新規契約では最初から必要事項を契約書へ入れると便利

  • 支払先が適格請求書発行事業者か確認する

  • 契約中に登録事業者でなくなる可能性にも注意する


特に家賃は長期間同じ契約が続くため、インボイス制度開始前の契約書をそのまま使用している会社は、一度記載内容を確認しておくことをおすすめします。



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【この記事の執筆者】

安田 亮(公認会計士・税理士)

安田亮公認会計士・税理士事務所 代表

京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。

現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。

事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。


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